STUDIO D'ARTE CORVO

STUDIO D'ARTE CORVO は小田隆の公式ウェブサイトです。
update 2017.09.20

Royal Tyrrell Museum 探訪 3

初めて訪れたRoyal Tyrrell Museumだが、SVPからの参加ということでバックヤードにも入ることができた。一般客として訪れていたらなかっただろう。参加者をグループ分けした少人数によるツアーだったので、とても快適に見せてもらうことができた。プレパレーションルームはガラス張りで外からも見ることができる。かなり大きな空間で広々とした作業スペースが確保されている。

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机から生えているアームのような機械は集塵機。プレパレーションのときに出る粉塵を吸い取るために使われる。

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プレパレーションルームの中から。復元のヒントになるものや、まだ研究の遡上にも上がっていないであろう化石を、気軽に撮影することができた。撮影できないものは、はっきりと表示があるためわかりやすい(にもかかわらずうっかり撮影しそうになってしまったが)。どこまで見せてよいか判断に迷うものもあるので、ここでは写真は掲載しないことにする。

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ついつい工具棚には惹かれてしまう。整然と整理されていて、とても使いやすそう。広さは正義だ。天井の高さもたっぷりある。

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ふと見かけたタッピングビスの頭に四角い穴が。さすがにこれは日本では見たことがなし。ルノーのオイルドレンプラグが同じ形状だが、もちろん大きさが全然違う。プラスのドライバーよりも確実に力が入り、滑りにくそうだ。一度使ってみたいなあ。今度、アメリカやカナダでホームセンターや工具店に行く機会があったら探してみよう。

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バックヤードツアーを終えて再び展示室内へ。それほど大きな博物館ではないが、見所はたっぷりあって、丁寧に見ているととても1日では足らない。そのなかでも、このグラフィックは美しく情報が整理されていて秀逸な出来栄えだった。Royal Tyrrell Museumにはアートとデザインの部署が設けられているかどうかがわからなかったけど、博物館がデザイナーやイラストレーターと密にやり取りをして作られたものであることは分かる。

周囲の露頭をながめながら屋上で食べたランチも楽しかった。日差しが強く日向はかなり暑かったけど、湿度が低いのでそれほどの不快さはなくリラックスしたひと時だった。

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帰りのバスは疲れてほとんど寝てしまった。日本のバスに比べると剛性感があって、振動があまり気持ち悪くなく感じるのは気のせいだろうか。日本の高速バスに何度か乗ったことがあるけど、広いシートのものでもあまり乗り心地がよいと思ったことがなく、不快な振動がずっと続くような印象がある。気のせいなのか、本当に剛性が違うのか、詳しい人に一度聞いてみたい。

最後に博物館で描いたスケッチをいくつか。

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欧米の博物館でスケッチをしていると、周囲の人たちが関心を持ってみてくれることが多い。声をかけられることもしばしばある。今回、印象的だったのは、小学生ぐらいの男の子から"You are very good!"。
なんであれ、描いている時に声をかけてもらえるのは嬉しいものである。

ということでRoyal Tyrrell Museum 探訪記はこれで終了。

Royal Tyrrell Museum 探訪 2

博物館の展示のメインは、もちろんジオラマではない。この博物館ではジオラマの展示が導入として、とてもうまく使われている。恐竜の復元をはじめとしたジオラマの制作に、どれだけの背景があるのか?研究チームがどのようにその知見を積み上げていった結果なのか?といったことが、この後の展示で存分に語られていくわけである。

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Royal Tyrell Museumのアイコンにもなっている、このゴルゴサウルスの産状化石は関節した状態であることにも驚かされるが、一つ一つの骨格のディテールに見られる精緻な造形には目を見張った。腸骨と一番後ろの肋骨の関節の仕方は、これまでの疑問を氷解させるものでもあった。腸骨の前方にあるくぼみが、このように組み合わされるものだったとは、初めて知ることができた。実に合理的に組み合わさっている。

今回、最大の驚きだったのは、今最も注目を集めているであろう恐竜化石Borealopelta marlmitchelliを見ることができたことだ。しかも、それはレプリカではなく、本物の化石だった。

