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2010年11月21日

『アルブレヒト・デューラー版画・素描』展ー国立西洋美術館

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必見の展覧会である。図録を見る限り、巡回の予定はないようだ。ピーテル・ブリューゲルの展覧会も素晴らしいものだったが、アルブレヒト・デューラーの作品群は、ブリューゲルを軽く凌駕する。もちろん、時代背景も版画の制作スタイルも違うが、その線にこめられた情報量の豊かさ、的確さは、版画表現の頂点をなすものと言っても過言ではない。それは特にエングレーヴィング技法の銅版画において顕著である。
ブリューゲルの多くもそうなのだが、エングレーヴィングで銅版画を作る場合、専門の彫師が版を作ることが一般的なのだが、デューラーの場合は下絵の制作だけでなく版の制作も自分で行っている。だからこそ生きた線を銅板に刻むことが出来た。エッチングと違って、自由な柔らかい線を描くことを苦手とするエングレーヴィングだが、デューラーはその硬く鋭い線を駆使しながら、人の皮膚、毛皮、衣服、建築物等、様々な質感を完璧に表現しきっている。モノクロの画面でありながら、色彩をも感じさせる空間を表現することにも成功している。

これほどの展示が、昨日土曜日の夕方に行ったにも関わらず、がらがらに空いているのである。嘆かわしい。あのブリューゲルの喧騒と混雑は何だったのだろうか?
この展覧会、デューラーの作品以外は一点も入っていない。純度100%。
是非とも、その充実した展示を堪能してほしい。

会期:2010年10月26日(火)〜2011年1月16日(日)
会場:国立西洋美術館

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投稿者 corvo : 2010年11月21日 23:19