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2006年11月27日

「水からの伝言」まとめ2

前回、『「水からの伝言」まとめ』としたのだけど、まだ消化不良の部分もあり、まとめと言えるほどのものではなかった。とはいえ、今回もまとめられる自信はない。そもそも、簡単にまとまるようなものではないのだけど、今回の一連の流れの中で、僕が最もショックだったのは、このblogの記事をきっかけに「水からの伝言(以下、水伝)」を道徳の授業に使ってみたいという教師が出てきてしまったことである。
これは予想外であった(”軟らか銀行”じゃないけど)。「水伝」を学校教材で使うことは絶対に避けるべきであるという、警鐘を鳴らす意図で書いたものだったのに、「どうすれば学校で使えるか」というアイデアまで出てきてしまった。
しかし、どうやっても使いようはないのである。

「傷つけるような言葉を止めさせればいじめも自殺もなくなる」ということは、一面的には言えるかもしれないが、必ずそうなるとは言えない。人間同士が関係を持って生きていく以上、傷つけ合わずに済むことは決してない。もし、そんなことはないと言う人がいるとしたら、それは摩擦を忌避して問題を先送りにしているだけである。もちろん傷つけ合わなければ、関係を築けないわけではないけど、人間関係の中には誤解や行き過ぎなどで、傷ついてしまうことは多々ある。そんな時、どうやって関係を修復するか。新たな関係を築くにはどうすればよいか。そこを考えていく方が教育上、重要な部分であると思う。そうやって困難な場面を解決することで、人としての経験値を上げていくのではないだろうか。

良い言葉(綺麗な言葉)、悪い言葉(汚い言葉)とはなんだろうか。「水伝」では良い言葉の代表として「ありがとう」、悪い言葉の代表として「ばかやろう」を上げているが、単語だけ見てそれを定義づけることは不可能である。
単語に良い、悪いも、綺麗、汚いもない。これは色についても言える。
今、僕が描いている復元画で使用している色は、ほとんどが土性系の顔料をもとにしている。平たく言えば茶系である。制作中のエントリーの画像を見てもらうと分かるのだけど、単色やパレット上の混色された絵の具は、単独で見るとあまり綺麗とは言えない色だろう。毎朝見る、うんこの色とそう変わらないかもしれない。
しかし、これがひとたび絵の中に配置されると、それぞれの色が意味を帯びて、絵画空間を形成していくことになる。文章もまったく同じである。言葉を単独で選んで、それが綺麗だの汚いだの決めることは、決して出来ないのである。もし、決められると言うなら、それは極めて傲慢な考え方だ。
言葉をそんな風に定義してしまう「水伝」が、道徳教育に適しているはずがない。物語としても、まったく破綻してしまっている。
言葉遣いが悪いから駄目な子だ、言葉遣いがいいから良い子だ、これってものすごく乱暴な考え方ではないだろうか。少々口が悪くても、立派な人格で愛すべき人物は、少なからずいる。僕が昔からお世話になっている宮大工の棟梁が、まさにそんな人である。よく何度も「ばっかやろう」と言われたものだ。
僕の体内の水は、そうとう駄目になっているな。

今回の一件で出会った「水伝」関係のサイトをまとめて上げておこうと思う。
科学的な側面からのサジェスチョン。
「水からの伝言」を信じないでください
kikulog
水商売ウォッチング

学校でお子さんが授業を受けてきて、その対応に苦労された方の手記。
水は答えを知りません

さらに深みにはまりたい方はこちらへ
「水からの伝言」関連リンク集-選定版

僕のエントリーをきっかけに、友人が書いたblogのエントリー
『水からの伝言』の是非(芸術的イエローカード)

いじめ問題に対するひとつの解答
孟母三遷(しましまえんで)
緊急提言!いじめ対策への新しい視点(芸術的イエローカード)

これらを読んでも、まだ授業で使いたいという教師はいるのだろうか。
こんなblogのように、学校不要論や教師不要論を声だかに叫ぶ人間も出てきていて、それも致し方ないかなと思えるような現状なのかもしれないが、教育とは国家にとって最も重要なものであり、学校や教師が子供たちの教育に大きな役割を担っていることは間違いない。
だからお願いです。「水伝」を授業で使わないでください。アンクルディノさん、絶対に駄目です。

前回のアイスストーンさんのコメントで面白いものがあったので、ビジュアル化してみました。
『善悪の区別とレッテル貼りは違います。今回の件は音楽に限定されているようですが、偏狭な知識で職業や人格に貴賎や差別を作るような教育が氾濫してない事を祈ります。例えば「骨とかカラスとか黒猫とか好きな人は黒魔術をやっているに違いないから近づくな」とか(corvoさんオチに使ってスミマセン:笑)』
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骨がたまらなく好きで、いくつかコレクションしており、
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カラスはこのblogやスタジオの名前にするほど敬愛しており(この剥製は死体を拾ってきて作ってもらったもの)、
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黒猫が飼いたくてわざわざネットの里親募集で探し、毎日地下室で制作している怪しい人間です。
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毎日遅くなってしまってます。もう寝ます。応援よろしくお願いします。

投稿者 corvo : 2006年11月27日 03:45