STUDIO D'ARTE CORVO

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update 2020.05.10

骨のあるアート展Ⅱ

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お知らせがギリギリになってしまったが、明日2月24日(水)〜3月1日(火)まで開催されるグループ展に参加することになった。
『骨のあるアート』展Ⅱ
会期:2016年2月24日(水)〜3月1日(火)
営業時間:10時30分〜20時(最終日は18時まで)
会場:伊勢丹新宿店本館5階=アートギャラリー
160-0022 東京都新宿区新宿3-14-1 電話03-3352-1111大代表

今回、準備した新作は4点。相変わらず、かなりギリギリの納品となった。

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『The unknown skull 16-1』アルシュ紙にチャコールペンシル、アクリル

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六甲昆虫館の標本箱に額装した。扉を開け閉めすることができる。

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久しぶりに制作した銀筆の作品。『Cat skull 16-01』銀筆用紙に銀筆、アクリル、胡粉

こちらはデッサン作品。

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『Cat skull 16-02』紙に鉛筆。

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『Cat skull 16-03』紙に鉛筆。

他にも旧作である『Hippopotamus skull』や『Cat skull』を展示販売します。
多くの皆様にご来場いただけると幸いです。


I wish you a Happy New Year.

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皆様、新年あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。
昨年は活発に活動もしていたのですが、このBlogとうまく連携をとることができていませんでした。今年はもっと時間を有効に使ってBlogを書いていきたいと思います。

昨年は私事ですが、病気ばかりの1年でした。
1月1日から風邪をひき、中旬には記憶にある限り初めてインフルエンザに罹患。
4月の健康診断で胸部X線撮影の結果、肺に丸い影があり要精密検査となる。
5月はCT撮影の結果、左の11、12番目の肋骨に腫瘍があることがわかる。悪性の疑いも。
針を刺して生検をしても悪性、良性の判断に至らず。PET検査、脳のMRIを初めて経験。
6月に検査を兼ねて手術をして腫瘍をとることに。
7月、血管腫と呼ばれる良性の腫瘍であったことがはっきりしてほっとする。
手術後、痛み止めを含んだ薬を、毎日大量に飲む。左側に腹水がたまり気持ちの悪い日々。いまでもまだすこし腹水が残っていて、右と左で腹部の形が違う。
10月、椎間板ヘルニアを原因とする座骨神経痛に。1ヶ月以上にわたって杖の必要な生活になる。神経根ブロック麻酔による緩和治療を合計5回ほど受ける。12月現在通院中。
といった感じの1年だったので2016年は健康に過ごしたいものです。

皆様もくれぐれもご自愛ください。楽しく充実した1年にしたいと思います。


2016年1月1日  小田 隆
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年賀状用の原画。イラストレーションボードに丸ペン、インク。B5サイズ。

デザインフェスタvol.42 巨大ライブペイント 1日目

先週末、デザインフェスタvol.42に参加し巨大ライブペイント(以下、ライブドローイング)を描き上げてきた。全画面、完成とは至らなかったのだけど、見に来たひとたちにはそれなりに満足してもらえるところまでは進められたと思う。

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朝の7時に開場入りし、設営の準備。壁は既に立てられていて、照明も設置されている。両側の袖に壁が立っていたのは嬉しい誤算だった。壁画を描くための最も重要な準備は、方眼に水糸を引くことである。50cmずつの点を計測し、そこに木ねじをもんでいく。荷物の関係で電動ドリルドライバーをもっていけなかったので、すべてドライバーで手回ししていった。この作業が一番手に負担がかかったかもしれないが、友人に手伝ってもらうことができたので、かなり楽ができた。

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描き始め30分ぐらい。描き始めたのは10時30分ごろだった。もう少し早く始めようと思っていたのだが、販売物の設置やブースを整えるのにも時間がかかり、最初から見てもらったほうがいいだろうということで、開場時間に近いタイミングでスタートしたのだった。

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手にはBHIティラノサウルスの頭骨1/6縮尺模型と、升目の入ったコピーを持ちながら描いていく。50cm角にひかれた水糸がなければ、この大きさの形をとることはできない。時々、自分の感覚に従おうとすると、あきらかに間違えることが多々あった。水糸が画面から少し浮いているのも重要なポイントで、紙にぴったりくっついていては描きにくくてしかたなかっただろう。

