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2010年8月23日

『ようこそ、アムステルダム国立美術館へ』渋谷ユーロスペース

またまた日曜日の話、Bunkamuraの後、今度はユーロスペースへ移動して、映画『ようこそ、アムステルダム国立美術館へ』を観た。
新聞やtwitterでも話題になっており、ちょうど関東にいることもあって、どうしても観たくてスケジュールの中にいれたのである。
ひと言でこの映画を表すなら「赤裸々」。これほどオープンに公共施設建設のどたばたを描いたドキュメンタリーはなかったかもしれない。予告編は実にテンポが良く、ユーモラスであるのだけど、本編にはある種の悲壮感が漂うほどにシリアスな問題が噴出する。
僕がこの美術館を訪れたのは1991年。学生の時の一人旅だった。レンブラントを観るために行ったといっても過言ではない。もちろん、彼の自邸(破産前の)にも行ってきた。
今は改装中で入ることが出来ない。多くの美術品も収蔵庫に収められたままだ。予定では2004年に始まった改築工事は2008年に完成し華やかなオープニングをかざるはずだったのに、延びに延びて今では2013年にオープン予定となってしまっている。
その原因の多くは、改築計画のスタート当初に巻き起こったサイクリスト協会による、建築プランの変更を求める騒々しいキャンペーンのためである。改築計画によって、美術館を貫く交通路が閉鎖されることに反発したことが原因であるが、このことが大きなプランの変更につながり、建築家は振り回され続ける。
建築家の一人が言った、「これは民主主義ではない。民主主義の悪用だ。」という言葉は重い。
映画を見終わって、誰が一体ハッピーになったのか?誰もハッピーな結末を迎えてない。妥協に妥協を重ね、オープンは遅れに遅れ、予算を垂れ流し、結局、自転車も改築が終わるまでは通行することができない。

時間は無情に流れ、その時間を取り戻すことはできない。
こんな不幸な出来事に、早く終止符を打って欲しいと願ってやまない。

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投稿者 corvo : 2010年8月23日 23:58