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2012年11月24日

成安造形大学特別授業『VFXアーティスト吉岡正人が語るハリウッドCG制作現場』


先週の金曜日(11月16日)、友人であるVFXアーティスト吉岡正人さんをアメリカから招いて、成安造形大学で特別授業を行ってもらった。あ、アメリカから招いたというのは嘘で、日本へ旅行にくるタイミングに合わせて、特別授業を設定し、講義を行ってもらったのである。

学生に向けたアナウンスは次のようなものだった。
『アメリカでVFXアーティストとして活躍する吉岡正人氏。
製作に携わった映画「ファイナルファンタジー」「ヒックとドラゴン」「シュレック」「カンフーパンダ」等の製作裏話と共に、海外で仕事をするとはどういうことか?
実際にどんな仕事なのか?日米の違いは?
等々、海外の製作に関わる様々な事柄について語って頂きます。


また、いくつかの会社を渡り歩いた経歴から、どんな就職活動をしたのか?面接でどんなことを聞かれたのか?どんなポートフォリオやデモリールを持っていたのか?就職を控えた皆さんにも実感のある話をしてもらう予定です。

イラストレーションのスキルを映画の現場で活かしたい、海外で仕事をしてみたい、
CGの仕事につきたいと思っている学生、映画製作の現場に興味のある学生など、
少しでも気になったら気軽に聞きに来てください。ホストはイラストレーション領域教員の小田が担当します。』

日本でもよく知られたドリームワークスの3DCGアニメ作品にも参加しており、長くアメリカで生活しながら仕事をしている生の声を聞かせてもらうことが出来た。
前半は実際に制作に参加した映像の数々を紹介。また、どのように作業を進めていくのかも、丁寧に解説してもらった。吉岡さんはエフェクトと呼ばれる、炎や水、煙などの自然現象のCG映像を担当しており、流体力学などを応用したプログラミングも駆使して制作している。アーティストと呼ばれる職業であるが、数学や物理の基礎的な知識があることが、今の仕事に非常に役に立っているという事だった。
後半では転職に関わる面接の話などもしてもらった。一般的にアメリカの会社はフレンドリーな面接で、どこの会社を受けても自分は凄く評価されているような気分になってしまうらしい。逆にプレッシャーをかけながら、意地悪な質問をしてくる某有名スタジオもあるということだった。
印象的だったのは、自分にどんな武器があって、人よりも優れているかを明確にプレゼン出来るかが重要だということだ。まんべんなく平均的な人材は求められていない。セールスポイントはどこなのか?人に負けないスキルは何なのか?そこを厳しく要求される。よく学生が苦手克服という言葉を口にするが、僕自身は苦手なものが得意になることは決してないと思っている。得意な事を磨いていけば、おのずと苦手なものもそこそこ出来るようになると考えていたほうがよい。全て出来るようになる人間なんて決していないのだ。
最後に学生にアンケートを書いてもらったが、おどろくほど海外で仕事をすることに消極的な学生が多かった。というかほぼ全てといってもよいぐらいに。
飲み会の席で吉岡さんに直接聞いた話で面白かったのが、ある日本のアニメスタジオがハリウッドの某ビッグネーム映画監督にアメリカで仕事をしないかと誘われたときに、断ったというエピーソードである。
その理由が「日本でオンエアされているテレビアニメを録画出来なくなるから」。十数年前とはいえ、驚くべき理由であるが、日本の快適な生活環境を捨ててまで、海外に行こうとしない学生の気持ちと重なるのかもしれない。

素晴らしい特別授業だったと思う。
吉岡さん、ありがとうございました。


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投稿者 corvo : 2012年11月24日 00:50