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2005年12月 5日

北斎の鵜図

先日の北斎展の図録を見ていて、どうも気になることがあった。
北斎の描く鳥の造型は、特に顔の描写にリアリティを感じない。眼が横に長く楕円で、鵜図では頭の上のほうについているように見える。
しかし、それ以上に気になったのは脚の描写であった。鵜の脚の形をしていない。鵜の指は第一指から第四指まであり、第四指がもっとも長くなるのだが、北斎の鵜は第三指が一番長い。北斎ほどの「眼」であれば、鵜を見て気が付かないはずがない。実物を写生したことはなかったのだろうか。
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図録「北斎展」P252「巌頭の鵜図」から部分を転載。
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鵜の脚部。紙にペンで描いてみた。時間がなかったので右脚だけである。左脚はあたりをとったところまで。通常、これぐらいのあたりからペン入れをしている。
だが科学的正確さがないからといて、北斎の描く鳥に魅力がないわけではない。
どれも素晴らしいものであった。
時代と個性の違いはあるが、僕は蕭白の描く鳥図のほうが好きだ。でも、これは蕭白が好きで好きでたまらない、一マニアの言葉として聞き流しておいてほしい。
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投稿者 corvo : 2005年12月 5日 00:16