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2006年5月13日

Dinosaur FACTory 1

昨日の金曜日、午前中は自宅にて打ち合わせ。とても天気がよい。
打ち合わせといっても、現在進行形の案件ではなく、一度仕切り直し、出直すための打ち合わせである。ここで詳しく書くわけにはいかないが、これから進展があったときは報告していきたいと思う。本を書き、出版するまでには、膨大な時間とエネルギーが必要になる。しかし、それに見合った報酬が得られるとはいい難い。特に、絵本業界の状況は、非常にお寒いといっても過言ではない。そんな中でも、出来る限りいい仕事をして、より良い本を子供たちに手に取ってほしいと思っている。そのためには、多くのことを改善し、自分自身のスキルを高め、理想的な状況を創り上げていかなくてはいけない。
ここ数日で、ひとつ企画書をまとめようと思っている。この企画書をもとに、仕切り直した出版社との関係を、もう一度構築していこうと考えているところである。

そして、午後からは14日で閉館してしまう有明のダイノソアファクトリーへ。距離的には近くにありながら、交通事情の悪さから3回ほどしか行ったことが無かったのであるが、今回あらためて展示物を見て激しく後悔した。もっと、普段から取材しておくべきであった。後悔先に立たず。
ファクトリーという名の通り、研究の舞台裏を見せる演出が素晴らしい。このファクトリーの母体である林原自然科学博物館がモンゴルで行っている発掘、プレパレーション、復元といった研究に至る様々なプロセスを、丁寧に紹介している。
展示されている標本の数は多くないが、それぞれの質が非常に高く、見応えがある。一つ残念なのは、これらの成果をこのダイノソアファクトリーかサイト上でしか見ることが出来ないことだ。これだけの標本があり、研究に携わっているスタッフがいるのならば、もっと論文として発表されても良いだろう。今、多くの論文が準備されているのかもしれないが、きちんと投稿され掲載された状態でなければ、公式にその研究成果を利用することができない。早く人類共有の財産として、研究成果を論文にしてほしいと切に願う。この施設の公式の図録のような出版物がないことも不思議である。パナソニックとの提携で、電子化されたデータの蓄積はあるのかもしれないが、手に取って読むことが出来る書物として、形にしてほしいと思うのは、僕だけだろうか。

今回、ブラキオサウルスを重点的に取材してきたのだが、やはりこの首を高く上げたポーズはファンタジーあるとしか思えない。骨格を見る限り、キリンのようにそびえ立たせることは無理である。
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堂々として、彫刻としての美しさはあるかもしれないが、生物としてあまりに不自然である。
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この写真を見てもらうとよくわかるが、あきらかに関節が外れている。というよりも、わざわざ首を高くあげるポースのために、関節を意図的に外しているのである。これは復元ではなく、理想を追求した創作であろう。
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こちらの写真でも、はっきりと分かると思う。S字を描かせるために、付け根近くは関節突起が重なりすぎて外れているが、頭近くになると前に倒すために関節突起を離している。
それでもブラキオサウルスの首は高くそびえ立つと言えるだろうか。首が地面に対して水平であったとしても、この巨体である、わざわざ首を持ち上げなくても、この高さまで達する口を持った生物は、他にいなかっただろう。
ブラキオサウルスの首が高く上がると言う説得力ある意見があれば、是非コメント欄に書き込んでほしい。骨格を見る限り、高く上がらない証拠ばかりが見えてくる。どうして上がると考えるのか。上げなくてはいけない必然性がどこにあるのか。僕には、どうしても上がるとは思えないのである。

ダイノソアファクトリーでは、ほかにも気がついたことがあるので、後日アップしていきたいと思う。(続く)
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ちょっと更新時期があいてすみません。応援よろしくお願いします。

投稿者 corvo : 2006年5月13日 23:54