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整然と並ぶ皮骨板と不規則な鱗の組み合わせが絶妙に体表を覆っている。皮骨板の一部にはケラチンの痕跡が残っているらしい。ガラス越しではあるが、かなり近い位置で観察することができた。申し訳程度に黄色いラインが展示ケースの周囲に貼ってあるのだが、ほとんどの来場者は吸い込まれるようにその線を越えてしまっていた。その気持ちもよくわかる。ただ、その展示に仰々しさはなく、ごく当たり前にひとつの展示物として、部屋の真ん中に横たわっていた。
このタイミングで見ることができたのは幸運だった。

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この化石の尾の部分は発見されていないのだが、シンプルな鉄の造形で補われていた。このシンプルさが化石とはちがった魅力を放っていて、この種の全体像を、生きた姿を想像させることに寄与している。どこまでが発見された化石で、どこからが発見されていないかを、はっきりと分かるように展示することはとても大切である。ともすると、あたかも全てが発見されているように復元しがちだが、あるところとないところが明確になっているから、より興味深く化石を見ることができるのである。特に博物館では重要なところであろう。

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ここは「白亜紀の庭」と名付けられた、白亜紀の時代に生息していた、今も生きた姿を見ることができる植物を観察できるスペースである。当時と同じように蒸し暑い環境が作られていて、ジオラマとはまた違った雰囲気を味わうことができる。

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このあたりから、一眼レフカメラが不調を来し出した。数枚撮影するとシャッターがスタックするという現象だ。自由に撮影できないことに苛立つ。せっかくここまで来ながら、だましだまし使わなければならないのは、ものすごいストレスだった。十分に撮影することができなかったのは、今でも心残りである。

続く

Royal Tyrrell Museum 探訪 1

今年の8月は、2014年以来のSVP Annual meetingに参加してきた。場所はカナダのカルガリー。Annual meetingが始まるのは23日からだったが、22日のRoyal Tyrrell Museumを訪れるツアーに参加するため、21日には現地入りしていた。
22日は朝早くからホテルの近くから観光バスで、Royal Tyrrell Museumのあるドラムへラーへ移動。およそ片道2時間足らずの旅程である。ほぼフリーウェイで渋滞もなく、快適に移動することができた。ドラムへラーに行くなんてとても大変なことだと思っていたが、車があればカルガリーからそれほど遠くないことがわかった。道もとてもわかりやすい。東京から近県の博物館へ行く方が、はるかに遠く行程も困難だろう。

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天気は快晴。広大な土地と広い空がずっと続く。

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ドラムへラーは思っていた以上に街だった。

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随所に恐竜をモチーフにした何かが置かれていた。

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Royal Terrell Museumが近づき、坂を下って谷へと降りていくと、見事な露頭がそこかしこに見えてくる。まだ、たくさんの化石たちが眠っているのだろう。

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到着。写真でしか見たことがなかった博物館の外観が目の前に。

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東からの光を浴びるゴルゴサウルスの復元模型。日差しが強く気温がぐんぐんと上がってきている。

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館内では最初にスライドを使った、博物館の概要をスタッフから説明してもらう。

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エントランスを通って最初の展示室にあるのが、このジオラマたち。実物大に復元された白亜紀の生物たちが、生き生きとその当時の情景の中で蠢いている。ここには動くロボット恐竜はいないが、それぞれにストーリーを感じさせるダイナミックな動きには臨場感があり、来場者たちを一気に白亜紀の世界へ連れ去っていくようだった。日本の博物館に設置されたロボット恐竜の大半は、ありえないほど大股を開いて、上半身を激しく動かし吠えて威嚇するばかりで、リアリティのある世界を見せてくれない。いまだ見世物小屋の意識から抜けることができていないのだろうか。

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今にも動き出しそうな姿勢のゴルゴサウルス。地形や植物まで丁寧に作られている。

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細部まで一切手を抜くことなく、当時の植生が再現されている。

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ほぼ現生種とかわらない姿のスッポン。水底の落ち葉や枯れ枝がとてもリアルだ。

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地面を踏みしめた時にできる土のめくれまで表現されていて、恐竜の足には傷跡まで残っている。かつて彼らが生きていたことを実感することができる、見事なジオラマの展示室だった。

続く

第2回神保町ヴンダーカンマー、無事終了しました

今年の神保町ヴンダーカンマーも無事終了した。昨年に比べて出展者も大幅に増えて、表現形態のヴァリエーションも広がった。
ただ、ヴンダーカンマーと呼ぶには、まだ混沌とした状況が作れておらず、意外とすっきりとした展示に終始してしまったかもしれない。お客さんとしては、ゆったりゆっくりと見て、買い物ができる環境だったかもしれないが、来年にむけていろいろと改良を加えていきたいと考えている。

