« 世界の巨大恐竜博2006 | メイン | ぎっくり腰 »
2006年07月17日
世界の巨大恐竜博2006・記念シンポジウム
ちょっと更新が開いてしまった。昨日は午前中から幕張の恐竜博会場へ。朝から暑い。いつもなら電車の中で冷房用に一枚羽織るのだけど、それもいらないほどに暑い。なので長袖のシャツを手で持っての移動。

この日も、展示をゆっくり見る時間はなかったのだけど、前回気がつかなかった翼竜を発見(そんなたいしたことではないけど)。展望台のようになっている場所から見えるのだけど、少し遠い。これを下のフロアから見ようとすると、さらに遠くなってしまう。翼竜は繊細な骨の構造をしているので、もっと近くで観察したいところである。空を飛ぶ動物だからといって、高い位置に展示することはないと思うのだけど。

ティラノサウルスとトリケラトプスの背景に見える垂れ幕が、じつにゆるい感じである。中生代の植生や環境を表現しているのだろうが、垂れ幕のしわの入り方と同様に、どうにも緊張感のないイメージである。ここまで拡大するのなら、かなりの密度の描写が必要だろう。それが出来ないのなら、もっと抽象的なイメージでも良かったかもしれない。自然科学展の展示レベルも美術展並にしていくべきだろう。僕が関わったことがある恐竜展も含めて、脇が甘い感じが毎回否めない。美意識の高い展示を見たいと思うし、そんな展示に参加したいと思う。
先日のエントリーで少し話題にした、竜脚類の肩甲烏口骨だが、カマラサウルス以外でもエウロパサウルスで左右を関節させた復元が行われていた。

離島で小型化したと考えられている、全長6mのブラキオサウルス科の恐竜である。画像に図示した部分に、獣脚類に見られるような叉骨があっても不思議ではないと思うのだけど、今のところ竜脚類では発見されていない。
この日は記念シンポジウムが、恐竜博会場近くの幕張メッセ国際会議室で開催された。実は抽選に漏れたのだけど、友人から受講券を譲ってもらうことができて入場することができた。しかし、会場を見渡すと空席がけっこう目立つ。当選したのに、こなかった人が多いのだろうか。外れて残念がっていた友人もいただけに、複雑な心境になる。
会場に入ったとところで、羽織るための長袖のシャツが無くなっていることに気づく。恐竜博の会場で落としたと思い、拾得物を調べてもらったのだけど届いていないという。もし見つかったら、後日連絡してもらうようお願いをして、シンポジウム会場へ戻った。
パネリストと題目は以下の通り。
-----
「恐竜研究ってこんなにおもしろい」 群馬県立自然史博物館長 長谷川善和氏
前半、「恐竜の起源と巨大化」
「三畳紀の恐竜の起源と地球環境」 ニューメキシコ自然科学博物館長 エイドリアン・ハント氏
「大型恐竜の大陸・中国における竜脚類の進化」 中国科学院古脊椎動物古人類研究所教授 董枝明氏
「スーパーサウルスと巨大化の時代〜モリソン層の恐竜たちと地球環境」 デンバー自然科学博物館博士 ケネス・カーペンター氏
「大きくなった恐竜と大きくならなかった恐竜たち〜ジュラ紀のヨーロッパ」 ロウリンハ博物館研究員 オクタビオ・マテウス氏
後半、「多様に進化していった恐竜たち」
「中国・熱河と日本の恐竜たち」 国立科学博物館地学研究部主任研究員 真鍋真氏
「大きな爪と羽毛を持った恐竜〜様々な形への進化」 中国科学院古脊椎動物古人類研究所教授 徐星氏
「恐竜は何を食べたか」 北海道大学総合博物館助手 小林快次氏
「肉食恐竜の生態最新研究成果」 ブラックヒルズ地質学研究所所長 ピーター・ラーソン氏
-----
各パネリストの発表は、恐竜パンテオン特集・世界最大の恐竜博2006に詳しく掲載されている。
