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2013年7月 4日

着衣デッサンを描く


日芸の授業で着衣モデルデッサン。6ポーズ、120分という短い時間での制作である。B2イラストレーションボード、ワトソン紙。
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20分。
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40分。
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60分。
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80分。
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100分。
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120分。
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ディテール。
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ディテール。
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ディテール。

これまで成安造形大学ではのべ数百人にのぼる美術モデルと接してきた。東京ではその数十分の一だが、関西とのレベルの差が大きいと感じている。東京でよいモデルに出会うことがなかなかない。
個人で活動しているすばらしいモデルもいるが、今、日芸に派遣されてくる事務所モデルの質はあまり高くない。
もっとも驚くのは、自前でタイマーも固定ポーズ用のテープも持参してこないこと。関西では考えられない。モデルが各個人で使いやすいものを持ってくるのが常識だと僕は思っていたが、東京の常識はどうも違うらしい。
今回のモデルはさらにポースの維持がうまくなかった。腰にあてていた手をポーズ中にも関わらずぶらぶらとふってほぐす。重心がぐらつく事も多かった。僕の基準では決して上手いモデルではない。
ポースをつけた手を動かす事など、関西ではありえなかった。
今後は、違うモデル事務所か、個人で活動しているモデルにお願いする予定である。



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投稿者 corvo : 23:38

2013年6月26日

ヌードデッサンを描く


授業内で学生と一緒に描いた一枚。
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二週目なので途中から、ここまで140分。
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140分、ディテール。
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160分。
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160分、ディテール。
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180分。
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180分、ディテール。
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200分。
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200分、ディテール。
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220分。
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220分、ディテール。
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240分。
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240分、ディテール。
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260分。
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260分、ディテール。
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280分、完成。
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完成ディテール。
B2サイズの紙に鉛筆。


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投稿者 corvo : 23:47

2012年10月 9日

美術解剖学講義の座学


来週のHiroさんの美術解剖学講義の予習のため、学生にむけて「体幹部」の座学の授業を行った。
普段は実技ばかりなので、こういった講義はあまり得意ではないのだけど、実技の要素を盛り込むことで、独自性のある授業になっていると思う。
とはいえ、それほど特別なことをしているわけではなく、地道な作業の繰り返しだ。
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僕が描きおろした骨格図にトレーシングペーパーを重ねて、浅層、深層の筋肉をレイヤー分けして描いていく。これは腹側から。
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こちらは背側。
講義中にところどころで詰まってしまって、参考書を見ながらの授業になってしまうのはいかんなあ。もっとスムーズにできるよう、頭のなかにたたき込まねば。
骨格に比べて筋肉は複雑で難しい。


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投稿者 corvo : 23:40

2012年6月28日

着衣人体デッサン


日大芸術学部の授業で描いた着衣人体デッサン。二週にわたって合計12ポーズ、240分で制作。
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クラシコファブリアーノに鉛筆。サイズは76 x 56 cm。
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ディテール。オーソドックスな鉛筆デッサン。


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投稿者 corvo : 23:56

2012年6月26日

学生の習作への指導


3週間ほど前からウマと人体の解剖学的構造の指導をしている学生が、新たに描いた習作を持ってきた。最初のラフに比べれば格段の進歩をしているのだが、ところどころおかしなろころがあるので、修正したスケッチを新たに描くことにした。
blog12062601.jpg
左が学生の習作、右が僕のスケッチ。
ヌードデッサンの授業中、休憩時間とモデルのポーズ中に、20分ほどで描き上げたもの。
blog12062602.jpg
ものすごく難しいポーズと構図である。かっこいいのは分かるけど、わざわざこんな絵にしなくても。でも、やりたい作りたいという気持ちには応えたい。
違和感を感じるところもあるので、改めて描いてみないと分からないなあ。

こんな感じで指導しています。成安造形大学イラストレーション領域をよろしくお願いいたします。


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投稿者 corvo : 23:57

2012年6月23日

なにわホネホネ団入団試験


23日土曜日。ホネホネ団の活動日に大阪市立自然史博物館にお邪魔してきた。前日に連絡したときに、どんな作業をしたいかという質問があったので、一体まるまるか大型個体のお手伝いが出来ればと答えたのだが、当日行ってみると入団試験をすることになっていてびっくり。何の心構えも準備もなく、アナグマ一体の皮むきをすることになったのである。
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写真は掲載できないのでスケッチで。まず作業を開始するまえにアナグマの顔を描いた。でっぷりとした身体に比べて頭が小さめ。
ベテランの団員に教えてもらいながら作業を進めて行った。最初に腹側の正中線からメスをいれて中央から割いていく。この時メスを上から押し付けるように入れるのではなく、内側から刃先を上に向けて切っていく。こうすることで体毛を切ってしまうことなく、中の組織をきずつけることなく皮だけを割くことができる。
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午前中までに、目標だった四肢一本が剥けた状態まで進めることができた。右前肢がもろ肌を脱いだような状態。5本ある指から丁寧に皮を剥がしていくのに時間がかかる。なかなか上手く作業する手のポジションを決めることができない。あまりに力が入り過ぎて、時々標本を支える左手の指先がつりそうになる。滑るので無駄に力が入ってしまうのも原因の一つ。とにかく時間をかけてでも丁寧にやることを心がけたのであった。
始めたのが10時30分ごろだったので、ここまでで約1時間30分の作業。
お昼をとって午後の作業をスタート。四肢もまだ残り3本。頭も尻尾も終わっていない。この個体がどういう経緯で運ばれてきたのか知らないのだけど、内蔵がかなり損傷していて、腸がどす黒く変色していた。後肢の大腿骨は両方とも真っ二つに折れていて、股が不自然なほどに開いていた原因が分かった。全く抵抗感なく両足がぶらぶらするような状態である。足先の皮むきの時、あまりに自由に動くので少しやりづらかった。
何度も手伝ってもらったり、アドバイスもらったりしながら、無事最後までやり切ることが出来た。少し皮に穴を空けてしまったのは反省しなくては。もう少し手先が器用ならよいのだけどなあ。
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全て皮が外された状態。ここまでくるのに約5時間ぐらい。慣れてくればもっと速くなるのだろうけど、今はスピードよりも丁寧な作業を心がけたい。それでも、皮の方に組織が結構残ってしまって、次はもっと薄く無駄な皮剥ぎをしなくては。実際の筋組織を観察することは、勉強になることも多く、博物館の標本作製作業にほんのわずかだが貢献することが出来たと思うと嬉しい。

この日の夕方からは、1ヶ月前のデザフェスの関西チームの打ち上げ。楽しかった。今年の反省や来年の計画などはほとんど話をすることなく、酒と料理を大いに楽しんだのでした。


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投稿者 corvo : 23:41

2012年6月18日

人体骨格図完成


修正を何度か繰り返しながら、ようやく完成した人体骨格図。
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正面から。
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背面から。
身長175cm、7頭身の設定であるが、かなり理想化されたスタイルである。
実際の日本人の多くは6頭身から5.5頭身程度か。
以前、正面、側面、背面から撮影したヌード写真集があったと思うのだけど、タイトルをすっかり忘れてしまった。いま入手できれば、プロポーションを測定するよい資料になるのだが。誰か御存知ないでしょうか?
人間のプロポーションを決定する作業が、これほど難しいものになるとは思いもしなかった。
巨匠アルブレヒト・デューラーを始め、数多の先人たちがとりつかれた問題だけのことはある。
まだ、僕も明確な答えを出せないでいます。


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投稿者 corvo : 23:57

2012年6月14日

骨格図を修正


以前から少し気になっていて骨盤の小ささを修正した。
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骨盤だけ別に描いて、Photoshop上で合成している。
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これにともなって、Tシャツの画像も修正したので、2nd Editionヴァージョンを近々製作する予定である。
これまでの版は廃棄するので、すでに販売したもので打ち止めになります。


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投稿者 corvo : 20:45

2012年6月12日

美術解剖学の座学


4年前から続けている、Hiroさんと共同で行っている美術解剖学特別講義だが、これまで専門用語を覚えてもらうことがおろそかになっていた。実技と組み合わせて各部位の形態を記憶することに重点をおいていたのだが、授業内で解説するときも、質問に応えて説明する時も、共通の専門用語が理解出来ていないと効率が悪い。そんなことから、今年度から座学の授業もカリキュラムに組み入れることにしている。
ただし、参考書を読んで記憶するだけではなく、実技をともなった内容で進めている。
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教材用に制作した骨格図。骨盤が少し小さいので、まだ修正の必要がある。
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トレーシングペーパーをかけて、上肢帯の筋肉を描き込んでいく。まずは深い部分から。
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そして、浅い筋肉を描写していく。実際の人間のアウトラインに近くなっていく。
今年度から初めての試みなので、どれだけ効果的かは分からないが、学生達には少しでも美術解剖学の面白さを知って欲しいと思っている。


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投稿者 corvo : 23:44

2012年5月30日

「クロッキーの授業」こんな感じで指導しています


クロッキーの授業の時は、基本的に学生と同じにモデルを描くことにしている。
なので描いている途中の指導は、ほとんど行わない。学生は手を止めて僕が描いているところを見てもらっても、一向に構わない。質問等には、休憩時間に応えることになる。
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左が学生が描いたクロッキー。右が骨格の特徴をまじえて僕が描いたもの。重心のかかり方、わずかにひねった上半身を、解剖学的にどう表現すれば的確になるかを説明した。
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ヌード20分。着衣20分。修正ばかりのクロッキーになってしまった。紙に水性ボールペン。
学生の質問にはできるだけ、美術解剖学に則った解説をすることにしている。あくまでも基本は人体を外側から観察し、その姿に感動することであるが、そこから一歩進んだ捉え方のトレーニングとして美術解剖学がある。
以前にも書いたが、美術解剖学は人体の描写を容易にするものではなく、むしろ難しくするものではないだろうかと考えている。それでも学生達には、できる限りのことは伝えておきたいし、僕自身もっと勉強したいと思っている。
簡単ではあるが、成安造形大学の僕の授業では、こんな授業をしているという一例としての紹介である。


