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2006年1月19日

美術手帖「マンガは芸術(アート)か?」1

本当に久しぶりに、美術手帖を買った。この号の巻頭特集は「マンガは芸術(アート)か?」。80ページ以上に渡る、力の入った特集である。
ただ、カラーページで扱われている3名の漫画家のことを、僕はあまり知らなかった。美大やアートスクールで、デザインや絵画の訓練を受けたことのある、漫画家というよりはイラストレーターに近いメンバーだと感じた。
他に紹介されている漫画家も若く、商業誌で売れているヒットメーカーたち。年齢を見ると多くが僕と同世代だ。ただ、どういった基準で選んでいるのか、よく分からないところがある。サブカルチャーとしてのマンガに焦点を当てる意図が強いのかもしれない。あくまで推測だけど。
日本のマンガ業界は大きく、文化産業としても成熟していると思う。一方の現代美術業界は、経済的自立はおろか、文化産業としては、ほとんど成立していないのではないだろうか。
「マンガは芸術(アート)か?」と問われれば、芸術たりうるマンガも存在していると言える。逆に芸術だと言いながら、マンガの一こまに劣るものも、数多くあるだろう。
僕もマンガが好きで良く読むし、買っている。読みたい物を全て買っていると、際限がなくなるし、置き場所にも困るので、かなり厳選して買っているのだけど、ほぼ毎日のコンビニでのマンガ雑誌の立ち読みは、20年近く欠かしたことがない。
古生物の復元画を描くようになって、9年ほどになるのだけど、最初、画面の中に物語を描くことが、なかなか上手くできなかった。自称「現代美術作家」であった僕は、画面の中に物語を持ち込まないことを考えていた。それで、どんな効果があったのかと思い起こしてみると、どうもうまく説明できない。物語性を排除することは、そんなに重要なことだったのだろうか、と疑問のほうが多く出てくる。それほど、制作することに対して、自覚的でなかったのだと反省するばかりである。
ちょっと、横道にそれてしまった。復元画を描くということは、画面の中に流れる時間を描くことでもある。その場面に至るまでに何が起こったのか、そして、そこから何が始まろうとしているのか。それが実際の出来事とは違う茶番であったとしても、一筋のリアリティを求めて、その場面を描こうとするのである。これはマンガの発想に近いと思う。
マンガが描き出す、時間を含めたリアリティには、学ぶところが多い。しかし、絵画も元々は物語を含んだ、エンターテインメントとして成立していた。僕自身、復元画を描くようになってから、物語、時間ということを強く意識するようになってきた。これは、復元画以外の作品の時も、同様である。

ちょっと、とりとめがなくなってきたので、続きは後日に。
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投稿者 corvo : 2006年1月19日 22:55