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2009年01月12日
イラストレーターか画家か
僕は自分の肩書きを書くときに、「画家・イラストレーター」と併記する事が多い。
現代においては、二つの職種は分けられているのかもしれないが、本質的にはそれほど明確な線引きがあるわけではない。
Fine artと呼ばれるジャンルの名だたる巨匠の作品のほとんどは、パトロンやクライアントからの注文があって制作されたものである。特に『パトロンたちのルネサンス―フィレンツェ美術の舞台裏 (NHKブックス)』を読むとルネサンスの時代、作品の内容についても作家に主導権がほとんどなかったことがよく分かる。
画家とイラストレーターを区別する必要は、はたしてあるのだろうか。僕はないと思っている。
僕が自分の描きたい作品を作る事だけに固執していたら、今まで絵を描き続けことは出来なかっただろう。イラストレーションというクライアントの要望に添って制作し、報酬を受け取ることが出来るようになったからこそ、生活を維持し環境を整えることもできた。また、デザイナーや編集者、研究者と共同作業をする事で、自分の位置を確認し、何を求められているかを知る事が出来たのもとても大きかった。
僕はずっと絵を描き続けてきた。絵を描く事で報酬を得て、生きてきた。最初の数年はアルバイトをしながらの、フリーターに近い生活の時もあったが、ここ数年は絵の仕事だけの売り上げで、少ないながらも納税してきた。今年の4月からは大学に職を得たが、それまでは就職した事もなく、絵を描く事が収入のほぼ全てを占めていたのは事実である。
僕が自分の中で線を引いているとすると、イラストレーションはクライアントが他者で、自分の作品は自分自身がクライアントだ、ということぐらいだろうか。
画家かイラストレーターかと問われれば、それは自分で決めるというよりは他者がどちらで呼んでくれるかという点が大きいかもしれない。
僕が自分を紹介するならば、「プロの絵描き」というのが一番しっくりくるのである。
投稿者 corvo : 2009年01月12日 20:28
コメント
なんとなく、僕の中では「イラストレーター」の方が「画家」よりポップンなイメージがあります。あと、イラストレーターはペンで、画家は筆を使うとか。
全く抽象的ですね。
投稿者 ニヤゾフ : 2009年01月12日 21:29
corvoさん、お久しぶりです。
画家、イラストレーター、どちらの肩書きか…、表現する自分は変わりはないのに…。
ごく根源的なことを含んでいるから、引っかかるのですよね。
ぼくも考えたことがありました。
うまい解決法、わからないのですが、うまく使い分けられればいいのですよね。自分にとって都合いい方で…^^
同じようなこと、アニメーション作家?、藝大教授?の山村さんも言っていられたのを何かで読んだことありました。
何はともあれ、今年もよろしくお願いいたします。^^
投稿者 kohjio : 2009年01月12日 21:33
難しいですよねー、それ。
自分がどうよりも、他人がどう呼んでくれるか…に賛成です。
カメラマンってのはヤダナ、フォトグラファーはカッコ良すぎるな、
お世辞にも写真家なんて自称できないな…って悩みます僕も。
まあ僕の場合は無難なところで会社員にしちゃいますが(笑)
投稿者 ゆー : 2009年01月12日 23:12
フリーター時代は、制作に時間が取れなかったのでは?
生活だけの所得を得るために相当拘束されて、場合によっては日曜画家にも満たない制作時間しか取れない危険性さえ孕んでいると思います。
僕の主観で言えば、画家は「まず職人ありき」です。
職人の卓越した技術とセンスによって生み出された成果物が芸術作品なんだと思います。クライアントがどうこうなんて関係ないですよ。作品が全てです。アーティストという職業ではなく、呼称・肩書きがイラストレーターであれ画家であれ芸術家であれ、成果物がアートであれば、それを生み出した人がアーティストだと僕は思います。
それは画に限らず他、例えば音楽でも同じですよ、ミュージシャンはジャンル問わずプロフェッショナルでありクリエイティブですから(勿論、先の芸術家の概念も適用されます)。
僕が他のエントリーで「画家は職人であり芸術家」と書いたのは、「純粋な芸術家」としてだけで生きている極めて稀な人や、日曜画家のような芸術家、本人の成果物以外の要因で芸術家になっている人が存在しているからなのです。
後世に名を残した19世紀から20世紀のフランスの日曜画家は沢山います。画家として特に目立った実績がある訳でも無いのにも関わらずファッション雑誌で紹介されたら、美術雑誌に年に何回も登場するようになった芸術家もいます。
見る側も描く側も「芸術家」という後付とも言える概念に拘り過ぎて、(写真が生まれる前の)先人の画家たちの姿勢を忘れているんじゃないかなあと。
投稿者 アイスストーン : 2009年01月12日 23:38
まぁ、どっちもいっしょですよね。
わたしの祖父は絵描きでした。
で、その名刺を形見に一つ持っていますが、
肩書きは「画工」でしたよ。
