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2008年1月 6日

『イシグアラスト タランパジャ ~地球最古の恐竜が眠る大地~』

一昨日の金曜日、放映された番組を見ました。僕自身としては、西島さんが訪れた地域や映像が、とても興味深かったです。ずっと発掘キャンプにいたので、それ以外の場所に行くことはありませんでした。
気候の変動が、アルゼンチンの農村部に打撃を与えていること、乾燥した地域にもおどろくほど豊かな生態系が存在することなど、番組を通して知ることが出来たことも多かったです。
いくつかのレビューをネットで読みましたが、もっと発掘について見せてほしかった、という意見が多かったと思います。2時間あまりという時間の中で、2週間以上に渡った発掘の様子を紹介することは無理がありますが、放映されなかった面白いエピソードはたくさんありました。ここで全てを書くことができませんが、いくつか紹介できればと思います。

今回の放送で嬉しかったのは、CGの出来の良さでした。ヘレラサウルス、キノドン、リンコサウルスは、僕がデザイン画を作り、CGアニメーションを作ってもらったのですが、生物としてのリアリティを持った動きを見ることが出来て、とても質が高かったと思います。他の生物のデザイン画も描いたのですが、登場した上記の3体だけでした。
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ヘレラサウルス、骨格図と筋肉を復元したもの。
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生体復元三面図とカラーリングの指示書。
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キノドンの生体復元三面図。
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リンコサウルスの骨格図。
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生体復元三面図とカラーリングの指示書。これらの資料をもとに、静止した3DCGを作って見せてもらい、それらの修正点を指摘して直してもらう、というやり取りを何度か繰り返しました。どういった動きになるかまではチェックしなかったので、今回、動いている映像を見てほっとするとともに、とても嬉しかったのです。
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今回登場しなかった、エオラプトルの生体復元三面図

以下、余談なのだけど・・・
以前、このblogでNHKの恐竜番組のCGについて批判したが、日本のCGアニメーションの技術が世界に比べて、決して低いわけではないことを実感することができた。問題はどういったプロセスで復元するか、という点に尽きると思う。科学的に正確なデザイン画を準備することができれば、質の高いCGアニメーションを制作することは、この日本でも充分に可能である。すでに誰かが復元したものを参考にするのは、大きな間違いである。化石=骨からスタートすることが鉄則だ。その基本なくして、質の高い古生物の復元CGを制作することはできない。
発掘の経験だけでなく、復元CGについても良い経験を積むことができた。
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投稿者 corvo : 2008年1月 6日 16:24