非常に面白かったのが、ピーター・ラーソン氏の発表で、ゴルゴサウルスの標本から分かる、怪我や病気についての話。僕も前回のエントリ−でこの標本の骨折や骨の腫瘍について触れたのだけど、さらに詳しく説明を聞くことができた。左肩甲烏口骨の腫瘍と思われたものは、骨折が治る過程で感染症に罹り、骨が異常増殖したものだということである。尾椎にも骨折の治った痕があるのだけど、これはティラノサウルスの有名な標本である「スー」にも共通しており、交尾の過程で起こる典型的な怪我だったのではなかったのだろうかということである。
また、保存の良い脳函を調べたところ、脳腫瘍を患っていたのではないかと思える証拠が見つかったというのである。脳は軟らかい臓器で化石には残らないが、腫瘍化したものが骨化し化石として残っていると考えられるということだった。
シンポジウム終了後、上京していた友人や恐竜倶楽部のメンバーと近くの飲み屋へ移動。この時点でも、僕のシャツは見つからず。半ば諦めかけていたとき、飲み会を中座して帰った友人が再び戻ってきた。何事かと思ったら、僕のシャツを片手に持っている。どうやら駅から会場へ向かう途中に落ちていたらしい。感謝、感謝、助かりました。およそ数時間そのままになっていたとは、平和というか無関心というか、雨が降らなかったのがラッキーだった。
いろいろあったが、この日も充実した一日でした。
![]()
![]()
ブログ村、2位まで来ました。目指すは頂上。応援よろしくお願いします。
投稿者 corvo : 2006年07月17日 20:34
トラックバック
このエントリーのトラックバックURL:
http://www.studio-corvo.com/blog/mt-tb.cgi/443
コメント
恐竜博に行った当日は興奮して携帯から投稿したので
あまり画質の良い写真をアップできなかったのですが
家に帰ってから改めてスーパーサウルスの写真を加工して全身が見えるようにしてみました。
もちろん、実際に会場で見るのが一番なんですが、
全体像を写真で見ても、その異様な巨大さが良く分かりますね。
翼竜は私も危なく見逃すところでした。
解説パネルがあるのに標本がないなあと思ったら、上にいた、という・・・。
確かにこういった展示物には時々子供だましのようなプレゼンもありますね。
私もティラノザウルスのバックの絵がホンワカムードなせいで
2頭の恐竜の、恐らくは死闘を表現してるディスプレイが
井戸端会議のようなほのぼのとした日常に見えちゃいました(笑)。
メイ・ロングなどの鳥類や初期のほ乳類が
密林で生活しているような様子が再現されている実物大模型?も
文化祭の展示物みたいでしたし・・・。
ほぼ完全な骨格標本が見られるだけで充分すばらしいと思うので
余計な装飾はかえって邪魔になるような気がします。
むしろ、ゴルゴサウルスの怪我歴なんかも、もっと掘り下げて解説してくれると
私も「デューク東郷?」なんて思わずに(汗)じっくり観察できたのですが・・・。
こういった点ではセイモくんの時の方が見せ方がうまかったように思います。
ところで、スーって裁判沙汰になる前はメスと言われてたようですが
その後、公式サイトでは性別不明と表示されてますね。
現在でもまだ雌雄は分かっていないのでしょうか?
投稿者 しのぶ : 2006年07月17日 23:42
どうも。シンポジウム会場で目撃しました。
挨拶せずでどうもすみません。
翼竜の展示は確かに見えにくかったですね~
写真に撮ったけど、あまりきれいに撮れませんでした(泣)
ピーター・ラーソン氏の話は面白かったですね!
どうしてここに怪我や病気があったのかということが
順序よく説明していて分かりやすかったです。
もっと詳しく聞いてみたいです。
投稿者 だいなそ~ : 2006年07月18日 06:29
むむむっ、お疲れさまです。今日、ムック届きました。まだしっかり読んでいませんが、面白いですね!!
