STUDIO D'ARTE CORVO

STUDIO D'ARTE CORVO は小田隆の公式ウェブサイトです。
update 2020.05.10

KOBE神保町ヴンダーカンマー

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会期:2019年11月30日(土)14:00~23:00  12月1日(日)10:00~17:00
会場:strage  〒650-0021 兵庫県神戸市中央区三宮町3-1-16三星ビル tel 078-331-6977 mail store@kobe-design.co.jp
https://kobe-design.co.jp
主催:小田隆(画家、イラストレーター STUDIO D'ARTE CORVO) 畠山泰英(科学バー/株式会社キウイラボ)
協力:Skeleton Crew Studio, Inc.

僕と科学バーの畠山さんで主催するイベント『神保町ヴンダーカンマー』もすでに5回を数え、それなりに定着し認知度も増えてきたと思う。
昨年冬には岩手県盛岡市でも開催し、徐々に活動範囲を広げている。そして、今回は兵庫県神戸市である。きっかけは、生物系展示即売イベント『いきもにあ』に落選したことではあるが、そのことを前向きに捉え新たなイベント会場を借り『KOBE神保町ヴンダーカンマー』を開催することとなった。
「神戸」なのに「神保町」と地名がつくのを不自然に感じるかもしれないが、「神保町ヴンダーカンマー」が一つのイベントを表す言葉なので、「神保町」と「ヴンダーカンマー」を切り離すことはできない。
会場は昨年、『うつくしい美術解剖図』出版記念イベントでお世話になった、神戸デザインセンター"storage"だ。3階のギャラリーと、4階のオープンスペースがその会場となる。
『神保町ヴンダーカンマー』も大きなイベントではなく出展者も少数精鋭であることを基本にしているが、『KOBE神保町ヴンダーカンマー』はさらに出展メンバーを絞り込み充実したイベントになることを目指している。普段の活動の場は、関東、北陸、関西と多様性に富み、その内容も彫刻、絵画、イラスト、アクセサリー、出版など様々である。

30日は23時と遅い時間まで会場をオープンし、2つのトークショーを開催。

19:00~20:30 『系統樹マンダラ新作メイキング-なぜ軟骨魚類(サメ)だったのか?-
工樂 樹洋(監修、神戸で活動するゲノム研究者) 
小田隆(イラストレーション制作、STUDIO D'ARTE CORVO)
畠山泰英(科学バー/株式会社キウイラボ)

21:00~終了まで『夜のサイエンストーク』
MC:山本慎太郎(オタク分野から自然科学まで、博士(理学))
ゲストは当日のお楽しみ


出展者を作品写真とともに紹介します(順不同)

雨ノ宮一紀/彫刻家、ZRAME(造形)

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科学バー/(畠山泰英、後藤忠徳)

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SKURANGER/シルバーアクセサリー

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荻野慎諧/古生物学者

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ほねばたけ/(府高航平・センバエミカ)/成安造形大学 

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森田存/作家・イラストレーター 

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山崎りょう/彫刻家、ZRAME(造形)

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路上博物館/シロサイ頭骨グッズほか

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小田隆/画家・イラストレーター、STUDIO D'ARTE CORVO

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NHKテキスト『心の進化をさぐる〜はじめての霊長類学』の表紙イラスト

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NHKテキスト『心の進化をさぐる〜はじめての霊長類学』の表紙イラストの仕事。連絡はこのサイトの問い合わせメールから始まったが、とてもスムーズで気持ちのよい仕事だった。やはり仕事をする上で大事なのは、納期が適切であること、ギャラが明確であること、仕様と使用範囲がはっきりしていることなどだ。これらが最初の問い合わせから明らかだったので、すぐに制作に入ることができた。
元の資料は、提供された写真を使用している。写真のままに描くのではなく、幾つかのリクエストが編集者からあった。手前の個体の手で隠れてしまっている足の裏を描いて欲しい。背景の森は描かずに白バックで。そこにこちらから、奥にいる大人のチンパンジーの片目が隠れているので、両目を見えるようにしませんか?という提案をした。
そして出来上がったラフがこれだ。

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紙に鉛筆。このラフは修正なく編集者のOKがでた。これほどスムーズだと拍子抜けするが、正直なところとても嬉しい。