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2012年5月24日

男性ヌードクロッキー


身体の構造を意識しながら、部分クロッキーを中心に制作。
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20分。全身を描かず、上半身を中心に描いた。
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10分。
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10分。
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5分。頭部、首、胴体のつながりの構造を意識して。
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10分。頭部、首に時間をかけすぎてしまった。
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20分。頭が小さ過ぎるかな。


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投稿者 corvo : 00:11

2012年5月16日

ヌードクロッキー


昨晩の授業は女性のヌードクロッキー。
先週はHiroさんの美術解剖学特別講義だったので、その時の内容を思い出しながらクロッキー。
体幹部の前面を中心に、解剖学的構造を意識して描いた。
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20分かけて部分クロッキー。鎖骨と胸鎖乳突筋の関係、乳房の下にある大胸筋、はっきり観察できる前鋸筋と肋骨の角度の違い、外腹斜筋、腹直筋もよく分かる。前回の復習をするにはうってつけのモデルさんだった。
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5分。描ききれなかったが、気に入っている1枚。
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10分。寝ポーズでは、肋骨のラインと腸骨稜の位置を素早くとらえることが重要である。
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20分。気持ちよく描けた1枚。
週末のデザフェス出展が、良い刺激になったかな。


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2012年4月 4日

人体骨格図の作成 1


これまで授業では、様々な解剖書から図版をコピーなどして使ってきたが、後々自分でも教科書を作ったときに使える物をと考えて、骨格図を少しずつ制作し始めている。最初の授業開始までに準備したかったが、残念ながら間に合いそうにない。
世の中にたくさんの美術解剖学の教科書があるが、人物描写はすばらしいのに骨や筋肉に愛がないものが多い。みえないものだから当然と言えば当然か。
現在出来上がっている図版はこんなものである。
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制作中の状態。
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ディテール。
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解剖書、実際の骨格を観察しながら。
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完成した頭骨と体幹。
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レイヤーで分けて組み合わせて使う。
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ブロッケン伯爵。


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投稿者 corvo : 12:34

2012年3月29日

美術解剖学の自習


新学期に向けて、美術解剖学の勉強をやり直している。
これまで描くことに重点をおいた授業運営をしてきたが、やはり知識も身に付けていって欲しいという思いから、座学の授業を加えることにしている。ただ専門用語を覚えてもらうだけでなく、必ず形態と一緒に記憶していってもらえる、そんな内容にしたいと思っている。特に僕は文字や言葉を覚えるのは苦手なのだけど、画像を記憶するのは得意だ。描くこととセットでより深く記憶に刻みつけることが出来る。
学生時代、もっとちゃんとやっておくのだったと、今さらながら後悔している今日この頃。
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大腿部を重点的に勉強中。


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投稿者 corvo : 03:00

2012年3月12日

シマウマ解体をイラストで紹介1


先月、参加したシマウマの解体をイラストで紹介していこうと思う。これが最初の1枚。ただし時系列順にはならない予定。写真をネット上に掲載することは控えたいので、その場の雰囲気が少しでも伝わるように描いていきたいと思う。
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のど元からメスを入れているところ。
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手術用の手袋をつけ、衛生面での対策も万全。限られた時間の中での解体なので、素早く手を動かしていく。
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限界まですり減った門歯。歯にはまだ食べ物のカスが残っていて、死ぬ直前まで口を動かして食餌していたことが分かる。上下の顎のズレから、下顎の可動域の広さがよく分かる。
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死んではいるが、眼球はまだ瑞々しかった。


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投稿者 corvo : 09:29

2012年2月24日

シマウマ解体


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先日、大阪自然史博物館にお邪魔して、シマウマの解体の見学とお手伝い(ほんの少しだけ)に行ってきた。来年度に僕のゼミを志望する学生の参加もあって、思いがけずゼミ初活動の1日となった。
この日は朝から大雪だっため、鉄道ダイヤの乱れが大きく、当初考えていた時間に到着することは出来なかったが、なんとか解体開始には間に合った。ただ、びっくりしたのは大津であれほど積もっていた雪が、大阪長居公園にはまったくなかったこと。しかし、厳しい寒さの中での屋外作業には変わりなく、長い1日が始まったのである。
大量の写真とビデオ撮影も行ったが、ネット上での公開は控えて、その場で描いたスケッチを元にレポート。
スケッチの制作時間は、約1〜3分程度。
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すでに博物館の屋外に横たわっていたシマウマ。動物園で病理解剖された後なので、内蔵はすべて取り除かれていた。
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ホネホネ団団員の手によって、手際よく解体作業が進められていく。
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後肢の腱、筋肉などをはっきりと観察することができる。また触ることでその固さや動きを確認することが出来る。
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鼻の軟骨を取り去った後の吻部。ちょっと分かりにくいかもしれないが、この個体の歯の噛み合わせは独特で、人間でいうとやや受け口に下あごが前にずれていた。そのため一番前の小臼歯の後ろ半分だけが削れて、犬歯の様に尖っていたのが特徴的だった。かなり高齢の個体だったこともあり、歯はほぼ限界まで咬耗していた。
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胸郭。胸骨が大きく出っ張っている。
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寒風吹きすさぶ中の屋外作業だったが、非常に楽しく有意義な経験だった。ここで楽しいと書くと、不謹慎だと言う人が少なからずいるかもしれないが、知的好奇心を満たす行為はやはり興奮するし楽しい。また、そのモチベーションがなければ、厳しい環境の中で、決して快適とは言えない作業を行うことも出来ないだろう。
成安造形大学からは僕と彫刻の先生、そして3人のゼミ生が参加して、解剖書と比較しながらスケッチをとったり、最後には一緒に解体作業を少し手伝うことが出来た。学生にとっては初めての解体作業だったが、何ものにも代え難い貴重な経験となったと思う。(僕は二度目)
自分の頭の中だけでイメージしていても、早晩行き詰まってしまうことが多々ある。だが、こういった肉体的な直接的な経験を積んでいていると、自分の中のイメージを膨らませるときにも有効に活用することができる。やはり見たことも触ったこともないものを描くのは困難だ。

本来なら解体作業の写真をアップしたかったのだが、否定的な印象を持たれる方もいるため控えた。
ただ、解体作業自体は科学的にとても尊いものである。その動物の死をいたずらに扱っている訳ではなく、敬意を持って接している。解体することで標本として次世代に残すことが出来、何百年先までも研究の対象となりうる可能性もある。なにわホネホネ団の活動は、博物館のスタッフだけでは処理しきれない遺体を解体し、標本化することを目的としている。今回のような新鮮な遺体だけでなく、腐っている遺体、事故死した動物、数多くの名もなき野生生物の骨格標本の作製をしてきた。すべての生物の命に重いも軽いもない、動物園で名前をつけられ多くの人に親しまれて愛されていた個体も、道ばたで車で引かれて死んでいる名も亡き動物も、命の重さは同じである。

写真を元に、もう少し詳細に描いたイラストレーションをアップしようかな。


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2012年2月 2日

イノシシの頭部を解体する 2


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取り出された眼球。思っていたよりも小振りだった。
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ほとんど皮が剥き終わったところ。
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下顎の裏側から舌をとり出す。ものすごく柔らかく、得も言われぬ感触。これは触ったものにしか分からないだろう。
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切除された舌と気管の入り口。
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上顎の口蓋に規則的なデコボコ模様が見える。
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皮だけにしても、その巨大さがよく分かる。
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大きな肉を切り分ける。
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上顎と下顎を切り離す。力を入れて開きながら、徐々にメスを入れていく。
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180度に開く。
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完全に分離。
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皮の裏にのこった皮下脂肪を丁寧に取り去っていく。
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眼球の中からとり出した水晶体。新聞の文字が拡大されていることがよく分かる。
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舌骨ともう片方の眼球。
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皮はなめす準備のために塩漬けに。
取り出された骨は、なにわホネホネ団にお願いして、綺麗な骨格標本にしてもらうことになった。
日曜日に突然飛び込んできた連絡に、素早く対応してくださった、団長と団員には感謝である。十数名ではあるが、この解体の現場にいられた学生達は貴重な経験ができたのではないだろうか。
気持ち悪いという感想の学生もいたようだが、興味深くのぞき込む姿が印象的だった。この好奇心を常に持ち続けて欲しい。
すっかり、今週はイノシシ週間になってしまった。でも、とても楽しく有意義な一時でした。


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投稿者 corvo : 23:58

イノシシの頭部を解体する 1


午後からイノシシの頭部を解体。目的は骨格標本と皮をとるため。僕一人では技術も経験もないので、なにわホネホネ団団長と団員2名に駆けつけてもらった。
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学生達も興味津々。
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まずは計測。イルカと同じ手法らしい。
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この計測値があれば、後からデッサンを取り直す時も有効である。
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道具を準備していよいよスタート。皮と皮下脂肪の間にメスをいれて、皮だけをはがしていく。
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少しずつ丁寧に進めて行く。
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ホネホネ団の面々、さすがに手だれである。着実に皮がむかれていく。
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鼻先の繊細な部分は団長が担当。
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途中から、僕も参戦。実は全く初めての経験。最初は随分皮下脂肪を残して皮をむいてしまった。
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ようやく作業に慣れてきた頃。

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2012年1月10日

日本美術解剖学会 2012年大会 無事終了 2


後半は、テーマ「歴史」をめぐって
1.中村るい 「ギリシア美術と人体」14:20〜
美術史の視点から、ギリシャ美術、エジプト美術を中心に美術解剖学的考察を深めていく発表。
あらためて美術の奥深さ、人類の積み上げてきたものの凄みを感じる。

