STUDIO D'ARTE CORVO

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update 2020.05.10

第11回日本頭蓋顎顔面外科学会学術講習会

昨日、ゲスト講師のような立場で、『第11回日本頭蓋顎顔面外科学会学術講習会』に参加してきた。片桐さんの彫刻セミナーが縁で出会った、形成外科医の菅原さんからの誘いで、門外漢ながら形成外科医たちにまじって粘土造形に集中してきた。メインの講師は彫刻家の方で、講習の進め方や立体に関する考え方など、勉強になることが多かった。まず、線で顔を描く、次に木炭で面で描く、そして対象を見るだけで画面を見ずに触覚的に木炭で描く。平面で捉えていた情報を、擬似的に3次元で捉えようとするプロセスにはとても興味深かった。
形成外科の分野は美容整形に代表されるように、形態を扱う。美術、特に彫刻の分野とは親和性が高いはずである。しかし、これまで医学の世界に美術が関わることは、あまりなかったようだ。僕が携わっている美術解剖学は、医学の解剖学から端を発するが、あくまでも美術の分野の学問大系である。メディカルイラストレーションなどは、これまでも医学の世界でも活用されてきたが、個別の病変や現象を表現するために用いられてきた側面がある。人体の造型とは?美しい形とは?切れ目なく連続する人体の構造を、「美と造型」という共通言語を通して医学的側面から見る、ということがあまりになされてこなかったのではないか?という疑問からこの講習会は設定されていた。

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6時間の格闘の末に出来上がった粘土造型の数々。

そして、こちらが僕が作った首像。

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椎間板ヘルニアによる腰の違和感と戦いながらの6時間だったが、久しぶりに気持ちよく粘土を触れることができた。
でも、粘土造型、立体造型は素人だなと思ってる。まだまだ勉強とトレーニングが必要。

今回、おもしろかったのは、美術解剖学が医学の世界でも活用できる部分があるということが分かったことだ。まさか、現職の形成外科医を前に、解剖学用語を使いながら、人体のスケッチの方法などを講義することになるとは思わなかった。これからもっと医学と美術の分野が協力していければ、多くの点で有益なことが増えるではないかということを実感した1日だった。