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完成した原画。イラストレーションボードに丸ペン、インク、透明水彩。これも一発OKでまったく修正することなく、締め切りを大幅に残して完成してしまった。カナダに行く前に納品したかったので、少し急いだのだが無事に納期を守ることができた。

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かっこよく美しい配色のデザインが出来上がってきた。こういったイラストレーションは良い素材であることが重要だ。著者の先生にも気に入っていただけたようで、とても良い仕事だった。
アートディレクターがいて、目指すところが明確な仕事はやりやすい。全てこうだといいのだけど、そうもいかないのが現実である。

『ウミガメ骨群集』の復元3

1ヶ月以上、間が空いてしまったが、『ウミガメ骨群集』の続きである。
前回のスケッチに対してのコメントは次のようなものだった。

「早速の修正ありがとうごさいます!
非常に良くなりました!!骨内有機物の残存の程度やウミガメの白骨化の程度と骨の継ぎ目におけるバクテリアマットの具合など,私が思っている通りに(いや,それ以上に)再現されています.
拡大図と全景図の違いや骨内有機物の残存の程度は色合いでの表現になるとのこと了解です.それで問題ないです.

一点だけ,今になって少し気になってきたのが拡大骨の表面右にいる巻貝の角度が少し不自然に見えることです.巻貝をもう少し寝かせて,かつ軟体物の向きはほぼ正面だと思うので,それに合わせて貝も正面になると良いです.もし,貝殻の下側からのアングルの写真が必要であれば至急探します.

それ以外は申し分ありません.よろしくお願いいたします.」

全体の中でのハイカブリナは小さなパートな
ので、拡大してラフスケッチを描いてみた。ほんの数ミリしかない貝殻だが、そのフォルムは精緻で複雑な構造をしている。

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このスケッチについても、即座に修正の指示が入る。

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いつもながら指示が具体的でわかりやすい。常に図示があるのもとても助かる。文章だけだと、どうしてもイメージの持ち方に齟齬が生じて、二度手間三度手間になることが多々ある。

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修正してオーケーのでたハイカブリナ。規則的なパターンで形成されるフォルムの描写は難しい。どちらというと苦手分野である。ハイカブリナのスケッチが出来上がったところで、全体のスケッチを一からやり直す。

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ハイカブリナの修正に加えてホネクイハナムシの数も増やしている。メソダーモケリスの頭骨もより詳細な描写を心がけた。手前に大きく拡大した世界を描き、中景、遠景と奥行きのある空間を目指している。モノクロスケッチではその表現に限界があるが、カラーになったときは、より重層化された世界を展開できるはずだ。

「いいですね!素晴らしいです!!骨の上を這う巻貝や巻貝の上に生えたバクテリアなどが特に良いです.
構図としても拡大した骨と中景のウミガメとが非常に表したいものが1つにまとまっていて非常に良いです.

それで,2点だけ,欲をかかせていただいて,少し修正していただけるとなお良いです.
1.拡大した骨の上面の部分をもう少しだけ虫食いにしていただけると完璧です.骨の浸食度合いの資料を添付しました.幾度もの修正すみません.

2.まん中の二枚貝(ハナシガイ)の左から海底に向かう穴ですが,その穴の中につぶつぶを描いていただいていますが,このつぶつぶを消していただけますか?このようなつぶつぶがある復元画がこれまでにも教科書とかに出ているのですが,どうもこの穴にこういうつぶつぶは詰まっていないようなのです.
先日米国で開催された化学合成シンポジウムで,ハナシガイ類の巣穴を研究している方がいらっしゃったのですが,このようなつぶつぶはないとのことでした.ということで,いまさらですが,この海底に伸びる穴についても,貝の下方向にのびる巣穴のように空洞にしていただけますか?