2.坂井建雄 「ルネサンスの解剖学」14:50〜(先の発表が大幅に押したので実際の時間はもっと後)
医療に携わり、数多くの解剖を自ら行っている坂井先生の発表は、いつも聞き応えがある。
レオナルド、ミケランジェロ、ヴェサリウスの解剖の研究を俯瞰的に、それぞれの行われた年代を絡ませながら歴史的な観点からも興味深く聞くことが出来た。

3.布施英利 「美術解剖学の歴史、森鴎外を中心に」
東京美術学校で美術解剖学の授業を行っていた、森鴎外について。実際に当時使われていた教科書が、かなり精緻なもので完成度の高いものだったことが分かる。
久米桂一郎によって描かれた、美しい図版の紹介も。

4.戸坂明日香 「現代の美術解剖学の実践例」
東京藝術大学博士課程に在籍する学生の発表。彼女はこの春に目出度く学位を授与することになっている。江戸時代の頭蓋骨を元に復顔するプロセスを紹介。丁寧な仕事ぶりが伺える。

まとめとしての、坂井建雄、遠藤秀紀、布施英利、三者による対談も非常に面白かった。
ちょっと短かったのが残念。

今年は発表したので、懇親会でたくさんの人と話題を共有することができた。学会に参加する以上、発表するべきだと痛感。
懇親会終了後、上野のスペイン料理屋で友人たちと二次会。楽しかった。
そこで出た話題で面白かったのが、現在具象で絵画や彫刻を制作している作家達のほとんどは、美術解剖学に興味を持っていないという話。一方、アニメーターや漫画家などからは、強い需要があるという現実がある。
僕はファインアートにもイラストレーションにも関わっているが、どちらにも美術解剖学は有効なツールの一つだと思っている。
一人でも多く関心を持ってもらえるよう、今後も日本美術解剖学会を盛り上げていければと思っている。


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2012年1月 9日

日本美術解剖学会 2012年大会 無事終了 1


2012年1月7日(土)、東京藝術大学中央棟2階第三講義室で日本美術解剖学会・2012年大会が開催され、無事盛況のうちに終了。参加者も多く、講義室がほぼ一杯になるような状況だった。
東京で開催される日本美術解剖学会は3回目。1月の寒い時期にも関わらず、多くの方に足を運んでいただけるのはありがたい。幹事の一人としてより楽しめる企画を考えていきたい。
朝の弱い僕は午前の「若手研究者の発表」には行けず、午後の開始時間ぎりぎりに会場入り。行きの地下鉄の中でもスライドショーを微修正していた。
講演要旨の原稿もすっかり忘れていて、当日のスケジュールも会場に来ていた友人たちに確認するという体たらくで、あまり緊張感もないままに大会がスタート。
午後の部は、大きく二つのセクションに分かれていて、第一部が「研究と報告」、第二部が今回のメインテーマである「歴史」である。

研究と報告
1.松井冬子 「横浜美術館「松井冬子展」について」12:30〜
作家本人が大規模な個展を解説。先日、展示を観てきたのだけど、充実した展覧会だった。全部で107点の作品を展示。それだけの作品を揃えるだけでも、あの年齢でなかなか出来ることではない。

2.小田隆 「関西大会の報告」13:00〜
前述したが、事前に講演要旨の原稿を送るのを忘れるという失態を演じてしまった。事務局の機転でやむを得ず、関西大会のチラシを掲載するということになってしまった。次からこんなことのないようにしよう。
シンポジウムでの基調講演、質疑応答の様子などをスライドを使って紹介。ついでと言ってはなんだが、HONE展についてもしっかり紹介してきた。
さらに勝手に作った、日本美術解剖学会シンボルマークも披露。
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左手の骨格が鉛筆を握っているというもの。レオナルドに敬意を表して左利きにしてみた。
これが採用されるかどうかは分からないけど、ダメなら関西大会専用のシンボルマークにしてしまおう。

3.渡邊晃一 「新解体論2011」
福島大学の渡邊さんによる研究発表。渡邊さんは一貫して人体をモチーフに制作しているアーティストである。人間が発達段階において、身体に対してどういった認識をし、どう捉えているのかということを、豊富な事例から導き出していく発表は非常に興味深かった。これは人体を描くスキルの習熟を考える上でも、重要な視点だろう。

(続く)


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投稿者 corvo : 13:15

2012年1月 7日

日本美術解剖学会 2012年大会 2012年1月7日(土)開催


日本美術解剖学会2012年大会の案内です。
昨年は登壇しませんでしたが、今年は2011年関西大会の報告ということで30分ほど話します。


日本美術解剖学会 2012年大会
日時:2012年1月7日(土)
会場:東京芸術大学美術学部・中央棟二階・第三講義室(台東区上野公園12-8)


プログラム

午前の部

若手研究者の発表
     
9:30~ 9:50  一ノ瀬彩美(東京藝術大学)    
9:50~10:10  小山晋平(東京藝術大学)   
10:10~10:30  原木万紀子(東京藝術大学)     
10:30~10:50  小松宏美(工学院大学)     
10:50~11:10  佐藤恵理香(工学院大学)    
11:10~11:30  加藤公太(東京藝術大学)


午後の部(受付開始12:00~)
司会、木下史青(東京国立博物館) 

研究と報告  
 
12:25~12:30  開会の挨拶、坂井建雄(順天堂大学)      
12:30~13:00  松井冬子(画家)「横浜美術館「松井冬子展」について」   
13:00~13:30  小田隆(成安造形大学)「関西大会の報告」   
13:30~14:00  渡邊晃一(福島大学)「新解体論2011」  
 
14:00~14:20  休憩
  
シンポジウム「歴史」 
   
14:20~14:50  中村るい(東京藝術大学)「ギリシア美術と人体」    
14:50~15:20  坂井建雄(順天堂大学)「ルネサンスの解剖学」    
15:20~15:45  布施英利(東京藝術大学「近代の美術解剖学、森鴎外など」   
15:45~16:10  戸坂明日香(東京藝術大学)「現代の美術解剖学の実践例」   
16:10~16:40  対談、坂井×布施
16:45~16:50  閉会の挨拶、遠藤秀紀(東京大学)

17:00~18:30  懇親会


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投稿者 corvo : 12:00

2011年12月24日

人体描写と美術解剖学


まだ少し残っているが、今年度の授業カリキュラムがほぼ終了した。火曜日には今年最後のHiroさんの美術解剖学特別講座も終わり、一段落というところである。
成安造形大学に赴任して4年、Hiroさんと組んだ授業を始めて3年がたつが、自分自身も含めて様々な問題点が見えてきた。
以前にも書いたが、美術解剖学は人体描写を容易にするものではなく、むしろ難しくする側面がある。どれだけ内部構造の知識があっても、外側から人体の形を観察し描くことが出来なければ、全く無意味である。人らしい形、プロポーションを描ける学生が非常に少ない。短時間のクロッキーでは顔の描写もままならない。二次元で描くキャラクターと、三次元のモデルとの祖語に苦しんでいるようにも見える。
こんな状態で、骨や筋肉を理解し、内部構造まで三次元的にイメージするというのは困難である。
これまでは全く座学を行わずに、モデルや骨格模型を観察し参考書を見ながら、手で描くこととセットで進めてきた。しかし、これにも限界がある。やはり説明をするときに骨や筋肉の名称が頭に入っていないと、充分にこちらが言っていることを理解することは出来ない。なので来年度からは、スケッチと座学をセットにした講義を、定期的に入れていくつもりだ。そのためには僕もさらに知識や経験を深めなくてはならない。そして以前から考えている、理想的な美術解剖学の教科書を作る計画を実行に移していかなくては。
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360分。色画用紙にコンテ、パステル、チャコールペンシル。
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ディテール。


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投稿者 corvo : 00:30

2011年10月20日

手の機能模型を作る 2


木曜日は日藝での非常勤講師の日。
先週からの続きで、課題は「手の機能模型を作る」。準備していた針金を使って、授業時間内に簡単に僕も作ってみた。
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前回描いたイメージスケッチとともに。


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投稿者 corvo : 23:40

2011年10月14日

手の機能模型を作る 1


昨日は日芸での非常勤講師の日。今週から手の機能模型を作り始めた。といっても初日はスケッチから。
この課題は僕も初めてなので、自分でも作ってみることにしている。2009年の美術解剖学会で出会ったManfred Zoller氏の『Gestalt und Anatomie』が参考書。手の持つ複雑な機能をどれだけシンプルに美しく再現出来るかが重要な点である。
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僕は主に針金で骨格の構造を作る予定。昨日は久しぶりに東急ハンズへ行って材料を買い出してきた。
さて、初めての課題、上手くいくかな。


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投稿者 corvo : 21:04

2011年10月13日

日本美術解剖学会・2011関西大会 2


日本美術解剖学会・2011関西大会 1のエントリーから長らく空いてしまったが、続きのレポート。
基調講演の二番手は、成安造形大学の授業でもお世話になっているHiroさん。「肩甲上腕リズムと背部のレリーフ」。布施さんに続いて美術解剖学に則した直球の発表。特に表現が難しい背中の筋肉について、自身の肉体の画像を使っての解説。背中はほとんどの部分が筋肉で覆われていて、腕の動きに影響を受ける。また肩甲骨も様々に背中を動き回るので、姿勢によるその表情は千差万別である。東洋のダビデを目指したというHiroさんの肉体は、筋肉のレリーフを分かりやすく表出させる。スライドには成安での授業風景や、僕の描いた筋肉図も使われていた。

三番手からは連続して3人古生物関連の発表が続いた。
その最初の演者は北川博道さん。演題は「古脊椎動物研究のための解剖学」。話始める前におもむろに取り出したのはアジアゾウの上腕骨。もうこれだけで会場の空気をつかんでしまった。化石から分かる絶滅ゾウの性差の話、解剖し動物の運動の機能を研究することの大切さ、過酷な解剖の現場の話など、軽妙なトークでぐいぐいと聴衆を惹きつけていく。うまいなあ。今回一番の笑いをとったのは、間違いなく北川さんだろう。もちろん発表の内容も充実していて、非常に興味深い話だった。