今で言うイラストレーター件、デザイナーみたいなことやっていたのでしょうね。
今年もよろしく。
投稿者 Shige : 2009年01月12日 23:54
サイエンスの分野も、案外パトロンとの関係が重要だったりします。
ガリレオのメディチ家との関係であるとか。
ニュートンあたりになると科学者のコミュニティが自立したと言われますけれど、現代の科学者も研究費や研究できる環境の獲得のために、作文に追われたり、「お座敷」を務めないといけないというのは、ガリレオの時代とあまり変わっていないのかもしれません。
投稿者 まなか : 2009年01月13日 00:25
あっはっは・・・表現者なのでしょう?大学で教鞭を取っているのも自己表現なんでしょう?それでいいではないですか。
投稿者 くまがい : 2009年01月13日 00:40
http://www.studio-corvo.com/blog/karasu/archives/2007/08/post_340.html
こちらのアイスストーンさん[01/11 2009年01月11日]のコメントを受けてのエントリーです。
>ニヤゾフさん
現代ではそんなイメージかもしれませんね。画材で言えば、僕はどちらの表現にも、両方使いますね。
>kohjioさん
お久しぶりです。本年もよろしくお願いします。
僕の中ではきわめてシンプルなのですけどね。
>ゆーさん
写真を撮る人にも、いろんな呼称がありますね。
僕はカメラマンと呼ぶ事が多いかなあ。
>アイスストーンさん
フリーターの時は、比較的、拘束時間が短く日当が良かったので、睡眠時間を削れば制作時間を確保する事が出来ました。一番大変なのは制作場所の確保と、それにかかるコストですね。
作品が全て、肝に銘じたいと思います。
>Shigeさん
ええ、どっちも一緒なんですよね。
「画工」。なんだか、いい響きですね。
本年もよろしくお願いします。
>まなかさん
現代の研究者も、科研費に応募したり、スポンサーを集めたりと、必須ですものね。
経済活動を抜きにしては、成立しないことですよね。
>くまがいさん
ええ、表現者なのです。どこまでいっても。ただ、教鞭をとる事は自己表現かとなると、ちょっと違うかも。
投稿者 corvo : 2009年01月13日 02:24
私の名刺はイラストレーター/作家です。
企画構成から単行本をつくっても、イラストレーターだけだと多くは「受注して絵だけ描いた人」と判断されてしまうので、作家もつけました。呼び方は他人が決めることなので、なんでもいいや〜と思っています。
他の人の職業を話す時はカタカナだとちゃらけた印象になりがちなので、作家さんとか、画家さんとか、写真家さんとか、漫画家さんと呼ぶことが多いです。
フリーター時代は、私も睡眠時間削って作品つくってました(あまっているのは体力だけだったし、削れるものがそれしかなかった)。
いまや一番削れない時間が睡眠時間なので、よくあんなことしてたなあ、とおもいつつも、「あの時にしか出来なかったこと」でもあるので、よくやった!とも思っています。
投稿者 しのぶん : 2009年01月13日 15:43
肩書きの呼称の問題についてはよく分かります。
共に仕事を行っている人に対しては、どのような呼称でも構わないことが多いと思います。
でも、初対面で絵を描く仕事についての具体的な事柄を知らない相手に対しての説明が必要になってしまうでしょう。
相応に仕事の内容を説明できる状況であれば、それでも問題ないのですが、現実の社会では数分で相手に納得させる肩書きを名乗らなくてはいけないことも多いだろうと思います。
投稿者 Bambook : 2009年01月14日 00:30
>しのぶんさん
そういや、僕は名刺にはなにも肩書きいれてなかったです。
人の肩書きにはあんまり興味がなくて、やっている内容のほうが重要だと思っています。
睡眠時間は長くとらないと、とたんに体調がおかしくなるのですが、フリーター時代、毎日3時間睡眠で一月過ごした時が、一番つらかったです。
>Bambookさん
それが一番難しいですね。何の絵を描いているのですかと聞かれて、僕はいつも困ってしまいます。
技法も描く内容もばらばらだし。アメリカではみんなまとめて「Artist」と呼んでしまうみたいですね。その上で、専門は何か?という話しならやりやすいなと思うのですけどね。日本の場合、前提になる肩書きがばらばらなので厄介です。
投稿者 corvo : 2009年01月15日 11:32
最近の通信教育会社のCMを見る限り「自分=肩書き」の世界みたいですよ、この国は。
そういった人達は恐らく、細分化された肩書きの中に自分が存在するので、イラストレーターと画家の違いを明確にする事が重要なのだと思います。
でもそれって、単に肩書きから想起されるイメージ(=ステレオタイプ)に自分を無理やり置こうとしているだけのような気がしますがね。
投稿者 アイスストーン : 2009年01月17日 02:20
>アイスストーンさん
出来る限り、肩書きから自由でいたいです。
縛られるのは窮屈だし、かえって仕事もしづらくなります。
投稿者 corvo : 2009年01月18日 02:53



