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2006年6月28日

竜脚類の死因(番外編)

これまでsilly talkで重点的に「竜脚類の死因」を扱ってきたのだけど、今日はまじめな考察で。「番外編」がまじめというのも、このblogらしいのだけど、頭骨と頸椎の関係について考えてみたい。
今年は世界の巨大恐竜博2006にスーパーサウルスの復元骨格がやってくる。おそらくこの時期に合わせてと思うが、ニュートンの8月号も竜脚類の特集で、表紙はスーパーサウルスの頭部の復元である。
スーパーサウルスは不完全な骨格しか見つかっていないが、アパトサウルスに近縁であることから全身骨格の復元が行われた。ならば頭骨と頸椎の関係も、アパトサウルスに準ずるべきである。
blog06062801.jpg
ところが、このイラストのようにトカゲ型の復元になっているものが多い。恐竜=は虫類というイメージ、細長い頭骨の形態から、トカゲのような頭部と首の関係に復元してしまうのかもしれないが、これは大きな間違いである。
骨格を並べてみると、こういた復元は無理があることがよくわかる。
blog06062802.jpg
頭骨には後頭顆という頸椎と間接する突起がある。アパトサウルスの場合、この後頭顆は頭骨の長軸に対して直交している。なので左上のイラストのように頸椎を水平に並べると、頭骨の口先は下を向かなくてはならない。前方に動かせたとしてもイラストのアウトラインまでが限界だろう。一枚目のイラストのようにトカゲ型の復元を試みようとすると、右下のイラストのように骨格を関節させなくてはならなくなる。こうなると頭骨と第一頸椎の間で中枢神経が屈曲してしまうことになる。そう「すでに死んでいる状態」なのである。秘孔を突かずとも絶命しているのだ。
あくまでも復元であるし、もともと死んでいる化石をもとにしているのだが、かつては命を持ち活動していた生物に対して、これはあんまりな仕打ちである。
復元は命に敬意を表さなくてはいけない。最初から命が機能しないような復元はするべきではないのである。
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投稿者 corvo : 2006年6月28日 19:59