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トートバッグとTシャツを中心に展開したが、すこしマンネリ感は否めない。来年はすこし変えていこうと思う。

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ゼミ生達のコーナー。ヴンダーカンマーのテーマに合わせるのが、すこし難しかったかもしれない。

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大阪自然史センターのはくラボ。ミュージアムグッズのヴァリエーションの多さはさすがである。

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賑わう初日、2日目の様子。昨年は初日、2日目をイベントの中心として広報したため、来客と売り上げが集中したが、今年は委託期間を含めて長期にわたるイベントであること強調したせいか、委託期間中の売り上げが大きく伸びることとなった。一方、初日、2日目の売り上げは少し下がってしまった。全体として、大きく売り上げは伸びたので、イベントとしては成功であったと思う。
まだ、売れる出展者、売れない出展者の偏りが大きく、このあたりの底上げが、今後の大きな課題になっていくだろう。
また、イベント中の公開制作、ワークショップなども、いくつか開催された。長い会期に来場者がばらけた原因のひとつかもしれない。

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8月10日に東急ハンズ新宿店で開催したライブドローイングの続きを、神保町ヴンダーカンマー会場で、8月20、21日の最終週に行った。

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こちらが完成した画像。約120号のキャンバスに顔料マーカープロッキーで描写したもの。

日程は決定していないが、ほぼ来年の開催も確定している。乞うご期待ください。

第2回神保町ヴンダーカンマー

自然と人工物が織りなす奇跡 現代版「驚異の部屋」

2016年夏のテーマは「混沌」。自然に魅せられ、造形美を追究した作品を精力的に生み出している、いま活躍中の20組のクリエイターと研究者が神保町に集まり、コレクション・作品・グッズを並べて皆様をお迎えいたします。
自然物と人工物が織りなす、真夏のアートイベントをお楽しみください。

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昨年に引き続き、今年も開催します、第2回『神保町ヴンダーカンマー』。会場も昨年と同じく、奥野かるた店2階ギャラリー。
開催日は少し早まって、7月23日(土)から8月21日(日)まで。
休廊日:8月13日(土)、14日(日)、15日(月)
作家在廊日:7月23日(土)、24日(日)/8月20日(土)、21日(日)
時間:7月23日(土)=12:00ー20:00/7月24日ー8月21日 月ー土=12:00ー18:00 日、祝、祭=12:00ー17:00
主催:小田 隆(STUDIO D'ARTE CORVO)/株式会社キウイラボ
会場協力:奥野かるた店

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出展者
いわたまいこ(切り絵作家)
荻野慎諧(古生物学者)
小田 隆(画家、イラストレーター、STUDIO D'ARTE CORVO
科学バー(株式会社キウイラボ
かめおかとうか(イラストレーター)
黒沼真由美(美術家)
五箇公一(侵入生物専門家)
佐竹敦司(かえるの骨、とりの骨、サラリーマン)
島野智之(ダニ学者、法政大学教授)
成安造形大学マイクロアクアリウムプロジェクト
sowaca(アクセサリー作家)
traveling museum 博物倶楽部(サイエンスワークショップ)
はくラボ(認定NPO法人大阪自然史センター
ひこばえ団(成安造形大学小田ゼミ)
久 正人(漫画家)
藤田芙美(革小物hiyoco)
浜口とり(剥製製作・たまご収集家)
公益財団法人目黒寄生虫館
六甲昆虫館(昆虫標本・標本箱)
La Mahina(がまぐち作家)

昨年から大幅に出展者が増え、そのバリエーションも豊富となり、まさに「混沌」といった様相です。当日になってみないと、どんな空間になるのか予測もつきません。

ワークショップ・実演スケジュール
7月23日(土)13:00ー/24日(日)12:00ー サナダムシ編み実演(黒沼)
7月30日(土)/31日(日) 水滴顕微鏡作り(博物倶楽部)
8月6日(土)13:00ー、16:00ー アクセサリー作り(sowaca
8月20日(土)13:00ー サナダムシ編み実演(黒沼) 14:00ー 曼荼羅&ダニ缶バッジづくり(はくラボ・浜口)
8月21日(日)12:00ー サナダムシ編み実演(黒沼) 12:00ー 曼荼羅&ダニ缶バッジづくり(はくラボ・浜口)

会場にはライオンの原寸大油彩も展示予定です。
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関東での展示は初です。
皆様、真夏の神保町でお待ちしております。