(続く)

日本美術解剖学会・2011年関西大会レポ(1/3)
日本美術解剖学会・2011年関西大会レポ(2/3)
日本美術解剖学会・2011年関西大会レポ(3/3)

日本美術解剖学会 関西大会2011

こちらで「京都大学で開催」と紹介されていますが、成安造形大学の間違いです。訂正のお願いのコメントをしたのだけど、まだ修正されてないです。


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投稿者 corvo : 23:21

2011年10月 4日

日本美術解剖学会・2011関西大会 1


10月1日(土)に開催された日本美術解剖学会・2011関西大会が無事終了した。天気予報では週末崩れるということだったのだけど、台風の進路も変えるという伝説の晴れ女「ホネホネ団団長」のパワーにより、大津の空は晴れ渡りとても気持ちの良い一日だった。

今回の関西大会、まさに突貫といってよい準備期間しかなかった。今回、講演者として参加することが決まっていたのは幹事の布施さんと僕だけ。9月に入ってからも何も決まっていないような状況だった。大急ぎでシンポジウムのメンバーを関西の人脈を中心に声をかけたところ、幸運なことに誰一人断られることなく、あっという間に合計7人の参加メンバーが決まってしまった。ホネホネ団団長の西澤さんにはHONE展のギャラリートークをお願いすることになったが、当初はシンポジウムへの参加も考えていたのである。

いつも美術解剖学の学会とは違い、僕の人選ということで古生物学、発生学の研究者に入ってもらったのは、とても新鮮だった。現役の美術解剖学研究者である布施英利さん、美術解剖学モデルのHiroさんには、オーソドックスな美術解剖学の講演をお願いするとして、古生物学、発生学からはどういった切り口で講演をしてもらうか。何度かのメールのやり取りを経て概要が決まっていった。
シンポジウムの大きなテーマは「人体の美術解剖学、動物の美術解剖学」。
僕自身、古生物の復元画制作を通して、多くの研究者と仕事をしているので、両方の分野を横断したシンポジウムになればきっと面白いものになると考えていた。

ランチをとりながらシンポジウムの打ち合わせと思っていたのだけど、講演要旨を配布して簡単に顔合わせ。正直、詳細な打ち合わせがなくても心配することはないメンバーだと思っていたので、こちらからお願いしたことはただひとつ「必ず1回以上笑いをとってください」。

会場は成安造形大学内にある聚英館3階・聚英ホール。学内でもっとも大きな講演用のスペースだ。午前中まで別の公開講座が行われていたので、ばたばたとした準備になってしまった。なれない学生とともに、布施さん自らが受付に座っての対応は贅沢というか、申し訳ないというか、次からはもっとスムーズに運営しなくては。

シンポジウム基調講演のトップバッターは布施英利さん。一番偉い人を一番先に持ってくるのもどうかと思ったのだけど、ここは日本美術解剖学会のアピールのためにも、彼をおいていないと思ったのである。
基調講演1 布施英利 「手の美術・手の解剖学」
人間の身体の中でももっとも描くこと、作ることが難しいパーツである「手」について焦点を当てた発表。
巨匠達の素晴らしい仕事を紹介しながら自ら解剖した経験をもとに、手の表現に迫っていく。
前腕の回内、回外の動きを、きらきら星を歌いながら解説。会場が笑いに包まれ一気に和んだ。
PowerPointを使いながらのプレゼンだったのだけど、文字は書き文字を使った独特のスライドショーだった。あえて「肉筆」とは呼ばず「肉字」。さらっと話しているのだけど、ユーモアにあふれたネーミングセンス。「肉字」これから使おう。

(続く)


日本美術解剖学会・2011関西大会とHONE展
日本美術解剖学会・関西大会 in 成安造形大学



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投稿者 corvo : 23:38

2011年10月 1日

日本美術解剖学会・2011関西大会


*大会当日まで、トップに表示されます。
*情報がまだ不足している部分があるので、随時書き加えていきます。
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『日本美術解剖学会・関西支部・大会』のお知らせです。

日時:2011年10月1日(土)
会場:成安造形大学 聚英館3F 聚英ホール
会員は当日の参加費無料。年会費3000円で当日の入会も可能です。
会員でない方は、一般1000円、院生500円、学部生以下無料。
懇親会、一般3000円、学生2000円(*会員も必要となります)

当日の予定
シンポジウム テーマ『人体の美術解剖学、動物の美術解剖学』
13:00~13:05 挨拶
13:05~13:20 基調講演1 布施英利 「手の美術・手の解剖学」
13:20~13:35 基調講演2 美術解剖学モデルHIRO 「肩甲上腕リズムと背部のレリーフ」
13:35~13:45 休憩
13:45~14:00 基調講演3 北川博道 「古脊椎動物研究のための解剖学」
14:00~14:15 基調講演4 平沢 達矢 「古脊椎動物学研究と復元図・復元模型」
14:15~14:25 休憩
14:25~14:40 基調講演5 東山 大毅 「頭部が形作られるプロセス・私が発生に学ぶわけ」
14:40~14:55 基調講演6 小田 隆 「頭骨を描く・人から様々な動物まで」
14:55~15:05 休憩
15:05~15:55 質疑応答
15:55~16:00 HONE展会場へ移同
16:00~17:00 西澤さんによるギャラリートーク
17:00~19:00 懇親会(カフェテリア結)

演者プロフィール
-----
布施英利(ふせひでと)
1960年生まれ。東京藝術大学・大学院修了。美術解剖学専攻。東京大学医学部助手(解剖学)を経て、現在は東京藝術大学准教授(美術解剖学)。日本美術解剖学会・幹事および事務局長。全国の美術大学で、美術解剖学の非常勤講師や集中講義も担当。著書に「体の中の美術館」「モナリザの微笑み」など多数。

美術解剖学モデルHIRO(ひろ)
美術モデル。美術解剖学会所属。ワコール㈱メセナ・スパイラルバンク掲載アーテ
ィスト。1995-2000年に欧州にてモデル活動後、日本にてアトリエ路樹絵
(京都)の総合プロデュサー兼美術モデルとして現在に至る。  モデル活動の際には美術解剖学を礎とした講義を平行して行うことにより、『美術解剖学』をデッサン、クロッキーの基礎学問として修めるべきとの認識を市井の画家・学生など画業を志す層に説くことを活動の旨とする。

北川博道(きたがわひろみち)
京都大学地質学鉱物学教室教務補佐
専門は長鼻類(ゾウの仲間)を中心とした新生代の化石哺乳類。基本的な観察や比較を重点に置き、特に北海道から台湾にかけてのアジア東縁における長鼻類化石の変遷や、骨化石からわかる古生物の特徴や成長の様子を明らかにすることを目的としている。化石に残された「最後の叫び」を聴くべく、日々化石と向き合う。

平沢 達矢(ひらさわたつや)
理化学研究所 発生・再生科学総合研究センター(CDB) 基礎科学特別研究員.博士(理学).東京大学・地球惑星科学専攻にて中生代獣脚類における胸郭の形態進化に関する研究で学位を取得後,2010年より理研CDB・形態進化研究グループで羊膜類における体幹部の形態進化に関する進化発生学研究に取り組んでいる.ニワトリやワニ等の胚発生を研究して形態進化における発生パターンの変化の解明を目指す一方で,世界各地の研究機関で化石標本の研究も継続して展開している.

東山大毅(ひがしやま ひろき)
1985年生まれ。幼少の頃より図鑑や博物館に親しみ、恐竜をはじめとした脊椎動物やその形態の進化に興味を持つ。2009年に筑波大学第二学群生物学類を卒業後、神戸大学大学院理学研究科に進学、理化学研究所発生・再生科学総合研究センター形態進化研究グループにおいて連携大学院生として脊椎動物の頭部や顎の形態進化を研究している。2011年4月より日本学術振興会特別研究員DC。

小田 隆(おだたかし)
1969年、三重県に生まれる。
1995年、東京芸術大学美術研究科修士課程修了。博物館のグラフィック展示、図鑑の復元画、絵本など多数制作。幅広い古生物学者たちとの交流の中で、科学的資料に支えられるとともに、オリジナリティに富んだ作品群を生みだしつづけている。最近、油彩作品の制作を再開。大学では人体の描写をメインに教えている。
画家、イラストレーター、成安造形大学イラストレーション領域特任准教授、日本美術解剖学会・幹事。

西澤 真樹子
1976 年千葉県生まれ。大阪市立自然史博物館を中心に、
フリーランスとして近畿の大学、博物館のコレクション整理や標本制作に関わる。2003 年自然史博物館を拠点に標本制作チーム「なにわホネホネ団」を結成。6才から 60代までのメンバー 190名が在籍。ホネの魅力と楽しみかたを伝えるワークショップ、標本作製講座を全国で行っている。現在、大阪市立自然史博物館友の会評議員、近畿大学農学部非常勤講師(学芸員実習)


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投稿者 corvo : 13:00

2011年9月21日

オリジナル缶バッジ製作


10月1日に開催される『日本美術解剖学会・2011年関西大会』の記念品として、缶バッジを製作することにした。ささやかではあるが、参加者の皆様にはもれなくプレゼントするためである。缶バッジは小ロットからでも作れるので、低いコストで準備することが出来る。
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モノクロとカラーの二種類。それぞれ50個ずつ準備。それだけの人に参加してもらえると嬉しいのだけど、なかなかそこまでは難しいだろう。願いを込めての、缶バッジ100個である。
データを作っていたら楽しくなってきて、販売用にいくつもデザインしてしまった。デザインといっても、大したことは何もしていない。こちらは僕個人の商品で、『HONE』展開催中に、学内のカフェテリア結内にあるミュージアムショップとホネホネサミット2011の"SKULL! SKULL! SKULL!"ブースにて販売の予定。
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トラ頭骨。正面と側面。
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ネコ頭骨、オオカミ頭骨。
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ウマ頭骨、キリン頭骨。
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ヒト男性頭骨、ヒト女性頭骨。
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ゴリラ頭骨、ビーバー頭骨。
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ハシボソカラス頭骨、ワニガメ頭骨。


