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2006年5月 3日

ここ数日の出来事2

今回は、「恐竜の科学展」の展示の様子について少し紹介。会場は撮影時自由なので、他にもblog等で公開されている方も多いかもしれない。
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最初に入場すると出迎えてくれるのが、このトリケラトプスの頭骨レプリカ。実際の化石は保存状態が非常に良かったと思われるが、これまでに見たトリケラトプスに比べて、変わったフォルムをしているように思う。トリケラトプスの頭骨は、比較的多く発見されているが、論文などで見た図版等と比べても違った特徴が見られる。
眼窩からくちばしまでが短く、逆にフリルが大きい。今まで見た物は、全て逆のプロポーションだったように記憶している。また、左右の目の間が広い。これは、化石が左右からつぶれておらず、良好な保存状態であったためとも考えられる。以前、トリケラトプスの復元で協力してもらった藤原君とも話したのだけど、彼も不思議なフォルムという印象を持ったようだ。
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側面から見ると、そのプロポーションの特異さがはっきり分かる。
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論文に記載された図版と比べてもらうと、より一層その違いがはっきりすると思う。側面から。
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前面から。

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カマラサウルスの頭骨レプリカ。左右から、かなり圧縮されて変形しているが、360度周りから観察することができ、質の高いレプリカ標本であることが分かる。
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恐竜の系統樹。このイベントのために短い時間(もう無茶苦茶なスケジュール!)で友人のデザイナーが制作してくれたもの。最新のデータを踏まえて、平山廉さんの監修のもとにまとめられている。僕のイラストもシルエット的に使用されているのだけど、手元にあった物を使ったため、ちょっと不自然なところもある。次回は、もっと時間をかけて完璧さを求めた系統樹制作に参加したい。
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今回の目玉の一つである、アロサウルスの全身骨格レプリカ。非常に精巧に作られたレプリカのようだ。ただ、ポーズがちょっと不自然で、尻尾が大きく曲がりすぎていて、胴体も緩くカーブしている。アロサウルスの尾椎は、前後が深く関節するようになっていて、左右への可動範囲には大きな制限がある。実際はほぼピンと伸ばした状態だったと思われる。
また、胴体がほ乳類のように可動することは、構造上考えられない。この標本には腹肋骨がないが、腹肋骨と肋骨でかご上に組合わさった胴体が、左右に動くことはないだろう。首の付け根から、骨盤までは固定された強固な構造であったはずだ。

後半はココロ社の動刻の展示である。ひっきりなしに声を出していて、12階のフロアに一日中響き渡っている。お客さんが多くにぎわっているときは良いのだけど、閑散としてくるとけっこううるささが気になる。中生代の地球は、いつもこんな感じだったのだろう。
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首長竜の動刻。首を動かしながら、顎で魚を捕まえるような動作をする。展示準備中、フロアに造作の材料を撒いていたスタッフが、頭をかすめる首長竜の顎に向かって「咬まれる、咬まれる」と叫んでいたのがおかしかった。
歯が鋭いので、動刻といえどもかなり痛いだろう。
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ティラノサウルスの頭部。やはりでかい。出会いたくないものである。そのとなりには、レプリカの頭骨が展示されている。頭骨はもっと見やすく設置してほしかった。特定の方向からしか観察することができない。ティラノサウルスのきちんと口の閉じる動刻を作ってほしいと思う。歯が常にむき出しであることは、陸生の動物として絶対におかしい。全面的に協力するので、是非お願いしたい。
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ヴェロキラプトル。これがなかなか恐い。ロボットの機構を入れるため、実際の大きさよりも、若干大柄な感じがするが、そのパターンを読めないランダムな動きには恐怖を感じる。

全体としては、こんな感じです。興味のある方は、是非ご来場ください。
3日の日は、お昼頃には会場にいる予定です。4日、5日も午後からの予定で、6日、7日は終日詰めています。
僕を見かけたら、気軽に声をかけてください。よろしくお願いします。
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投稿者 corvo : 2006年5月 3日 01:57