この2点以外は申し分ありません.」

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ようやくラフスケッチの最終版が完成した。これをトレースして、カラーでの仕上げに進めていく。復元画では科学的な正確さとともに、構図も重要なポイントであると考えている。美しく、かっこよい方がいいのが当然である。そこにあからさまな嘘があってはいけないが、イラストレーションとしてのわかりやすさを優先することもある。特に生物の生息密度の表現は事実から離れてしまうことが多い。
ここまでで全体のプロセスの半分ほどが終わったことになるが、実際の作業量がこれからが最も多い。ただ、このラフスケッチのやり取りがとても大切なのである。この積み上げがなければカラーの制作を始めることすらできない。

続く

『ウミガメ骨群集』の復元2

前回からの続き。ロバートさんから次のようなコメントと、修正指示を書いた画像が送られてきた。概ね、好評ではあるが、修正箇所は多い。

「さて,第2弾ラフスケッチありがとうございます.
おどろおどろしい感じが出て非常に良い雰囲気です!図にコメントを入れたものを添付しました.
大きなところとしては拡大図と全景図の区切りがわかりにくい気がしてきました.はじめてこの復元画を見た人でも,全景と骨の拡大図という2つの図が組み合わさっていることがもう少しわかりやすい方が良いと思いますが,いかがでしょうか?

もう一つ,骨の中の脂質(骨内有機物)をどう描くかをこの段階でつめておいた方が良いと思います.図内のコメントをご参考におねがいします.

> ウミガメの損傷はどれぐらいにしましょう?頭部はほぼ白骨化しているけど、体にはまだすこし表皮がなくなっているようなイメージです。

図へのコメントにも入れましたが全部白骨化していただいた方が良いと思いました.ホネクイハナムシやハイカブリニナ科の巻貝がすでにある程度成長している段階の図なので,数ヶ月は経過していて,その場合は骨は白骨化している状態にしていただいた方が良いです.

それにしても第2弾ラフでここまで雰囲気が出せるものだと改めて感心しました.」

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ラフスケッチの場合、あえて描かなかったり、省略している部分があるのだが、そういったことは研究者には通用しない。常にすべてを説明できるようにしておく必要がある。ただ、そういった余地を残すことで、より修正に気付きやすくなる側面もあるように思う。この場合だと、手前の骨の断面に見える有機物と、それが失われた部分の差が明確に描写されていなかった。僕も意識できていたわけではないが、あえて省略していた部分もある。なるほど、ホネクイハナムシの根との関係を明確に表現するには、もっと明快に描きわける必要があったことに気づかされた。
手前の骨はかなり近い位置にあり、拡大された世界である。中景から背景にかけては、そうとうに遠いところにあるものたちだ。モノクロでも、その大きな差異を表現できていないのは僕の問題だ。
海底に接した部分の緻密骨が分解されないことは、全然知らなかった。なんとなく海底に溶け込んでいくようなイメージを持ってしまっていた。こういったことも、指摘されないと気づかないところである。
これらの情報を統合して、修正したのが次の画像である。

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ホネクイハナムシをもう1匹増やし、海底と接する部分の緻密骨をしっかりと描き、骨の内部の有機物の詰まっているところ、そうでないところを明確に描き分けた。
ウミガメは白骨化が進んでいるが、もう少しばらばらにしたほうがいいだろう、という指摘をすでに受けている。
次の段階では、巻貝、二枚貝のスケッチを、それぞれ別々に拡大して描く。各部分のディテールを明確にしておけば、全体を描くときの助けにもなる。

このスケッチにも、迅速にロバートさんからコメントが届いた。

早速の修正ありがとうごさいます!
非常に良くなりました!!骨内有機物の残存の程度やウミガメの白骨化の程度と骨の継ぎ目におけるバクテリアマットの具合など,私が思っている通りに(いや,それ以上に)再現されています.
拡大図と全景図の違いや骨内有機物の残存の程度は色合いでの表現になるとのこと了解です.それで問題ないです.

一点だけ,今になって少し気になってきたのが拡大骨の表面右にいる巻貝の角度が少し不自然に見えることです.巻貝をもう少し寝かせて,かつ軟体物の向きはほぼ正面だと思うので,それに合わせて貝も正面になると良いです.もし,貝殻の下側からのアングルの写真が必要であれば至急探します.

