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2005年8月13日

ETV特集

今日、個展で販売した版画の再版分が届く。額装も終了し、近々お手元に届くことになると思います。
しばしお待ちください。ギャラリーで見る印象と、自宅で見る印象の違いを楽しんでください。
原画をお買いあげいただいた方は、もうそろそろ届いているころではないでしょうか。

ここのところ画像の紹介が少ないのだけど、絵は毎日描いています。
ただ、紹介できない仕事であるためプロセスをお見せすることが出来ません。
ある本の表紙なのですが、出版されるまでしばしお待ちください。

昨日から、続けてNHKの番組の話題。
「零戦ニ欠陥アリ」。これが非常に興味深い番組であった。
この番組は戦争の是非を問うものではないし、戦争を正当化する内容でもない。
純粋に零戦の性能、欠点を技術的な視点から再評価し、当時の海軍組織の致命的な欠陥をあぶり出すというものであった。
零戦を開発した技術者たちは徹底的に技術と向き合い、問題を解決しながら開発を進め、零戦を完成させていく。
一方、海軍上層部は理想に妥協することなく、零戦に対する要求の優先順位を決めることなく、全ての難題を技術者におしつけていく。
理想にたいする妥協がなかったからこそ名機と呼ばれる零戦が完成するのだが、妥協しなかった(出来なかった)ために重大な致命的な欠陥を持つことになってしまった。
そして、この欠陥は海軍の強い意向で改善されることなく、神風特攻隊の悲劇へとつながっていくのである。
技術者たちはこの欠陥に気づき、何度も改善の機会があったにも関わらず、プロデューサーである海軍の間違った判断によりなすすべなく(終戦間際に改良された試作機が出来ていたのだが)終戦をむかえることになる。
この番組が作られたきっかけは、技術責任者が残した詳細な零戦に関する技術メモが見つかったからである、
終戦時、焼却命令が出ていたにも関わらず保管し続けていたものらしい。技術や経験が断絶してしまうことは、その社会にとって大変な損失である。こういった資料が発見され、有効に活用されることはとても意義がある。
しかし、かつての海軍にあった組織構造の致命的欠陥は、現在の日本社会にも極めて純度の高い状態で脈々と受け継がれているように思う。
本来受け継がれるべきものが伝わらず、反省し改善されるべきものが手つかずで放置されている現実。
いろいろなことを考えさせてくれる番組であった。

投稿者 corvo : 2005年8月13日 23:43