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2011年4月20日

Hiroさんの美術解剖学特別講座2011前期1


今年度も再び『Hiroさんの美術解剖学特別講座』がいよいよ開講である。昨日はその第一回目『体幹編』。
主に腹側から見た大胸筋、腹直筋、外腹斜筋などを中心に解説。僕は骨学の面から鎖骨、胸骨、肋骨、腸骨稜などをポイントに、クロッキーやデッサンする上で重要な部分を解説。背中の筋肉レリーフは上肢帯の動きに大きく影響されるのと、解説に時間がかかるため今回は基本的なポイントだけに終始した。次回の『上肢帯編』でしっかり解説します。
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20分クロッキー。男女ダブルポーズ。美術大学であっても男女ダブルポーズが描ける環境はなかなかない。僕自身、成安造形大学に赴任してから初めて描くことが出来た。
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これは今日の授業で描いた5分クロッキーなのだけど、意識的に骨格や筋肉を強調して描いている。
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こちらも同様に20分クロッキー。
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学生への解説のために、黒板へ簡単に骨格の特徴を図示。2分ポーズのクロッキー中に描いた。
美術解剖学は人体を描く上で、とても有用なツールではあるが、美術解剖学を理解しているからといって人体が正確に美しく描ける訳ではない。あくまでも基本は外面の観察力である。アウトラインを含む人体の形態、筋肉のレリーフ、光の移り変わり、それらを観察し表現することが出来なければ、どれだけ人体の構造に詳しくなっても意味がない。もし、構造を知っているだけで絵を描いたり彫刻を作れたりするのなら、解剖学者や医者は絵や彫刻が上手いはずである。でも決してそんなことはない(もちろん優れた表現者である医者や学者もいます。多分。)。
外面を観察して得られた結果と、内部の構造との整合性がとれることが理想的である。
写真は物に反射する光の量を定着しているだけである。皮膚の下に筋肉や脂肪や内臓や骨があることには全く無関心である。質感も同様に意識することはない。しかし美術解剖学を学んだ人間は、皮膚の下にどのような内部構造があるかを知っていて、顔だけを見ていてもその人に後頭部があることを認識している。そこが写真とは圧倒的に違うのである。
フォトリアリズムとリアリズムの違いを、この点から端的に説明することができる。
絵画の真骨頂は、「見えないものを描く」ことに尽きると言っても過言ではないと思う。フォトリアリズムは見える部分しか描いていない。だから僕は違和感を感じてしまうのだ。

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投稿者 corvo : 2011年4月20日 23:30