« 隕石とティラノサウルス01 | メイン | 隕石とティラノサウルス02 »

2007年10月 6日

ある絵本作家の売り上げ

友人でもある絵本作家の田中清代さんは、blog「絵本作家の仕事・実情と問題点」で売り上げを含めた家計簿を公開してきた。彼女は10冊以上の著作を世に出し、僕の中では売れっ子のひとりだと認識していたのだけど、その売り上げの金額は驚くべきものだった。彼女の最新のエントリーのタイトルが、「私の貧乏自慢」とあるとおり、それは極めて低いものである。
僕がそれ以上に驚いたのは、『「良い方じゃないか!」という反応が同業者やフリーの方からあった為です。』という一文を読んだときである。どこの誰だ。本当にそう思っているのか?コメント欄にも書いたのだけど、売り上げと給与所得は、同じ金額でも、その内容はまったく違う。売り上げには、仕事をしていくうえでの全ての経費が含まれる。社会保険も含まれる。仕事場を準備する事、光熱費、鉛筆1本、消しゴム1個から自分で支払わなくてはいけない。給与所得者の方で、会社や役所の机の使用料を払っている人はいないはずである。売り上げと所得は、イコールではない。売り上げから経費を引いた物が、我々自営業者の所得になる。
そう考えると、田中清代さんの年間売り上げ330万円という金額はとても低い。本が出せない、企画も通らない、という状況であれば、売り上げが上がらないのは仕方のないことだが、日々忙しく制作をしながらこの売り上げでは、まったく合わないだろう。なんとかやりくりする事で、経費を節約する事で、やっていけるかもしれないが、同じに仕事をしている出版社の社員の給与と比較すると悲しくなってくる。
だからこそ、同業者やフリーの人間が、「良い方じゃないか!」なんて言う事は、口が裂けても言ってはいけないのである。そういった発言には、怒りすらこみ上げてくる。もっと絵本業界を盛り上げていこう、作家の社会的地位の向上を目指そうというのであれば、もっと現実的な視点を持つべきである。
という感想を個人的には持ったのだけど、皆さんはどうお考えでしょうか。コメント欄に活発な意見を書き込んでもらえればと思います。
にほんブログ村 美術ブログへ banner_01.gif

投稿者 corvo : 2007年10月 6日 22:56