それ以外は申し分ありません.」


続く

『ウミガメ骨群集』の復元1

金沢大学のロバート・ジェンキンズ助教監修のもと、『ウミガメ骨群集』の制作を始めた。現生のクジラが死んで海底に沈むと、白骨化した後にも多くの生物が、それらを栄養分にするために集まってくる。かつての白亜紀の海でも、大型の脊椎動物に群がる生物がいて、化石にもその証拠が残っているのではないか?という研究成果をビジュアル化する目的で描いている。
白亜紀に群集を作っていた生物は、ほぼ現生種と同じであったと推測されるので、通常の復元に比べると楽な部分も多い。ただし、より正確なリアリティを求められるので、当然、難しさもある。ロバートさんは実際に海の中で鯨骨群集を観察し、ウミガメの死体を沈めその経過を記録し、研究室ではバクテリアが骨を覆っていく様を再現し観察を続けている。

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メールでの依頼があってから、最初の打ち合わせは金沢大学のロバート研究室(ロバ研)にて。標本や資料を目の前にした打ち合わせは、とても効率が良い。わからないことがあればすぐに質問できるし、実際に標本を観察して撮影やスケッチを行うこともできる。その場でラフを描いて、全体のイメージを共有していくこともできる。メールでのやりとりでもある程度は可能だが、より質の高い仕事となると、直接の対話に勝るものはないと思える。

提供してもらった資料写真や、撮影した画像などを使い、最初のラフスケッチを持ち帰ってから制作したもの。

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手前に大きく描いているのは、ウミガメの肋板の断面で、ホネクイハナムシが骨を溶かしながら根のようなものを伸ばしている。表面にはハイカブリニナ(巻貝の一種)とイガイ科の二枚貝、バクテリアマットがびっしりと覆っている。海底の泥にはハナシガイが潜んでいる。中景には死に絶えて海底に沈んだメソダーモケリス(オサガメの祖先型の絶滅種)が見えていて、その表面もバクテリアマットで覆われている。白亜紀の海であることをわかりやすくするため、遠景には首長竜の泳いでいる姿を配置した。

このラフスケッチに対するロバートさんからの回答が次のようなものだった。詳しく図解されたものも、後日送られてきたのだが、最初の印象としては概ね良好だったようで一安心である。

「断面も入れ込んだ複合的な絵ですね.今夜詳しく拝見させていただきますが,ぱっと見の第一印象は非常に良いです.バクテリアやホネクイハナムシの雰囲気,ウミガメの死骸の感じがとても良いと思います.

骨に付着している二枚貝はたぶんイガイ科をイメージされていると思いますが,白亜紀には化学合成を行うイガイ科が明確にはいないので削除していただくことになると思います.

また,この前の打ち合わせ時にはキヌタレガイはウミガメからは見つかっていないので不要ですと申してしまいましたが,間違いでした.元々首長竜だと思われていた骨が実はオサガメであることがわかり,それにはキヌタレガイが付着しておりました.ということでキヌタレガイ(Y字の巣穴を持つ二枚貝)も追加できるとありがたいです.追加があってごめんなさい.

細かい点はまた今夜詳しく拝見した上でメールいたします.
それにしても白黒のラフスケッチだけでも十分に雰囲気が伝わってきますね.すばらしいです.」

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ここまで詳しくコメントがあり、さらにわかりやすい追加の資料があると、次の段階がスムーズになる。まだモノクロの段階ではあるが、この1枚に様々な生物の世界を表現しなくてはならない。それぞれが関係しながら、ある狭い範囲の生物層を作り出している様を、生き生きとした筆致で描くことができれば、復元画として良いものになることが想像できる。海に沈んだメソダーモケリス以外は現生種をそのまま参考にすることができるし、ウミガメの基本的な形態は変わっていないのと、ほぼ骨を描くことになるので、かなり実際に近かったであろう情景を再現できそうだ。

これらのコメントをもとに、修正したスケッチが次のものである。

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現在、このラフスケッチを送った後、ロバートさんの返信を待っているところである。

続く


デザインフェスタvol.45巨大壁画ライブドローイング

もう一週間以上だってしまったが、5月27、28日に東京ビッグサイトで開催された、デザインフェスタvol.45会場で、3回目の巨大壁画ライブドローイングを描いてきた。今回、ようやく完成と言えるところまで進めることができた。
ライブドローイングと言っても、僕の場合、周到な準備の上に成り立っている。いきなりまっさらな状態から描くことはできない。

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これが元になる原画。B3サイズ、イラストレーションボードにステッドラーのピグメントライナー0.05mmで制作。

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そして、コピーしたものに方眼のマス目をいれる。A3サイズで約1/12の縮尺。一辺25cmになる計算だ。

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デザフェス会場に着いて、まず最初にやることは壁に木ネジを打ち込み、水糸を張っていくことだ。これは縦糸を貼り終わったところ。壁の高さは3.6mある。