神保町ヴンダーカンマー、8日・9日

先週末は神保町ヴンダーカンマーのオープンと会場に滞在するため、東京を往復してきた。今回は往きも帰りもドライバーが3人いて、かなり楽ではあったのだけど厳しいスケジュールの中での、搬入、展示設営、オープンだった。

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会場である奥野かるた店には什器がそろっているので、対して荷物はないだろうと思っていたらこの有様。ハイエースがほぼいっぱいになってしまった。大きな作品も何点も持っていたのと、後席を確保するために荷室がせまくなったのが原因でもある。

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会場設営はオープン前日の7日に。久君(久 正人)の描き下ろし古生物イラストレーション、とりちゃん(浜口美幸)作のひよこ剥製。

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チベタンヤギスカルの原画などと一緒に、トートバッグ、Tシャツの新作が並ぶ。

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レース編みで現代美術作品を制作する作家・黒沼真由美さんんのコーナー。手刷りで作られたシルクスクリーンのTシャツ、トートバッグが美しい。

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缶バッジも豊富に揃えました。棚の上にみえるのは荻野君(荻野慎諧)が3DCGを作り、3Dプリンター出力した骨格たち。
ティラノサウルス、トリケラトプス、ピxxxx。

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オープンに合わせて製作された、系統樹マンダラの新作。科学バーコーナー。

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全てをポストカードにすることはできなかったが、全24種を準備。一番任期はダントツでハシビロコウだった。

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大阪市立自然史博物館ミュージアムショップコーナー。初期からグッズまで様々な商品を扱う。厳選されたそのラインナップは、見ているだけでもとても楽しい。

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成安造形大学、日大芸術学部の小田ゼミ生合同によるひこばえ団コーナー。学生たちがつくったグッズたち。

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縦長の油彩や床におかれた作品は2日間限定の展示だったが、壁にかけられた『アジアゾウの死産胎子』は会期まで展示されます。

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おかげさまで2日間ともに大変にぎわった館内。昨年の博物ふぇすでは商品とお金の交換にだけ忙殺されるような状況だったが、今回はゆっくりと来場者とも話ができたことがとてもよかった。イベントをやる以上、きちんとプレゼンテーションができるかどうかは、重要なポイントである。ただ商品を売るだけなら、わざわざこんなことをする必要はない。

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たまたまなんだけど「小さな力『神保町ヴンダーカンマー』」。ポスターを貼ったときの思いつき。

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神保町駅に掲示されている奥野かるた店の看板。駅から近いです。

本当に多くの方にご来場いただき、商品もたくさん買っていただけました。いまも継続して展示と委託販売を行っており、連日たくさんの来場者があるということを聞いています。暑い中、足をお運びいただき感謝しております。
来年どういった形でできるかどうかわかりませんが、さらに充実したものにしたいと考えています。

神保町ヴンダーカンマー、会期などについて

神保町ヴンダーカンマーの企画、粛々と秘密裏に(ってわけではないけど)進行中です。
会期がはっきりと決まりました。
8月8日(土)11:00 ~ 20:00(第二回博物ふぇすてぃばる!出展の皆様、ご来場の皆様にも寄っていただける時間帯に設定しました)
8月9日(日)12:00 ~ 17:00
8月10日(月)〜8月31日(月)平日は11:00 ~ 18:00 休日は12:00 ~ 17:00まで(8月15日、16日は休業です)
イベント本番は8日、9日ですが、奥野かるた店さんのご好意により、8月末まで展示即売できることになりました。出展者が会場に詰めていられる日は、8日、9日のみとなりますが、ゆったりとした会期を設定することができました。
さらに出展者や出展内容などの詳細が決まり次第、お知らせしていきます。

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まだ仮のビジュアルイメージです。
ポスター、チラシ、ポストカードと展開していきます。乞うご期待ください。

神保町ヴンダーカンマー(仮称)

2015年8月、予定していた博物ふぇすてぃばる!に出展出来なくなったため、新たな場所を求めて小さいイベントを企画しました。まだ詳細を詰めなくてはいけないですが、現状、決まっていることをお知らせします。

イベントタイトル『神保町ヴンダーカンマー』(仮称)

