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2006年7月22日

NHK公開セミナー「NHKスペシャル・恐竜VSほ乳類」2

しつこいようだが、前回のエントリーに補足を。
今回の恐竜博は幕張メッセで行われるということもあって、NHK千葉放送局が積極的にイベントを行っている。僕も縁あって小学校恐竜キャラバンに講師として参加するなど、広報活動に協力してきた。とても楽しい経験ができたし、スタッフの方たちとも仲良くなることができた。
そんな彼らが力を入れていたイベントだからこそ、盛り上がるものになってほしいと願っていたのである。
それなのに、昨日のプロデューサーの一言で開いた口が塞がらなかった言動があった。
まだ、幕張メッセの恐竜博を訪れていないのだという。そして、今後もスケジュールがあうかどうか分からないという話をしていた。信じられないことである。
先週のシンポジウムには、番組に登場している海外の研究者も多数パネリストとして参加していた。当然、レセプションにも出席されていた。普通なら、どんなに忙しくても時間をとって会場へ足を運び、彼らに挨拶するのが筋ではないだろうか。もちろん、すでに別席で歓迎し挨拶は済んでいるのかもしれないが、最低限、彼らが研究対象として何よりも大切に思っている化石たちを見に来るべきではないだろうか。実際に恐竜博の会場を見ていたら、もっと客席の子供たちともコミュニケーションをとることができただろう。

先日のエントリーに「cgartist」と名乗る方から書き込みがあった。
僕や他のコメンターから出た「プロの仕事」ではないという言葉にたいしての反論である。一つ整理しておかなくてはいけないのは、僕はCGを作っている現場のスタッフを批判しているわけではないということである。あくまでも番組としておかしな所があると言っているのである。
繰り返しになるが、僕自身はCGの知識も技術もない。しかし、古生物を「復元」するということはどういうことか?ということに関しては、明確に話をすることができる。その判断基準から照らし合わせて、今回の番組のCG映像を見る限り「復元」するという最低限の手順を踏んでいないことがはっきりと分かる。また、僕は絵描きである。ものを作ることに携わっており、日々予算や期日に苦しみながらも、質の高い仕事を目指している。CGの現場は分からないし、実際に仕事をしたことがないので想像の域を出ないが、では僕が絵描きとしてどういった現場で仕事をし、どれだけの枚数や手順を重ねて制作しているのか、cgartistさんは理解されているのだろうか。
でも、仮に僕の仕事の現場を知らない人から批判を受けたとしても、その作品を公開している以上甘んじて受け入れなくてはいけないし、出来の悪さの言い訳をしてはいけない。
もう一点、誤解を解いておきたいのだけど、ここにコメントをしてくれたり読者になってくれている人たちは、皆が皆古生物オタクだというわけではない。むしろ少数派だろう。知人友人も多いのだが、クリエイティブの現場で日々頑張っている人たちも少なからずいる。古生物(科学)に関して言えば、オタクでなくては気づかないこと、知り得ないことというのは存在しない。論文として発表されている科学的情報に、全ての人がアクセスすることができる。常に開かれているのだ。その情報に対して真摯に向き合えば、復元の初歩的なミスは防げたはずである。
どんなに技術レベルが高くても、正確な科学的情報がなければ、きちんとした「復元」は不可能だということを良く分かっておいてほしい。クリエイターであるならば、「復元」が間違っていると指摘をした「古生物オタク」たちへ批判の矛先を向けるのではなく、きちんとした情報を共有できない組織のあり方を再考するべきではないだろうか。
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投稿者 corvo : 2006年7月22日 13:45