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オープン直後、系統樹マンダラ、グッズコーナーも完成し描き始めたところ。

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描きやすい高さにある頭部からどんどん描いていく。

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デイノスクスの目が入ったところで、俄然、やる気が出てきた。いや、それまでもやる気がなかったわけでなく、一段シフトアップしたような状態に。

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眼球だけは細いペンを使った。水中に潜っているため、瞬膜を閉じている。

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初日はここまで。Tシャツの在庫がかなり乏しくなってしまった。

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男性体幹骨格ロング丈Tシャツは大人気で、用意していた20枚が初日で完売してしまった。

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2日目午後5時に完成。3.6 x 5m。紙に三菱プロッキー。

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ディテール。

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この角度が、一番パースが効果的に見える。
今回のライブドローイングでデザフェスの出展はやめることも考えていたのだが、まだしばらく続けてみようという気になってきた。おそらく来年の5月にエントリーします。
体調を整えておかなくては。




昆虫大学2016 in 横浜

もうすでに一週間経ってしまったが、2016年12月17日、18日に横浜関内にあるさくらWORKSで開催された昆虫大学に入学(参加)してきた。はくラボブースの手伝いで行ったので、正確には入学金(入場料)を支払っていないのだが、2日間にわたって虫たちへの、博物への、溢れる愛に浸る2日間であった。
今年の校章にはハエトリグモが描かれていて、「昆虫ではないではないか」という指摘を「5億回」(学長からの公式発表)も受けたということだが、広義の「虫」ということで関係者全員納得の上での画像だということである。特に昆虫夜学では須黒達巳さんによる『刮目せよ!〜ハエトリグモの魅力と婚活事情〜』という講演もあり、今回、ハエトリグモは大きく取り上げられている。

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こちらがはくラボブース。昆虫大学ということもあり、虫へん湯呑みは早々に売り切れてしまった。

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17日に開催された昆虫夜学。どの話も興味深く、昆虫を中心に展開される話は、それぞれに広がりを持っていて、さすが地球上で最も繁栄している動物「昆虫」である。

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2日目の横浜の朝、よく晴れて気持ちが良い。

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2日目には嬉しいサプライズが(というか僕が仕掛けたのだけど)。出展者の一人であるとよさきかんじさんが作った「特攻服」が、開催前から話題を呼んでおり、ツイッターでは『疾風伝説 特攻の拓』をネタに盛り上がっていたので、ちょっと作者の所さんに声をかけたらわざわざ駆けつけてくれたのである。所さんが会場に現れた瞬間の盛り上がりは、学長はじめイベント主催者側が浮き足立つような雰囲気だった。ポストカードも準備してきてくれて、一時、所さんを囲んでのサイン会のような様相に。横浜の地で、「昆虫大学」と「特攻の拓」が出会う奇跡。

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かの有名なクマムシ博士も大興奮。

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マメコ商会。ここでシャツを1枚オーダー。サイズを測ってもらったのでぴったりのものが届くはず。

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あまのじゃくとへそまがり。精緻な革細工で様々な動物を作り出す。

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切り絵作家のいわたまいこさん。

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標本画家の川島逸郎さんによる、昆虫の標本画。これは本当に凄まじい精緻さで描かれており、とても真似の出来る領域ではない。昆虫学者・丸山宗利さんが世界一と評する標本画家でもある。

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最後に、ライブドローイングした昆虫大学のポスターの前で学長と一枚。これが例の特攻服である。そして、終了後に学長の命を受けて、昆虫大学名誉教授に就任することになりました。

動画『昆虫大学2016 in 横浜

再び開催されることがあれば、次もぜひ参加したいと思っています。



デザインフェスタvol.44 巨大壁画ライブドローイング

今年も巨大壁画のライブドローイングを描いてきた。2日で16時間、ほぼ休みなくの制作であったが、手にそれほど疲労を感じることもなく、昨年よりは完成度の高いものを描き上げることができた。
今回のお題は『コロンビアマンモスとスミロドン』時代は中生代から新生代へと新しくなったが、古生物のモチーフとしてはとてもポピュラーなものだろう。

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B3のサイズにペン画で描いたエスキース。これをもとに縦3.6m、横5.5mの画面に拡大していった。