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投稿者 corvo : 18:17

2011年5月26日

手、手、手 3


木曜日、日藝の授業で学生と同じ時間(若干短いか)を使って描いた手のデッサン。
あらかじめ用意した解剖図からコピーした手の骨格をトレースしてから描いている。そのため、自分の手の特徴とは少し違ってしまっている。学生も同様で、その点は描きづらかったと思う。
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紙にペン、セピアインク。サイズはおよそB3。
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手の甲、ディテール。
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手のひら、ディテール。
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ペンのタッチのディテール。
質感も立体感も解剖学的正確さも、どれも描こうとして欲張ったのが良くなかった。
あまり整理されていないデッサンになってしまった。


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投稿者 corvo : 23:48

2011年4月30日

手、手、手 2


今週の木曜日も日大藝術学部での授業。メンバーが入れ替わるため、内容は前回と同じ。
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今回もまずは解説をせずに、1分18ポーズ、2分1ポーズを一息に描いてもらった。
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ホワイトボードで、手の解剖学的な特徴を解説。
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その後に3分ずつ手の甲からと手のひら側から。
見かけ上、指の長さが違うことに注意しなくてはならない。手の甲からだと中手骨と基節骨との関節がはっきり分かるが、手のひらからは見えない、手のひらと指の境界ははっきりしているが、その境界は関節ではない。手のひらを見ながら指を曲げていくと、手のひらの上のほうから曲がることが分かる。
このことを理解していないと、手をリアリティをもって描くことは出来ない。ロボットのマニュピレーターや木のモデルは生きた手の構造を正しく反映しているわけではない。
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5分ずつ。
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簡単に骨格のスケッチをしてから、水性ボールペンでクロッキー。
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鏡に映してクロッキー。
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これは先週の解説ホワイトボード。左端に関係のないものがあるようですが気のせいです。
まだ手を動かすことになれていない学生が多いので、これからどんどん描いていってほしいところ。もちろん課題でも枚数を描くことを要求していく予定です。

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投稿者 corvo : 23:33

2011年4月28日

美術解剖学は人体を簡単に描くための手法ではない


以前にも書いたのだけど、美術解剖学を学んだからといって人体が簡単に描けるようになるわけではない。むしろ描くことが難しくなると言っても良いだろう。内部の構造を知るということは格段に情報量が増えることになる。その増えた情報を整理し、必要なものだけを抽出し表現するには高いスキルが必要になる。ただ美しく描くだけなら、美術解剖学は邪魔になってしまうかもしれない。それでも僕は美術解剖学が人体描写を豊かにし、より説得力のある表現につながると信じている。
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20分クロッキー。脇に見える肋骨とは違う角度でレリーフを形作っている前鋸筋はとても重要な部位。
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10分クロッキー。
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10分クロッキー。
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20分クロッキー。構図は失敗。
学生へレクチャーするために、骨格や筋肉の特徴を少し誇張して描いている。特に今回のモデルは皮下脂肪が薄くしっかりと内部構造が分かる人だったので描きやすかった。
しかし、学生の描いたものを見ていて目下の悩みは、彼らが顔を本当に描けないことである。おそらく顔を立体としてとらえられていない。顔がどちらを向いているのか。どんな角度で描いても目や鼻の位置が正確に描けているか。でも、もっとも致命的なのは、魅力的に描けないこと。世の中、美男美女、萌える顔ばかりではない。だからといって魅力がないわけではないのに、およそ人とは思えないような物を描いてしまうのだ。
今後どう指導していこうか。そのために頭骨のデッサンも課題として出しているのだが、一向に改善される様子がない。何か策を考えねば。

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投稿者 corvo : 11:56

『人体展』再び


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先週22日に好評のうちに終了した『人体展』が、同じ学内にあるバスストップギャラリーで再開。規模を縮小しての展示だが、ギャラリーの特徴を活かしたおしゃれな空間になっている。
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会期は4月29日(金・祝)の成安造形大学オープンキャンパスまでです。

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投稿者 corvo : 09:19

2011年4月26日

手、手、手 1


先週の木曜日は日本大学藝術学部デザイン学科での授業だった。14日に始まってはいたのだけど、初回はガイダンスだったので実質21日が実習スタートの日である。
本務校である成安造形大学同様に、ヌードモデルを呼んでがんがん描かせたいと思っていたのだけど、諸々の事情が許さずまずは手を描くことから始めることにした。
手は人間のパーツの中でもっとも難しく複雑な部位である。そして、人間という動物を象徴する器官であると言っても良い。顔も難しい部位ではあるが、表情によって目や鼻の位置が変化するわけではないので、バランスをとることはそれほど難しくない。しかし、手はそうはいかない。それぞれの指が作り出す表情は極めて複雑だ。
ここから長く続く画像で申し訳ない。例のごとく、学生といっしょに描く。
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自分の手を1分で描くトレーニング。連続して18枚描き、最後は2分で1枚。
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手の甲側からと手のひら側から、それぞれ3分ずつ。見かけ上、指の長さが違って見えること、指の関節の位置の違いなどを意識してもらう。
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手を描き始める前に骨格図を描いてからクロッキー。より骨格の特徴を意識してもらうため。15分。
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10分ずつ。長い時間でやや描き込んだもの。
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箸を持つ手、鉛筆を持つ手を、鏡に映してクロッキー。3分ずつ。
途中、学生の制作を見回ったりしたので時々手を休めた。なので学生はもっと多くの枚数を描いています。
ほぼ3時間、ぶっ続けでの手のクロッキー。学生はかなり疲れたようだけど、この枚数程度でへばってもらっては困る。その点は成安の学生のほうが「描く体力」はあるかな。
こんな調子で、がんがん行く予定です。

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投稿者 corvo : 01:07

2011年4月20日

Hiroさんの美術解剖学特別講座2011前期1


今年度も再び『Hiroさんの美術解剖学特別講座』がいよいよ開講である。昨日はその第一回目『体幹編』。
主に腹側から見た大胸筋、腹直筋、外腹斜筋などを中心に解説。僕は骨学の面から鎖骨、胸骨、肋骨、腸骨稜などをポイントに、クロッキーやデッサンする上で重要な部分を解説。背中の筋肉レリーフは上肢帯の動きに大きく影響されるのと、解説に時間がかかるため今回は基本的なポイントだけに終始した。次回の『上肢帯編』でしっかり解説します。
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20分クロッキー。男女ダブルポーズ。美術大学であっても男女ダブルポーズが描ける環境はなかなかない。僕自身、成安造形大学に赴任してから初めて描くことが出来た。
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これは今日の授業で描いた5分クロッキーなのだけど、意識的に骨格や筋肉を強調して描いている。
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こちらも同様に20分クロッキー。
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学生への解説のために、黒板へ簡単に骨格の特徴を図示。2分ポーズのクロッキー中に描いた。
美術解剖学は人体を描く上で、とても有用なツールではあるが、美術解剖学を理解しているからといって人体が正確に美しく描ける訳ではない。あくまでも基本は外面の観察力である。アウトラインを含む人体の形態、筋肉のレリーフ、光の移り変わり、それらを観察し表現することが出来なければ、どれだけ人体の構造に詳しくなっても意味がない。もし、構造を知っているだけで絵を描いたり彫刻を作れたりするのなら、解剖学者や医者は絵や彫刻が上手いはずである。でも決してそんなことはない(もちろん優れた表現者である医者や学者もいます。多分。)。
外面を観察して得られた結果と、内部の構造との整合性がとれることが理想的である。
写真は物に反射する光の量を定着しているだけである。皮膚の下に筋肉や脂肪や内臓や骨があることには全く無関心である。質感も同様に意識することはない。しかし美術解剖学を学んだ人間は、皮膚の下にどのような内部構造があるかを知っていて、顔だけを見ていてもその人に後頭部があることを認識している。そこが写真とは圧倒的に違うのである。
フォトリアリズムとリアリズムの違いを、この点から端的に説明することができる。
絵画の真骨頂は、「見えないものを描く」ことに尽きると言っても過言ではないと思う。フォトリアリズムは見える部分しか描いていない。だから僕は違和感を感じてしまうのだ。

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投稿者 corvo : 23:30

2011年1月21日

日本美術解剖学会 2011年大会

ぎりぎりの告知となりましたが、明日、上野の東京藝術大学にて『日本美術解剖学会 2011年大会』が開催されます。今年は僕は発表しませんが、午後から会場に駆けつける予定です。懇親会にも参加します。

日本美術解剖学会 2011年大会

日時: 2011年1月22日(土)
会場: 東京藝術大学・美術学部・中央棟二階・第三講義室
(台東区上野公園12-8)

プログラム:
午前10時~ 若手研究者の発表
菅原千明(東京藝術大学・大学院修士課程、美術解剖学専攻)
増田悠紀子(東京藝術大学・大学院修士課程、美術解剖学専攻)
阿久津裕彦(順天堂大学医学部・大学院博士課程、解剖学専攻)
加藤公太(東京藝術大学・大学院博士課程、美術解剖学専攻)
戸坂明日香(東京藝術大学・大学院博士課程、美術解剖学専攻)

午前12時 受付開始(午前の部は出入り自由のため)

午後1時開会
シンポジウムⅠ「筋肉について~科学の立場から」
坂井建雄(順天堂大学医学部教授)
遠藤秀紀(東京大学教授)
     司会:布施英利(東京藝術大学准教授)

シンポジウムⅡ「筋肉について~芸術の立場から」
松井冬子(画家)
木下史青(東京国立博物館デザイン室長)
司会:布施英利(東京藝術大学准教授)

会長講演・養老孟司(東京大学名誉教授)

