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2006年9月17日

Argentina紀行09 2006年8月20日

フィールド初日。後で振り返ってみると、この日は日曜日。アルゼンチン隊にしてみれば、日曜日に調査するのは異例のことだろう。
キャンプ地から数百mの場所まで徒歩で向かう。天気は快晴。前日の夜空同様、まったく雲がない。真っ青な空。風がないと、まったくの無音の世界。乾燥しているせいか音が響かない。
今回、初めて日焼け止めを使ったのだけど(最初はぬるぬると匂いがちょっと気持ち悪かった)、塗らなかったら酷い状態になってしまっただろう。とにかく日射しが強い。帽子とサングラスも欠かせない。
あまりに乾燥が酷くて唇がばりばりに割れてしまった。血も噴き出し黒いかさぶたが出来る。テレビスタッフが準備してくれていたリップクリームをもらって頻繁に塗り続ける。それでもすぐに乾いてくる。水分も意識して摂る必要がある。喉が渇いていないと思っていても、定期的に飲まないと身体が乾いてきてしまう。目安となるのが爪の状態で、割れやすくなってしまう。僕自身もしばらくして左手中指の爪が、少し欠けてしまった。
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アップダウンのある地形。高低差はそれほどでもない。砂漠というより、細かい土ぼこりで覆われたような大地。砂に足をとられて歩きににくいという感じではない。
この日見たフィールドでは、化石が見つかるのは乾いた泥の軟らかい地層。骨は白っぽかったり、赤紫色をしている。判別は比較的簡単だとこの時は思ったのだけど、このフィールドは一筋縄でいかないことが後々分かってきた。
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リンコサウルス類の脊椎の断面と思われる化石。
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右の写真に写っているのは、左からドクター・アルコバー、リカルド、チャカ。左の写真は、リカルド、ロドリゴ、久保君、村上君、チャカの面々。リカルド(彼も博士号を持つ)は化石探しのスペシャリストで「God Hand」の持ち主。ほ乳類型は虫類の研究者でもあり、化石の同定、発見については、超越した能力を発揮する。チャカとロドリゴは、プレパレーションを専門とするテクニカルスタッフ。
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リカルドが地表に少しだけ顔をのぞかせた化石を発見する。広大なフィールドの中からこれだけを発見するのは、やはり並々ならぬ眼力である。
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大の男たちが寝そべって、夢中になって掘り出し始める。集中力の必要な繊細な作業の連続。刷毛を使って、表面の乾いた泥を取り除いていく。地面の中の形態を想像しながら作業を進めなくてはいけない。
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ほ乳類型は虫類の頭骨と思われる。仰向けの状態。最初に見えていたのは、左側の頬骨と歯槽の一部。歯は抜けてしまっているが、見事な保存状態の化石である。後日、石膏ジャケットに包んで掘り出すことになった。
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このフィールドは、似たような景色が延々と続く。油断すると自分がどこにいて、どちらの方向を向いているのか分からなくなる。常に目印を見つけておかなくてはならない。
ロス.コロラドスの方向に歩けば、かならずキャンプ地に戻ることができる。この日は常に数名で歩いていたので迷うことはなかったけど、自分の位置が分からない時は高台に登って方角を確認する必要がある。そんな時、ロス・コロラドスの赤い崖が一番の目印になるのである。

午後5時過ぎにキャンプに戻る。夕方になるとだんだん冷え込みが厳しくなってくる。昼間、暑くても急速に気温が下がってくる。暖をとるために、ワインを飲みながら皆でたき火を囲む。
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火を見ていると気持ちが落ち着く。
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夕食を待つ間、チャカをクロッキー。彼は料理番のリーダー的人物でもある。海賊のような風貌。
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この日のメニューはミラネッサ(ミラノ風カツレツ)。ドクター・アルコバーがシェフ。レモンを絞って食べると美味い。この日の夕飯も大満足だった。
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表彰台から落ちてしまいましたが、応援よろしくお願いします。

投稿者 corvo : 2006年9月17日 22:30