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最初に最も重要な作業が、水糸で画面に方眼を引くことである。これがないと正確に拡大することができない。ここからエスキースを見ながら簡単に鉛筆であたりを取っていく。

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遠くから目立つよう、高い位置から描いていく。またコロンビアマンモスがメインのため、できるだけ最初に完成度を上げておきたかった。

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Gエリアの中でもひときわ目立っていたと思う。

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1日目はここまで。コロンビアマンモスの頭部をなんとか描くことができたが、まだまだ序盤といったところ。2日目の行く末が心配される。

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2日目は余裕なく制作を進めたため、途中の写真がほとんどなかった。この時点でコロンビアマンモスもまだ完成していない。

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そして一足飛びに完成画像へ。2日目18時30分ごろになんとか、この形にまで持っていくことができた。背景までは至らなかったが、コロンビアマンモスとスミロドンの姿を表すことができた。

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コロンビアマンモスのディテール。

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スミロドンのディテール。

今回も昨年と同様、画材はuniのPROCKEY。
来年のライブドローイングをするかどうかはまだ未定だが、次を最後でもいいかなと考えている。肉体的にもスケジュール的にも、かなりきつい作業なので。
ブースまで来ていただいた方、グッズをお買い上げ頂いた方、楽しんでいただけていれば幸いです。





恐るべき小学生

先日、Twitterで次のようなTweetが目に止まった。

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これは是非とも見てみたいと思い、リプライを飛ばして画像のアップロードのお願いをしたところ、快諾いただくことができた。数日待ったところでアップロードされた画像がこれである。

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驚くべき精緻さと、構図の創意工夫。模写と聞いていたので、てっきり同じ構図だと思っていたら、角度まで変えて描いていた。頭の中で立体を動かすことができるのか、空間認知に優れているのか、それだけでなく丁寧な仕事ぶりに、とても小学校低学年とは思えなかった。

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そのプロセスには苦心もあり、美しく仕上げようという目標が明確にあったようだ。ここまで計画的に、最後まで集中力を切らさずに制作できる小学生はなかなかいないだろう。少なくとも、僕にはこんなことはできなかった。
恐るべき小学生である。
この子が将来、絵描きになるのか、他の目標に進むのかはわからない。好きな恐竜を研究する道もある。世界にはポール・セレノのように美術のトレーニングを受けてから古生物学者になった人もいるし、ロバート・バッカーのようにイラストがとても上手い研究者もいる。形態に対して敏感な感覚を持っていることは、様々な分野に活かすことができるだろう。将来が楽しみである。

ちなみに元になった絵はこちら。

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僕が46歳の時の仕事です(去年)。

日本進化学会・市民公開講座

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もう2週間前になるが、日本進化学会の最終日、市民公開講座に登壇した。
他2名の講演者は錚々たる研究者で、どういう訳か僕がトリという構成だった。
テーマは『進化を表現する人々』
1.長谷川 政美(復旦大学、統計数理研究所) 「進化を表現する曼荼羅」
2.近藤 滋(大阪大学)
「シマウマは、縞模様を得たウマ、ではなく、均一中間色を失ったウマ、である」というお話し。
3.小田 隆(成安造形大学) 「生命を表現するイラストレーション」

長谷川先生は系統樹マンダラの監修者であり、近藤先生の研究室とも一度一緒に仕事をしていた縁もあった。また、この講座を企画した東工大の二階堂さんとは、10年以上前に開催された哺乳類学会のポスター制作からのつながりもあり、今回、演者の一人として呼んでもらえることとなった。
後から聞いた話だと、聴衆は200名を超えて、とても好評だったということである。かなり詰め込んで駆け足の内容だったが、集中して聞いてくれている感触があり、非常に話しやすかったことが印象的だった。
スライドの構成は、大まかに分けて4部。最初がこれまでの仕事の紹介。2番目は系統樹マンダラのメイキング。3番目は論文に掲載する図版を制作するプロセスを、アンモナイトの復元を例にとって紹介。最後はタンバティタニスの復元のプロセス。研究者とのやりとりの中での修正の多さには、皆さん驚かれたようである。
当日のスライドをPDFにした。あの場にいた方は思い出しながら、そうでない方は想像力で補って楽しんでもらえればと思う。
bl16091102.pdf



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