午後4時 懇親会

興味のある方、是非お出かけください。ただし、会員でないと参加できないので、この機会に入会もいかがでしょうか?
よろしくお願いいたします。

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投稿者 corvo : 23:24

2010年10月 4日

Hiroさんの美術解剖学特別講義2010後期 第一回『体幹』

後期もいよいよ始まった、Hiroさんの美術解剖学特別講義。今回は第一回で『体幹』、平たく言えば胴体。
人間がやっていることなので、毎回同じ内容というわけではないが、確実に時間が押すことが増えてきている。Hiroさんのサービス精神によるところも大きいのだけど、情報量を詰め込めるだけ詰め込もうとすると、どうしても時間がかかってしまう。これまでなら背中の筋肉まで解説できていたのだけど、次回の『上肢帯』との関連も深いということから、今回はさらっと触り程度ですますことになった。
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体幹を語る上でもっとも重要な筋肉のひとつである前鋸筋。肋骨とはまったく異なった角度で、脇腹に現れる。Hiroさんの発達した広背筋の下から、はっきりと見えている。肩甲骨の裏側から、ぐるりを肋骨を取り巻くように付着している。このあたりのことは毎回書いているかも。
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この写真だけ見ると、なんともシュールだ。懸垂をしてもらって、発達した背中の筋肉と聴診三角を見せてもらっているところ。
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こちらは、左右の腕の姿勢が違うと、どれだけ背中の筋肉のレリーフに変化があるかを実演してもらっているところ。
後期は初めてこの講義を受ける学生も多く、皆熱心に聞き入っていた。
一度や二度、講義を受けたぐらいでは、なかなか理解することは難しいと思うけど、どんどん自習して知識を深めていって欲しいと思う。僕も毎回、勉強しながらです。
今日の授業始めに描いたクロッキー。どちらも10分で、大きさは木炭紙大。
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学生がモデル台の前を何重にも取り囲んでいるので、遠くからしか描けなかった。ディテールは見づらくなるが、離れているので全体のプロポーションはとりやすくなる。
なんとか授業を無事終えることができて、ほっと一息。
次回は11月15日(月)で、『上肢帯』です。

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投稿者 corvo : 23:51

2010年7月18日

粗忽者(そこつもの)

僕はかなりの粗忽者=おっちょこちょいである。子供の時の通知表には、毎年のように「落ち着きがない」「忘れ物が多い」と書かれていた。しかも大学生のころは酷い遅刻魔で、今学生に叱っているようなことを、僕自身はまるで出来ていなかった。つくづく思うのだけど、学生時代の僕を、僕は絶対に面倒を見たくない。学生の皆さん、偉そうなこと言っているけどそんなものです。

そんなおっちょこちょいが災いして、今日はさすがに背筋の凍る思いをした。
朝、美術解剖学会大会会場へ地下鉄へ向かったのだけど、ポケットのついていないシャツを着ていたので、ハンカチ、iPod touch、携帯電話を次々と持ち替える必要があり、しかも大きな荷物を抱えての移動。時間前に会場に着いて、自分の講演を無事に終えた後に携帯電話が見当たらないことに気付いてちょっとパニックに。講演前に持っていたのかどうかも思い出せない。多少、発表前に緊張していたとはいえ、どうにも記憶があいまいだ。何度か友人の携帯電話からかけてもらったが、誰も出ない。これはいよいよまずいと思い、少々冷静さを欠いてしまった。気がついたのが昼休みだったので、根津駅へ朝来た道を戻りながら探す。ない。朝入ったATM、にもない。駅事務所で調べてもらったが、どこにも届いていないということ。乗ってきた電車はすでに車庫に入っており、まだ確認がとれていないという。友人の携帯番号などそのときはわからなかったので、後で事務所に電話をしてその番号を伝えることにして、途方にくれながら会場の東京芸大に戻ったのである。
芸大の正門が近づいてきたとき、徐々に記憶が蘇ってきた。朝、正門をくぐる前に仕事の電話を携帯で受けていたのだ。電車に残してきたはずがない。となると、芸大の構内か?守衛所に問い合わせると、届いていない。もう一度、学会が行われていた講義室に行き、イスの下を探すと「あった」。暑い中、昼ご飯も食べずに汗だくになりながら探し回って、焦りまくったのはなんだったのか。でも、それも「粗忽者」であるがゆえのこと。
携帯電話となると、自分のことだけでなく、数多くの友人、知人の個人情報が含まれている。おそらく数百人。いやあ、やばかった。もう、それ以降の予定をすべてキャンセルして家に帰って、見つかるのを待とうかとも思ったほどである。

今日の発表の演題は「頭蓋を描く」
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今回は研究発表というよりも、制作プロセスに特化した内容。
大写しにされた作品のアップ画像は、なかなかの迫力だったらしいが、僕は客席に向かってしゃべっていたので、どういった風に見えていたのか分からない。なかなか好評だったらしいのでよかったかな。作品自体も持っていって、休憩時間や懇親会でもご覧いただくことができた。

でも、今日は本当にひやっとした。
もうこんな思いは二度としたくない。

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投稿者 corvo : 00:05

2010年7月15日

第17回美術解剖学会大会

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第17回美術解剖学会大会が今週末土曜日(17日)に開催されます。
11時25分から15分間、発表の予定です。

日時:2010年7月17日(土曜日) 午前10:00(予定)より開会
   総会、一般講演、シンポジウムを予定しております。
場所:東京芸術大学美術学部 中央棟 第一会議室
交通:JR 山手線「上野」駅・「鴬谷」駅・「日暮里」駅下車 徒歩15分/
    地下鉄千代田線「根津」駅下車 徒歩20分

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投稿者 corvo : 11:44

2010年6月15日

Hiroさんの美術解剖学特別講義2010 第二回 上肢帯編

14日月曜日は、月に一度のHiroさんの特別講義の日。この日は午前中に関東本部を出て新幹線で移動し、夕方から大学へ出勤。書類をチェックしたり、別件の打ち合わせを時間ぎりぎりまでやっていたので、心配になったHiroさんから電話がかかってきたほど。
今回は「上肢帯」平たく言うと、肩から手にかけての部分である。
人間の身体の中でももっとも複雑に動き自由度も高いため、覚えることが多く描くのが非常に難しい。時間もかかってしまうので、最初のクロッキーを行わずに、いきなり講義から入ることにした。
まず、僕が骨格について話し、つぎにHiroさんが筋肉について実演を交えて講義をしていくいつものスタイル。
上肢帯の動きは、前回の体幹とも大きく関わってくる。特に背中の筋肉は上腕の動きの影響を大きく受けるので、ポーズによって様々な表情を見せる。その違いを観察してもらうために、繰り返し反復する動きをしてもらい、学生はそれを素早くスケッチしていく。
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くっきり浮かび上がる上腕三頭筋を観察。学生は間近で見て触ることもできる。
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前鋸筋の説明をするため、パンチを出したポーズをしてもらっているところ。それにしても見事な広背筋。
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これも触って、前鋸筋と肋骨の違いを実感することができる。
時間ぎりぎりながらも、なんとか一通り進めることができた。でも、時間がない。現在のマンパワーではこれが限界なので、もっと時間数や対応できる学生数を増やすとなると、Hiroさんや僕のような人間も増やさなくてはならない。人材育成も視野に入れる必要があるが、現状では難しい問題である。
今回の講義の見学には学長も来てくださり、熱心に講義を聴講していかれた。
どこまで出来るか分からないが、成安造形大学を軸に、美術解剖学の殿堂を作ることができればと夢想している。

次回、7月12日は下肢帯編です。

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投稿者 corvo : 00:28

2010年5月17日

Hiroさんの美術解剖学特別講義2010 第一回

今日は先週に続いて朝から京都市内へ出張。高校生相手に授業を行う。
終了後、市内で昼食を済ませてからすぐに大学へ戻り、SEIAN PUSH イラストレーション領域展の手伝いを学生にまじって行う。
そして、夜はいよいよ「Hiroさんの美術解剖学特別講義」。テーマは「体幹」
足掛け3年に渡って行ってきた特別講義だが、毎回ブラッシュアップされているせいか、情報量が格段に増えてきており以前よりもずっと時間がかかるようになってきている。最初に男女ダブルで20分クロッキー、最後の締めとして10分クロッキーを2ポーズと考えていたのだけど、締めのクロッキーを行う時間は全く残っていなかった。休憩時間は最低限にとどめたのだけど、時間の確保が難しい。最大の要因は受講者数の多さにある。理想的には今の半分の人数だろうか。人数が多いと、どうしても同じ内容を繰り返さなくてはならなくなってしまう。
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Hiroさんに弓を引くポーズをとってもらって、左右の腕のポーズの違いによる背中の筋肉の状態の違いを見せてもらっているところ。ちなみにHiroさんは弓道の有段者。
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今年度も見事にビルドアップされた肉体を披露してくれている。

以前にも書いたかもしれないが、この内容の授業を行うことのできる美術大学は、現在この成安造形大学人体表現研究室だけである。もし他にもあるというなら教えて欲しい。東京芸大を始め、座学で美術解剖学を学べる授業はあるが、実技を伴った形で行っている美術大学は、僕が知る限りない。Hiroさんが所属するアトリエ路樹絵がこれまでも定期的に美術解剖学の講座を開いてきたが、美術大学で同じことが実現出来てこなかったのは情けない。僕もアトリエ路樹絵とHiroさんとの出会いがなければ、この授業を実現することは出来なかった。
しかし学生からの質問、もう少し考えて欲しい。僕は美術が専門なのであって、医学の専門家ではない。「腰痛」について質問されても答えようがない。Hiroさんに対してダイエットの質問がなくなったのは良い傾向である。