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このコピーが手もとになければ、羅針盤を失ってさまよう船のようになってしまう。

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手もとで見えている範囲は極めて狭いので、引きで見たときにどう見えるかを想像しながら進めていく。腰と足を痛めていたので、頻繁に脚立を上り下りするわけにもいかず、かなりの時間ぶっ通しで画面に張り付いていた。

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1日目、ここまでで終了。予想よりも遅い進捗具合。

1日目の様子をiPhoneのタイムラプスで撮影したもの。

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2日目に続く。


第11回日本頭蓋顎顔面外科学会学術講習会

昨日、ゲスト講師のような立場で、『第11回日本頭蓋顎顔面外科学会学術講習会』に参加してきた。片桐さんの彫刻セミナーが縁で出会った、形成外科医の菅原さんからの誘いで、門外漢ながら形成外科医たちにまじって粘土造形に集中してきた。メインの講師は彫刻家の方で、講習の進め方や立体に関する考え方など、勉強になることが多かった。まず、線で顔を描く、次に木炭で面で描く、そして対象を見るだけで画面を見ずに触覚的に木炭で描く。平面で捉えていた情報を、擬似的に3次元で捉えようとするプロセスにはとても興味深かった。
形成外科の分野は美容整形に代表されるように、形態を扱う。美術、特に彫刻の分野とは親和性が高いはずである。しかし、これまで医学の世界に美術が関わることは、あまりなかったようだ。僕が携わっている美術解剖学は、医学の解剖学から端を発するが、あくまでも美術の分野の学問大系である。メディカルイラストレーションなどは、これまでも医学の世界でも活用されてきたが、個別の病変や現象を表現するために用いられてきた側面がある。人体の造型とは?美しい形とは?切れ目なく連続する人体の構造を、「美と造型」という共通言語を通して医学的側面から見る、ということがあまりになされてこなかったのではないか?という疑問からこの講習会は設定されていた。

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6時間の格闘の末に出来上がった粘土造型の数々。

そして、こちらが僕が作った首像。

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椎間板ヘルニアによる腰の違和感と戦いながらの6時間だったが、久しぶりに気持ちよく粘土を触れることができた。
でも、粘土造型、立体造型は素人だなと思ってる。まだまだ勉強とトレーニングが必要。

今回、おもしろかったのは、美術解剖学が医学の世界でも活用できる部分があるということが分かったことだ。まさか、現職の形成外科医を前に、解剖学用語を使いながら、人体のスケッチの方法などを講義することになるとは思わなかった。これからもっと医学と美術の分野が協力していければ、多くの点で有益なことが増えるではないかということを実感した1日だった。



CREEK & RIVER デッサンセミナー

昨日はCREEK & RIVER 大阪支社でデッサンセミナー『美術解剖学から見えてくる骨格と筋肉のしくみ』の講師を務めてきた。大学では80分 x 6週に渡る内容を、90分 x 3タームに圧縮し全身の筋肉図を制作するという内容だった。プロ向けということで手の速さと集中力に期待してやってみたが、概ね最後までいけたようだ。僕自身も参加者と同じ作業を続けながらの講義だったので、ペース配分を考えなら進めることができた。

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当日に準備したスライドショーの一部。授業で使っていたものを改良したので、その準備にも随分時間がかかってしまった。数年前に比べると知識もスキルも上がっているので、やればやるほど気になったところが出てきてしまった。
ワークショップの進め方はきわめてアナログなもので、準備した全身骨格図にトレーシングペーパーをかぶせて、筋肉を鉛筆などで描き加えていく。トレーシングペーパーを使うのは、深層から浅層へとレイヤーに分けて筋肉を理解するためである。そして、もっとも重要なのは骨格のどの場所から始まって、どこで終わるのか。起始と停止である。これを理解してもらうには、順番に深いところからはじめるしかない。
次回は10月31日に開催の予定である。今回は会員限定だったが、次回は一般にも公開されたセミナーになるので、こちらから申し込みいただければと思います。(定員20名)

