« クロコダイル skull 03 | メイン | 僕が受けた美術教育2 »

2005年11月26日

僕が受けた美術教育1

気が付くとエントリーが200を超えている。この怠け者がよくぞ続いたものだ。
これもこのblogを訪れてくれる方、コメントを書き込んでくださる方がいればこそ。感謝しております。

これまで美術教育についていくつかのエントリーを書いてきたのだけど、高校の非常勤講師として教える側からの視点であった。そこで自分自身がどのような教育を受けてきたのか振り返ってみたいと思う。
いきなり高校からの話にしてしまう。というのも美術という分野を初めて強く意識し、自分の進路として選択した時期だったからだ。
僕の住んでいた県では当時、群制というシステムが残っていた。地域別に1群、2群、3群とあり、それぞれに2つの高校が存在した。その2つの高校は全く別の県立高校なのだけど、試験を受けるときは1群を受験、2群を受験といった感じに「群」を受けるのである。どちらの高校に行くことになるかは、機械的に合格者を成績順に振り分けていくので、受験生の意志はまったく反映されない。
僕は志望通り「2群」に合格したのだけど、目指していた高校に進学することができなかった。これには相当にがっかりし、憤りを感じたのをよく覚えている。なぜ頑張って合格して、行きたい学校にいけないのだ!と。
そして、「行きたくない高校」に入学した僕は、自分の進路を決定づける美術教師に出会うのである。彼について詳しく書こうとすると長くなるので割愛するが、美術とは、芸術とは、絵画とは、そんな「いろは」を一からたたき込んでくれた恩師である。
美術部に入部(初めての文化部入部であった。それまでは体育会系)したのだけど、毎日やることはクロッキーと石膏デッサン。じつに伝統的な訓練である。木炭の芯の抜き方、削り方、姿勢、対象を見るということ、諸々の基本的なことを日々繰り返す。そんな制作の合間に美術準備室に呼ばれるのだけど、一年生の僕に向かって「ヨーゼフ・ボイス、知っとるか?君、この作品どう思う?」と時々聞かれるのである。教えてもらった作家は多岐にわたる。1年生の僕がそんな質問答えられるわけもなく、ほとんど黙るしかなかった。それでも辛抱強く、ひとつでも言葉を引き出そうと、話を続けてくれたのである。この時、言葉と言葉によるコミュニケーションの大切さを、強く意識することができたのだと思う。
また、美術部では先輩が後輩にデッサンの指導をすることが伝統になっており、未経験の人間にどうやって指導するかということを経験することができた。それも自分が何も知らないところから教えてもらった経験があったからできた事でもある。
もう一つこの美術部で特筆すべきことは、3年に1回(トリエンナーレ形式で)、OB、OG、在校生によるグループ展を県立美術館のギャラリーで企画、開催していたことだ。全ての運営は在校生に任されるため、企画、出品者への連絡、広報、パンフレットの作成、展示などをこなさなくてはならない。美術系に進んだ卒業生も多数出品するため、大学進学についての相談や作品へのアドバイスなど、とても収穫の多い展覧会であった。
こういった経験を高校時代に数多く積めたことが、その後の生き方に大きな影響を与えたことは確実である。
次回は美大受験、浪人時代について書いてみたいと思う。
ブログランキング・にほんブログ村へ
banner_01.gif
いつもありがとうございます。順位、かなり上がってきました。

投稿者 corvo : 2005年11月26日 23:16