先週の渡辺先生の特別授業の様子が、路樹絵blogでも紹介されています。

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投稿者 corvo : 23:17

2010年1月14日

筋肉人の模型

筋肉人という言葉がある訳ではないのだけど、先日、日本美術解剖学会の懇親会の席で、順天堂大学の坂井先生と雑談をしていたとき、この模型(今リンク先を見たら、すべて在庫切れになっている)の話題になって「筋肉人の模型」という呼び名がついたのである。
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昨年の秋に、人体表現研究室の予算を使って購入。現物を見て決めた訳ではないので、若干ギャンブルではあったのだけど、届いてみると予想していたよりも良い出来だった。とりあえず満足。
男性モデルのほうが制作時期が古いようで、女性モデルに比べるとすこしディテールが甘いところがある。
でも手頃な大きさで、全身の筋肉を立体的に把握出来る模型は貴重である。教材として多いに役立ってもらおうと思っている。
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右半身、左半身で、見える筋肉の層が違っており、比較することが出来る。
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女性は体表と、浅層筋。残念ながら深層筋までは作られていない。均整のとれた美しい彫刻だ。
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ただし、このお尻はおかしい。おそらく大殿筋が大きすぎる。体表のある方のお尻と比較して、筋肉だけになったお尻が同じ大きさというのは考えられない。特に女性である。お尻には大きく皮下脂肪がついているはずだ。筋肉が見えている方は、もっとやせた造形にするべきだろう。
でも、この模型かなりおすすめです。ただし在庫切れになっているのが残念。もっと早くに紹介するべきでした。

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投稿者 corvo : 23:38

2010年1月10日

日本美術解剖学会・設立記念大会、無事終了

昨日、開催された『日本美術解剖学会・設立記念大会』が無事終了した。
新しくできた学会のお披露目という意味合いが強かったため、レジュメなども準備されておらず、配られたのは発表者の簡単なプロフィールだけであった。僕自身も、他の発表者がどんな話しをするかは、事前にまったく分からない状態でシンポジウムに臨むことになった。
午後1時スタートの予定だったが、予想以上の来場者で受付に長蛇の列ができてしまったため、すこし時間が押してしまった。中央棟の第一講義室は、ほぼ満席。こんなに席が埋まるとは思っていなかったので、嬉しい誤算だった。始まる前から熱気を感じる。

最初の1時間ほどは、講演が2本。司会は松井冬子さん。事前に聞いてなかったので、ちょっと驚いた。
「聖なる肉体」 …伊藤俊治(東京藝術大学教授)
「国宝・阿修羅展・・光の演出による表情の見せ方」…木下史青(東京国立博物館デザイン室長)

木下さんの講演の後、休憩に入る直前に(ちょっと時間が押しているところを)無理無理質問をさせてもらった。以前から気になっていたことで、寺社仏閣に設置される事が想定されている仏像などを、博物館などで新たに展示することを、デザイナーとしてどう考えているのか?ということだ。
博物館では360度全方向から見る事ができ(そうでない展示もあるが)、まったく新しい側面が見られる事で新たな発見をすることもある。講演の中で解説されていた照明による表情の移り変わりは、僕が予想していた以上に大きな変化を伴っていた。もう、全然別物の彫刻といってよいほどの違いを見せてくれる。これは仏閣に安置された状況では、見ることが出来ないだろう。木下さんはそういった点をポジティブに捉えて、展示デザインを考えているという事だった。どこまでもベストの答えは出ないだろう。展覧会も一期一会、体調や精神的なことにも左右される。
ただ、大混雑した会場では見たくない。話題になった展覧会に、極端なほど人が集まる状況は、どうにかならないのだろうか。実は「国宝・阿修羅展」見に行けなかったのが、何時間も待たなければ入れなかったということで、会場に行けたとしても入る事を断念していたのは確実だ。

15分休憩の後、3時からいよいよシンポジウムがスタート。
松井冬子さんの発表は、自作の制作プロセスについて。ノートパソコンを使わずに投影機を使いながらのプレゼンを久しぶりに見た。
順天堂大学の坂井建雄教授は、解剖書の図版を使用しながら、人体の骨格と筋肉との関係を分かりやすくひもといていく。なるほどこういう方法があったかと、勉強になった。絵を描く場合、どうしても表層の筋肉に眼が行きがちで、骨との関係がおろそかになってしまうことがあるが、同じ部位の骨格図と筋肉図を繰り返し見せることで、おぼろげながらもイメージ出来てくるようになってくるというしかけである。使われていた解剖書は僕もよく参照にする、プロメテウス解剖学アトラス(日本語版の監訳を坂井先生が担当されている)だった。
僕が授業でやろうとしている内容にもっとも近く、非常に興味深かった。
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次が僕。まず古生物の復元から始めて、skullシリーズの制作プロセス、最後は最近作の紹介で締めくくった。
前半の復元については、これまで何度も話をしてきたが、この場では初めての人も多いと思い話すことにした。
トリは東大総合研究博物館の遠藤秀紀教授。遠藤さんとは数年前にほ乳類学会でお会いしたことがあって、久しぶりに話をすることができた。彼の発表はおそらくこの日、一番インパクトがあっただろう。テーマが「科学の骨、美術の骨」だったにも関わらず、出てくるのは、動物の内蔵やら生首やら血に染まった画像の連続。軽妙な語り口とのコントラストも、多くの注目を集めた要因だろう。もちろん最終的には、「骨」の話へと収束していく。動物の遺体を後世に残すことの意義を熱く語る姿勢は、彼の著書でもある『解剖男』そのものであった。
シンポジウムの肝である、討論の時間がほとんどなくなってしまったのは残念だった。会場からの質問を受けることもできなかったので、発表に対する反応も知ることが出来なかった。
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シンポジウムの様子。

午後5時から懇親会。
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楽しく、いろいろな人と話すことができた。見に来てくれていた友人も、発表者に積極的に話しかけて盛り上がっていたようだ。

二次会は友人たちと、「焼き鳥のいわさき」で飲み会。11時まで多いに飲んで食べてしゃべった。各地から集まったメンバーで、一番遠かったのはなんとロサンゼルス。懇親会から通算すると6時間。とにかくしゃべり続けた1日だったかも。
でも無事に終えることができて、ほっとしている。これから、多いに盛り上がっていってほしい。
興味のある方、どんどん入会してください。

こちらで当日の様子が、学生スタッフのレポートで読めます。

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投稿者 corvo : 23:50

2010年1月 9日

日本美術解剖学会・設立記念大会

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日本美術解剖学会・設立記念大会開催のお知らせです。シンポジウムのパネリストとして参加します。まだ、できたての学会ですので、どんな方向になるのか分かりませんが、たくさんの方に参加いただければと思います。
当日は、松井冬子さんと僕の作品を数点(小品やデッサン等)展示する予定です。

日時:2010年1月9日(土)

場所:東京藝術大学・美術学部・中央棟1階・第一講義室


プログラム:

午前10時 

・若手研究者の発表

午後1時  

・講演

「聖なる肉体」 …伊藤俊治(東京藝術大学教授)

「国宝・阿修羅展・・光の演出による表情の見せ方」…木下史青(東京国立博物館デザイン室長)

       
・シンポジウム「科学の骨、美術の骨」

遠藤秀紀(東京大学教授)

小田隆(成安造形大学講師)

坂井建雄(順天堂大学教授)

松井冬子(画家)

司会:布施英利(東京藝術大学准教授)

参加費 1000円(学生500円) 

ただし、会員は参加費無料

入会案内

さまざまなジャンルの皆さまの入会をお待ちしています。

年会費、一般3000円(学生2000円)
お問い合わせ:日本美術解剖学会事務局(東京芸術大学美術解剖学第一研究室内)

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投稿者 corvo : 13:00

2010年1月 8日

いよいよ明日、日本美術解剖学会・設立記念大会

ここ数日、年末からひいている風邪が良くならなくて、咳がひどく難儀している。年末には激しい咳が原因で、肋骨のまわりの筋肉を痛めてしまいかなり苦しかったのだけど、いまだその痛みも少し残っている。思考もぼやけてしまうので、はやくなんとかしたい。
明日しゃべる内容は、今日スライドショーをまとめながらほぼ考えることができた。15分という短い時間なので、かなり駆け足の内容になるかもしれないが、シンポジウムがうまく盛り上がってくれればと思っている。午前中には数点の小品を発送済み。友人たちもこの機会に集まってくれるようなので、夜は楽しい飲み会です。これで風邪ひいてなければ最高なのだけど。
結局、年末から気持ちが休まってないのが、一番大きい原因かもしれない。いまだにクリアできていない案件があり、どうにも落ち着かない。体調の悪さから集中できていないということもあるが、まとまった時間、絵を描けていないのが最大の要因だろう。わざわざ油彩の道具も運んできたのに、まったく手を付けることが出来ずここまできてしまった。
エスキースやスケッチはしているが、長時間、絵が描けないと本当に気分が悪い。それもやはり、実際に手で触れる道具を使ったものでないとだめなのだ。画面を通して指先からぴりぴりと伝わってくる素材の感触や、物理法則に支配された物質の動きが、たまらなく好きなのである。

ちょっと寝不足で、声も良くないかもしれませんが、明日お会い出来るのを楽しみにしています。

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投稿者 corvo : 23:29

2009年11月 5日

日本美術解剖学会発足

木曜日、あらたに設立される『日本美術解剖学会』の役員会に出席してきた。というのも、幹事の一人として名前を連ねており(リンク先にはまだアップされていないが)、いささか場違いな感じではあるが、美術解剖学を研究テーマの一つとするものとして、引き受ける事にしたのである。

以下の内容は事務局が作成したものです。
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日本美術解剖学会の設立のご案内

美術解剖学研究の第一人者を結集し、
美術解剖学の学会が新たに設立されます。
アカデミックで、かつエンターテインメントな、
日本で最高レベルの美術解剖学研鑽の場を目指しています。

会長  養老孟司  東京大学名誉教授、解剖学
副会長 坂井健雄  順天堂大学教授、人体解剖学

幹事  伊藤俊治  東京藝術大学教授、美術史、身体論
    遠藤秀紀  東京大学教授、比較形態学、遺体科学
    木下史青  東京国立博物館デザイン室長
    布施英利  東京藝術大学准教授、美術解剖学
    松井冬子  画家
    小田隆   成安造形大学講師ー関西支部担当

