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2008年2月10日

制作プロセスの違い

現在、複数の企画に関わっているため、それぞれのプロセスの進度に違いがある。これはこれで頭の切り替えが難しい。エスキースを決定するまでの試行錯誤には、かなりの時間とエネルギーが必要だ。すとん、とひらめくこともあるが、多くのエスキースは無数のラフスケッチの上に成り立っている。形にもならないような、線の集積が机の上に次々と積み重なっていく。こういったラフには主に安価なコピー用紙を使う。
古生物の復元画の場合は、この作業と同時に資料のリサーチという重要なプロセスが必要になる。なので、手が止まる事もしばしば。何時間も資料を読んだり、探したり、描く事に集中出来ない時間も多い。こういった時間を経て、ようやく納得のいくエスキースが出来たときは、本当に気持がいい。絵画的な構造がきちんと出来ている事、美しい構図である事、資料的にも科学的にも破綻がないこと、これらを理想として制作している。

エスキースが決まると、今度は本番(タブロー)に入るわけだが、ここからのプロセスは作業という側面が強い。まったく使う筋肉が違うというか、頭を使う領域が違う。何か問題が起きても、技術と力技で対応できる部分が大きい。ただし、そのためには理想的なエスキースが出来上がっている事が必須だ。良い土台なくしては、何も建てることはできない。エスキースの検討が不十分だと、迷い、苦労することになってしまうのである。

一点だけの制作ならば、集中して制作することも可能だが、同時にいくつもの絵を描いていると、それぞれの進捗具合によって、僕自身かなり混乱してくるのも事実だ。特にエスキースの作業と、タブロー制作の作業を同時進行するのは難しい。どうしてもどちらかにウェイトが偏ってしまう。もともとあまり器用なほうではないので、同時並行に進めるのは得意とは言いがたい。これまでの経験と訓練で、なんとか出来るようになってきたようなものだ。

今日は一日、エスキースの制作で苦しんだ。ぴたりと決まった感じではないが、これはちょっとラフな感じで進めてしまおうと思っている。時間的に追いつめられているが、新しいことを試してみたいのだ。
もっと手数を減らして、ラフなタッチで効果的な画面を。大作の制作で新しい領域が垣間見えた気がするので、忘れないうちに現実のものにしたいと考えているところである。
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投稿者 corvo : 2008年2月10日 23:58