神保町ヴンダーカンマー

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博物館ができる前、貴族や文人、学者などが、自分の興味のままに珍しい自然物や人工物、模造、捏造された架空の動物の一部などの珍品を集めた部屋が数多く作られました
博物学が発展する前の、極めて個人的に作られた、系統だっていないコレクションではありましたが、人間の持つ純粋な興味、収集欲を満たし、かつ美しく陳列された空間は今でも十分に魅力的です。そんなヴンダーカンマーに現代の私たちがどれだけ近づけるか?
そして、蒐集という形ではなく、グッズ制作、様々な表現などをとおしてどれだけ楽しい空間を作ることが出来るか
歴史ある「奥野かるた店」という会場を使って「驚異の部屋」と呼べるような空間を実現できるか?博物学として整理される以前の、ただ美しいから、ただ珍しいから、ただ面白いから、そんな人間の興味だけを反映したコレクション、グッズ、表現物、そして、今だから出来る学術的なアプローチが混在する雑多なイベントにすることを目指します。

                                     2015年8月 小田 隆

会期:8月8日(土)〜8月31日(月)*15、16日休業
時間:8日/11:00~20:00 9日/12:00~17:00
10日〜31日/月~土 11:00~18:00 日・祝・祭 12:00~17:00
会場:奥野かるた店2階ギャラリー
〒101-0051 東京都千代田区神田神保町2-26  
TEL:03-3264-8031 FAX:03-3230-1512
     ●東京メトロ・都営地下鉄「神保町」A4出口より左折して白山通り沿いを徒歩3分
     ●JR中央・総武線「水道橋」東口より、右折して白山通り沿いを徒歩7分

【出展者】
小田 隆(画家・イラストレーター、STUDIO D'ARTE CORVO)
科学バー(株式会社キウイラボ)
大阪市立自然史博物館ミュージアムショップ
ひこばえ団(小田ゼミ成安造形大学、日大芸術学部)
横山 隼(シルバーアクセサリー、RC GEAR
黒沼 真由美(美術家)
浜口 美幸(なにわホネホネ団
久 正人(漫画家)
島野 智之(ダニマニア、法政大学教授)
野中 健一(地理学者、立教大学教授)

【主催】
小田 隆(STUDIO D'ARTE CORVO
株式会社キウイラボ
【会場協力】
奥野かるた店


満田晴穂のウズラ

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すでに作品展を訪れたのが二週間前、そして昨日その展覧会は終ってしまった。『満田晴穂個展 ZIZAI』は小さな作品でありながら、その場と空間に影響を与える圧倒的な存在感で、観るものを魅了する展覧会であったと思う。その中でもひときわ眼を引いたのがウズラの自在置物であった。

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通常、自在置物は昆虫などの外骨格生物、鱗などをもった爬虫類、魚類などが、そのモチーフとされる。しかし、今回の『鳳・凰』と名付けられたウズラの骨格像は、内骨格を再現したものである。これがどれほど画期的なことか考えてみたい。
我々も内骨格生物だが、今の姿勢を保っていられるのは、筋肉や靭帯などによって関節を固定し制限を加えているからである。骨格だけでは姿勢を保つ事も、関節を保持することもできない。外骨格生物である昆虫などは、内部の筋肉が失われても関節が外れることはないし、適切に処置をすれば姿勢を保つ事も可能だ。博物館などに展示されている骨格標本も、基本は固定された状態で、それぞれの関節を動かして姿勢を変化させることはできない。

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ところが、この『鳳・凰』は関節を動かして、さらに立つ姿勢を保つことができる。そして、もっとも驚くべき事は、それぞれの関節の可動範囲をあまねく再現していることである。これによって生きた状態の骨格を再現し、さらには様々なポーズをるけることが可能になる。これを手の中で遊ぶ事ができるのは、本当に楽しいし、骨格の動きを理解する上でも有効である。とはいえ一品もののアート作品。おいそれと手の出せる価格ではない。しかし、今回の作品にはただただ関心するばかりである。当初、ウズラの骨格を作ると聞いたときには、自在置きものとの親和性の低さに、その完成をいぶかしがったものであるが、現実にそれを眼に前にすると、そんな杞憂はふっとび頭を垂れるしかなかった。
彼が今後どのように自在置物を展開していくのか目が離せない。

Anatomy in Clay

ゼミの授業で久しぶりにAnatomy in Clayの教材を使って勉強してみた。2013年にロスアンゼルスで開催されたSVPで、この会社がブース出展しており、毎日のように通って粘土で遊ばせてもらったのが、この教材を知るきっかけだった。

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右半身をゼミ生が、左半身を僕が担当し、90分ほど作業を進めたところである。