そうなんですか、竜脚類にまで鎖骨があったんですか!?
確かに同じ竜盤目ですが、四足歩行でも鎖骨って必要なのでしょうか?
それとも恐竜の前から鎖骨が存在していたものなのでしょうか?
投稿者 ニヤゾフ : 2006年07月18日 12:57
あと、タペジャラの化石、前はもっと巨大なトサカがあったと思うのですが、あれは今では否定されて閉まったのでしょうか?
ちょっと見ない隙に、どんどん恐竜をはじめ古生物学は大どんでん返しがあるものなんですね。
投稿者 ニヤゾフ : 2006年07月18日 12:59
>しのぶさん
スーパーサウルスの写真、しのぶさんのブログで拝見しました。
でかいですよね。画像の切り貼りも見事でした。
わざわざジオラマにお金かけなくても、もっと工夫のしようがあると思うのです。会場であれだけCG映像を流していれば、ジオラマなくても十分楽しめるし、子供たちにも理解できるでしょう。骨格という存在が目の前にあるだけで、子供たちはその凄みを理解できるのだと思います。
もっとアカデミックで、美意識あふれる、そんな展示が見たいです。
小さい化石は、いろんな角度から観察できる展示ケースにしてほしいと、いつも思います。
そうですね、セズモサウルスのときのほうが、随所に工夫があったように思います。
スーの性別に関しては、ピーター・ラーソンはメスと考えているようです。おなかに 卵をもったティラノサウルスの化石でも見つかると、決定的ですよね。
>だいなそ〜さん
そうでしたか、声かけてくれれば良かったのに。
ピーター・ラーソンの話は面白く、画像も綺麗で分かりやすかったです。プレゼンが上手いですね。
>ニヤゾフさん
ムック、楽しんでください。
竜脚類の叉骨は、まだ見つかっていないと思います。あってもおかしくないし、ほ乳類のように左右の肩帯が独立して動いたとは思えないです。
タペジャラは詳しくないのですが、いくつかの個体で変異があるのかもしれません。
これからも、さらなるどんでん返しがあるでしょうね。
投稿者 corvo : 2006年07月18日 14:22
>ニヤゾフさん
このタペジャラは、どうも幼体だということです。
成長するに従って、従来しられているような形のとさかになっていくようです。
投稿者 corvo : 2006年07月19日 00:59
先日はありがとうございました。シンポジウムもその後の会食も楽しかったです。
帰りの電車では柏崎さんとかずこんさんの結婚指南講座でした(笑
>もっとアカデミックで、美意識あふれる、そんな展示が見たいです。
同感です。この背景の垂れ幕は美意識のかけらもないですね。
たとえば背景を数色の色面構成を展開するというのはどうでしょう?絵をオーダーするよりずっと手間と予算が省けるし、具体的な図像がない分、想像が膨らむと思います。また模型の複雑なフォルムと平坦な背面とのコントラストも美しく、骨格の観察もしやすいでしょう。背景画を全否定するわけではないですが、全部が全部同じことをする必要はないと思います。
いつも思うのですが、なぜ引算の思考が出来ないのでしょう?
投稿者 nijntje : 2006年07月19日 12:27
なるほど、様態だったんですね!!
投稿者 ニヤゾフ : 2006年07月19日 13:02
>nijntjeさん
こちらこそ、どうも。楽しかったですね。
>帰りの電車では柏崎さんとかずこんさんの結婚指南講座でした(笑
そんなことになっていたとは。
もし具体的なイメージを使うにしても、ナンヨウ杉のシルエットだけを無地の布にプリントするだけとか、シダの葉のイメージを大きく使うとか、やりようはいくらでもあると思います。わざわざ垂れ幕でなくてもいいと思うし、工夫が足らないと思います。
>ニヤゾフさん
はい、幼体だということです。
投稿者 corvo : 2006年07月19日 16:02