事務局 東京藝術大学・美術解剖学1研究室  事務局長・布施英利(事務担当・古川)

監事  松尾大   東京藝術大学教授
    高橋亨   東京藝術大学教授

第一回大会は、2010年1月に開催予定です。
研究者、芸術家から、美術愛好家や学生まで、
さまざまな方の参加を広く募っています。
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興味のある方は、リンク先の事務局へ問い合わせてみてください。

1月の大会では、僕はシンポジウムのパネリストの一人として登場することになりそうです。

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投稿者 corvo : 22:35

2009年11月 2日

人体表現研究室、Hiroさんとの美術解剖学講義『上肢』

日付を遡ってエントリーをアップ。
11月2日は、Hiroさんによる美術解剖学講義『上肢』を行った。今回もモデルはHiroさんとキャメロンさん。
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「上肢」とはひらたく言えば「腕」のことなのだけど(動物では前肢)、前回の体幹とも大きく関わってくる部分だけに、半分ぐらいはおさらいの内容になってしまった。
Hiroさんが写真でポーズをつけてくれている前腕の部分は筋肉も多く、そのレリーフ変化も複雑なのでもっと時間をとりたいところだったのだけど、触れる程度になってしまったのは今後の反省点である。40名を超える受講者に向けて説明するため、同じ内容を方向を変えて繰り返し伝えなくてはならない。これが20名ぐらいであれば、ほぼ1回ずつで先に進んで行けるのだろうから、濃密な講義内容を目指すという点では、人数の多い事はどうしてもデメリットになってしまう。

前腕の男女差。太い細いの差はあるが、それほど性差の出ない部分のひとつである。
今回はアトリエ路樹絵の渡辺先生も見学に来られていて、僕としてもちょっと緊張感のある時間だった。
クロッキーは2枚だけ。
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20分。足が長過ぎる。手が走りすぎて、冷静にプロポーションを取る事がおろそかになってしまった。
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10分。
前期から合わせると計5回目のHiroさんの講義。だいぶこなれてきた部分も多く、でもまだ改良する点もたくさんあるので、僕自身のスキルアップとともにより充実した内容にしていきたい。
きちんと体系化したカリキュラムを、来年に向けて作成してく必要があるだろう。

次回の講義は12月21日。「下肢」編です。

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投稿者 corvo : 23:29

2009年10月15日

人体表現研究室、Hiroさんとの美術解剖学講義『体幹』

ついに後期日程でも、Hiroさんの美術解剖学講義が始まった。内容は前期と同じだが、Hiroさんとのコンビネーションは格段に良くなってきている。いわば手探り状態だった前期から、ある程度確信を持って授業を行う事が出来るようになってきた。
今回は体幹部。胸から腹にかけてをHiroさんが、背中側を僕が解説。女性モデルはキャメロンさん。男女の性差についてもくわしく説明を加えた。

キャメロンさんもかなり鍛えているので、非常に皮下脂肪が少なく、女性でありながら筋肉がよく観察できる。

骨格模型との比較。
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腕の動きに伴い収縮する大胸筋を、学生に触らせて実感してもらっているところ。こんなことができるのは、Hiroさんの講義の時だけだ。
まだまだ改善の余地はあるが、現時点ではベストの授業ができたと思う。自主的に集まった学生たちとはいえ、美術解剖学に対する関心、人体を描く事への意欲は極めて高い。観て、触って、描いて、それらを繰り返す事で、スキルを高めていくことができる。自分で授業をしながら、僕が学生の時に受けたかったと思っている。
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最初の1枚目。20分。男女ダブルはきつい。
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こちらも20分。
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講義の後に描いた10分クロッキー。

この日は朝からずっと授業だったので、丸1日描き続けだった。まさにクロッキー漬け。
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午前、10分クロッキー。
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午前、20分クロッキー。
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午後、10分クロッキー。
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午後、20分クロッキー。

次回のHiroさんの講義は11月2日に開催。「上肢」編です。

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投稿者 corvo : 22:26

2009年8月20日

ウィトルウィウス的人体"骨格"図 3

スキャナで取り込んだ画像をアップ。
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髪の毛はレオナルドのスケッチのままなのだけど、骨格にしてしまうと側頭部は豊かだけど、頭頂部がはげ上がってしまった人に見えてし方がない。ウィトルウィウス的人体図においては、「髪の生え際」も重要な基準のひとつになっているのだが。
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急遽、アイロンプリント用紙でTシャツを作ってみた。
ホネホネサミットで、スタッフTシャツとして着る予定。

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投稿者 corvo : 23:26

2009年8月19日

ウィトルウィウス的人体"骨格"図 2

先週のエントリーで紹介した『ウィトルウィウス的人体"骨格"図』が完成した。
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円の直径が48cm。紙にミリペンで制作した。
身体のアウトラインは、レオナルドのスケッチに準じている。
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肋骨を描くのに、一番神経を使った。
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左足は真横を向くため、股関節から徐々にひねっていっている。
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こうやってみると、人の手というのはかなりの大きさである。
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きちんとスキャナーで取り込んでデータ化し、これから色々なところで使おうと思っている。
まずは成安造形大学人体表現研究室のシンボルマークとして使う予定。

追記:すでに、ウィトルウィウス的骨格図を描いている人がいるのですね。Tシャツも販売されています。
でも、僕も独自に作りますよ。

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投稿者 corvo : 17:18

2009年7月19日

第16回美術解剖学会大会

18日土曜日は第16回美術解剖学会大会に参加してきた。朝、関西事務所から向かって、東京芸大に着いたのは午前10時30分頃。もっと早く出れば最初の発表にも間に合ったのだけど、体力的なことを考えて時間を設定したのだった。それでもこの日の睡眠は1時間30分。新幹線のなかでも少し寝たが、合計でも3時間ほど。日中、つらいかなと思っていたら、夜の飲み会まで眠くなることもなく乗り切れてしまった。
今回、もっとも注目していたのはManfred Zoller氏の特別講演だった。その講演は期待に違わず素晴らしいもので、美術解剖学について大きなヒントをもらうことが出来た。Manfred Zoller氏はドイツで美術大学教鞭をとっている美術解剖学者であり画家でもある。講演内容は、その大学で行っている授業の課題の紹介が中心だった。それらは身体の機能を単純化し、様々な素材を使って作られた模型であり、動きを再現したものもあった。
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これは四足哺乳類を模式化した模型。針金で骨格を、帯状の紐で筋肉を再現している。
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こちらは非常に美しく作られた、木製の人間の手の骨格模型。
骨格と筋の動きや働きを理解するのに、非常に効率的で楽しい課題だと思う。自分でも作ってみたいし、学生にもやらせてみたい。
とにもかくにも大いに刺激になる講演だった。

午後の2番目に僕の発表。直前まで機材のトラブルでばたばたしたが、なんとか無事乗り切ることが出来た。発表中は皆熱心に聞いてくれていたと思う。Hiroさんの実演では、大いに会場がわいていた。
しかし発表後、質問がなかったのは残念だった。全体に時間も押していて、充分に質問時間がとれないというアナウンスがあったのも原因だったかもしれないが、一つでも質問があれば良かったのだけど。達成感もあり、発表としては成功だったと思う。

午後の最後にはもう一つの目玉である、四谷シモン氏の特別講演があった。
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作家が自分の制作について語るという内容で、生の声を聞けたという点では、非常に興味深く面白いものだったと思うが、美術解剖学との関連性はほとんどなかった。

今年の大会は特別講演の影響もあったのか、大盛況だった。いつもの会場ではまかないきれず、途中もっとも広い第一講義室に移動するというハプニングもあった。しかし、暑かった。講義室はエアコンがなく、階段状になった空間の上の方は、熱気が充満していてただ聞いているだけで汗が噴き出すような状況だった。パソコンなどの設備も含めて、東京芸大のインフラはかなり前時代的で改善してほしいところだ。準備されていたノートパソコンがiBook G4でOSは10.3。パワーポイントのファイルをCDRで郵送しなくてはならないことといい、あまりにおかしい。

全体には興味深い発表もあったが、美術解剖学と関連性の薄いものが多く低調であったと思う。発表する顔ぶれに何人か常連がいるのだが、もっと他に美術解剖学を全面的にテーマにした発表者はいないのだろうか。
良い出会いもあり、楽しいことも多かったが、学会としては残念ながらもうひとつだったと思う。

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投稿者 corvo : 22:36

2009年7月18日

今日は美術解剖学会

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もう今日なのである。こんな時間まで準備に追われていた。これから仮眠をとらねば。
朝、京都まで行って新幹線に乗り、東京芸大には10時30分頃に着く予定である。
スライドショーの準備もでき、先日の火曜クロッキーの時に、Hiroさんとの打ち合せ、リハーサルも済んでいる。行きの新幹線でしっかり寝て、午後の発表に備えよう。
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僕の口頭発表は14時35分の予定です。15分間の発表、5分間の質疑応答です。

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投稿者 corvo : 03:32

2009年7月 1日

第16回美術解剖学会大会

今年もついに7月に突入。これまでにないほど動きの激しい月になりそうだ。移動だけでなく、制作の上でもさらなる生産力のアップが必要になってくる。
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月末の丸善での展覧会の前に、『第16回美術解剖学会大会』での口頭発表が控えている。
1日だけ開催される学会なので、それほど発表数は多くないが、特別講演としてマンフリート・ツォラー氏と四谷シモン氏が予定されているのは楽しみである。
前々回の大会では古生物の復元についての講演を行ったが、今回は美術解剖学モデルHiroさんの協力を得て、人体表現についての発表を行う予定である。

もし興味のある方がいらっしゃいましたら、7月18日(土)に上野の東京藝術大学まで足をお運びいただければと思います。

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投稿者 corvo : 23:31