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腓腹筋、ヒラメ筋、前脛骨筋など。

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特に複雑な上腕につながる筋肉を、立体的な重なりを把握しながら理解することができる。粘土は比較的やわらかめの油粘土で、シャープな形は作りづらいが、手軽につけたり外したりができる。

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大胸筋と三角筋の関係、脇を形成する筋肉群などもよくわかる。
この教材は少し値段は高いが、シンプルな造形で、骨格と筋肉を立体的に理解するには最適である。もともと医療系の教材という事で、内蔵などを作る場合もあるらしい。これからもどんどん教材として使っていこう。

これからの美術解剖学

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前期のHiroさんの美術解剖学特別講義が、昨日で終了した。次回の授業は後期からである。2年前から2年生対象に座学『美術解剖学入門』を開講していて、連続した内容としてカリキュラムを組んでいる。ただし、『美術解剖学入門』は必修授業だが、Hiroさんの特別講義は選択制である。座学でも重視しているのは、名称などの知識を得ること以上に、形態と構造を理解し記憶することである。そのため、講義中も常に手を動かすことを求めている。骨格図をトレースし、レイヤーに分けたトレーシングペーパーに筋肉図を描いていく。骨のどの部分から始まり、どの部分で停止するのか。その筋肉をはどんな運動のために使われるのか。体表に影響を与える筋肉を中心に講義を進めているが、全6回の授業ではおのずと限界がある。あくまでも入門編ではあるので、より高度な内容を習得したい学生のために選択の授業を準備しているが、その部分を将来的に、さらに強化していきたいと考えている。
現状では美術解剖学を深く追究したいと考える学生は少ない。自分の表現と美術解剖学をどうつなげるかという部分について、こちら側のプレゼン不足も原因のひとつだと考えられる。何もリアルに描くことだけに美術解剖学が有効なのではなく、デフォルメされた人体、動物にも応用できる。
スケッチを中心にした現在の手法では、立体的な解剖学的把握が困難な面がある。例えば肩甲骨から上腕骨につながる大円筋は上腕骨の前方(腹側)につくが、棘下筋は後方(背側)につく、それぞれ上腕骨を違う方向にまわす役割を担うが、それを平面だけで理解し、実際のモデルの肉体から読み取ることはかなり難易度が高いと思われる。トレーシングペーパー上でレイヤーを変えていくだけでは実感できない、3次元の空間の中での交差、ねじれなどをどうすれば理解できるか。実感として得ることができるか。おそらく3DCGも補助的な役割しかなく、動物の解剖を通して観察したり、粘土で立体を作ったりといったトレーニングが必要になってくるだろう。それを実現できるようなカリキュラムを、近い将来、実施したいと考えている。
僕がいまやっていることは、何も特別なことはなく、美術解剖学という伝統的な学問大系を、どう学生に伝えるかを考えてきた結果である。まだ足りない部分も多く、急務なのは理想的な教科書を作ることだ。そして、後進を育てること。大学院のない今の本務校でどこまで実現できるかはわからないが、理想に向かってできるだけのことはしてみたいと思っている。

ケンタウロスのアンギアーリの戦い

しばらく前からケンタウロスの身体の構造を考えるのが面白くなっている。手足合わせて3対あるので、脊椎動物のボディプランからは外れるのだが、ウマとヒトという人間にとって重要なモチーフが組み合わされた、一粒で二度美味しい存在である。さらにそのケンタウロスを鎧武者にして、レオナルドの壁画をルーベンスが模写した『アンギアーリの戦い』をもとに構図を検討している。最終的にどういった作品として仕上げるかは決めていないが、かなりオーバークションの兵士の姿勢をどう解決するかが、目下のところの課題である。

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A3のコピー用紙に水性ボールペンで描いたもの。全体の構図を考えずに描き始めたので、上方がはみ出してしまった。

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手前の最も目立つ一体を、筋肉図を意識して描いてみたもの。激しく折れ曲がる胴体をどう解剖学的に解釈するかが難しい。まだまだ検討途上である。

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骨格から検討してみたが、これもまだしっくりこない。まだ少し時間がかかりそうだ。このポーズがうまく解決できれば、それ以外のケンタウロスのポーズはそれほど難しくないだろう。原寸で巨大な画面に描いてみたいものだ。

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