日時 2015年8月8日(土) 11:00〜20:00
                    8月9日(日) 12:00〜17:00

場所 奥野かるた店 2階ギャラリー 101-0051 東京都千代田区神田神保町2-26

出展責任者 小田 隆(STUDIO D'ARTE CORVO
      畠山泰英(株式会社キウイラボ

Wikipediaには『驚異の部屋(きょういのへや)は、15世紀から18世紀にかけてヨーロッパで作られていた、様々な珍品を集めた博物陳列室である。』とあります。博物館が出来る前、貴族や文人、学者などが、自分の興味のままに珍しい自然物や人工物、模造された架空の動物の一部などの珍品を集めた部屋が数多く作られました。博物学が発展する前の、ごく個人的に作られた、系統だっていないコレクションではありましたが、人間の持つ純粋な興味、収集欲を満たし、かつ美しく陳列された空間は今でも十分に魅力的です。
そんなヴンダーカンマーに現代の私たちがどれだけ近づけるか?そして、収集という形ではなく、グッズ製作、表現などをとおしてどれだけ楽しい空間を作ることが出来るか?歴史ある「奥野かるた店」という会場を使って「驚異の部屋」と呼べるような空間を実現できるか?
博物学として整理される以前の、ただ美しいから、ただ珍しいから、ただ面白いから、そんな人間の興味だけを反映したコレクション、グッズ、表現物、そして、今だから出来る学術的なアプローチが混在する雑多なイベントにすることを目指します。また、参加者の秘蔵コレクションの展示、制作物の展示及び販売を通して、
神保町から新たなヴンダーカンマーの提案を始める、第一歩としたいと考えています。

マイクロアクアリウムプロジェクト

今日は朝から琵琶湖博物館へ、微生物の観察とスケッチに学生たちと行ってきた。琵琶湖博物館リニューアルに伴うプロジェクトの一環で、主に琵琶湖の微生物を展示する「マイクロアクアリウム」の常設展示を、成安造形大学の学生とともに作っていくというものである。その手始めとして、学生、担当教員ともに、採集から観察、スケッチまでを経験するという初回授業だった。

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よく晴れた空の下、烏丸半島を湖岸へ向かう。正面に見えているのは比叡山だ。ここからの景色はとても美しい。

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採集にはこのプランクトンネット使う。この採集器の形を見るだけで萌える。メカニカルな機構を持った道具というのは、なぜこれほどに惹かれるものがあるのだろう。

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投網の要領で使うのだが、担当学芸員による見事な模範演技。ロープがしっかり伸びきり着水することで、より多くの微生物を採集するチャンスが増えることになる。この後、学生たちの投げ方や所作を観察していると、いかに多くの学生が話を全く聞いていなかったかがよく分かった。真似しないと何事も上手くならないのだけどなあ。

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博物館に帰った後は、実体顕微鏡と生物顕微鏡を使った観察会。ミクロの世界の豊穣さ、様々な生物の形の多様性には、学生たちも関心を示し、歓声を上げて楽しんでいた。

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琵琶湖のプランクトンでは最大種であるノロ(Leptodora kindtii)をスケッチ。

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これがノロの眼球。顕微鏡では平面的に見えているが、実際には球体である。花びらのように見えている部分は透明の管状のもので、中心の黒い部分を放射状に覆っている。

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ノロの全貌。この時期はまだ5mmほどだが、最大で10mmほどに成長する。
今回のプロジェクトは3人の担当教員がついており、僕が壁画、他の2名はそれぞれオブジェとレリーフ、シアター用の椅子を担当する。できる限り、学生にフィニッシュワークまでやってほしいので、僕はできる限り手を動かさないつもりである。知識的には僕もまったく白紙に近いので、学生たちと一緒に勉強しながら進めていきたい。

系統樹マンダラポスター『鳥編』制作スタート

ようやく重い腰を上げて、というかもうあまり日にちがないので、昨年の系統樹マンダラポスター『真獣類編』に続き、『鳥編』のスタートを切った。鳥ということで恐竜も含む壮大なないようだが、描く種は50種ほどである。美しさと実用性を兼ね備えたポスターを目指す。版元はキウイラボ。今回もB5サイズのイラストレーションボードに丸ペンでの制作となる。大体、2枚描くと丸ペンがだめになるので、それなりにコストがかかる。修正ペンはほとんど使わない。

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手始めに描きやすいものから、ハシブトガラス。資料とする写真は、監修者である長谷川政美先生が全て撮影したものだ。
8月8、9日の神保町のイベントはこの『鳥編』の完成記念発表の場でもあるのだ。締め切りを破るわけにはいかない重要なプロジェクトである。

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