STUDIO D'ARTE CORVO

STUDIO D'ARTE CORVO は小田隆の公式ウェブサイトです。
update 2020.05.10

ゼミの授業

先日のゼミの授業のときに、ペン画を描くときのあたりをどの程度とるか?という質問があったので、実際に描いてみたもの。

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鳥のペン画を続けて描いているので、分かりやすく大きくカラスを描いてみた。あたりの線は鉛筆で、ペンはミリペンを使っている(鳥類系統樹マンダラの原画には丸ペンを使用)。
ほんとうにざっとしたものだが、下書きをあまり詳細に描くことはない。きちんとしたものが必要なときもあるが、そんなときはトレースを使う場合が多い。

そして、この日のゼミのお題は『ケルベロスの頸椎を考える』。

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画面に映っている頭骨は大型犬のものだが、環椎と軸椎は人間のレプリカ。第7頸椎をつなげるという方法をとってみたが、どこで癒合させるかはデザイン上の大きなポイントかもしれない。あくまでも架空の生物なので、どこまで考察しても正しいか正しくないかということはナンセンスだが、もっともらしさにつなげるための思考実験としては面白いと思う。本当は犬の頸椎が一そろいあれば良かったのだが、残念ながら手元にはなかったので、解剖図を見ながらの作業だった。Twitterで少し友人とやり取りをしたのだが、頸部から頭部のボリュームを考えると、ハイエナのように上半身の強大なプロポーションになるだろうということで意見が一致した。これもいずれ全身の骨格図を描いてみたいものだ。
こんな感じのことを、前期のゼミでは続けていきたいと思っている。


Surly Pacer 組み立て日記2

ボチボチと組立てを進めている。実は昔からSHIMANOが大嫌いなのだけど、今回はいろいろと性能面、メンテナンスのことなどを考慮して、ほとんどの部品をSHIMANOにしてしまった。これまでで何台か自転車を乗り継いできて初めてのこと。しかし、SHIMANOのロゴデザインの酷さときたら特筆に値すると独断と偏見で思う。またそのプロダクトも、特にチェーンホイールとクランクセットのもっさりとした形ときたら、せっかくのクロモリフレームの細さが活かせない。いやそもそもクロモリフレームなんてSHIMANOの想定外か。

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Surly Pacerにはロングアーチのキャリパーブレーキが必要なため、性能と価格のバランスからいくと、このSHIMANO BR-R650一択となる。せめてロゴが入らなければ。できれば黒がよかったのだけど、650はシルバー1色のみ。

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リアディレイラーはアルテグラ6700。スプロケットはアルテグラ6500系9sで12〜27T。

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SHIMANO FC-CX70。アウター46T、インナー36Tと体力のない僕でも快適にまわせるはずである。クランク長は170mm。

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今はこんな感じ。チェーンをつければ、ディレイラーのセッティングはすぐにでも可能だ。ブレーキレバーが届かないので、まだ試運転はできないが、近日中に走り出せるはずだ。
最近のパーツ事情、複雑な互換性についてのアドバイス、持ち込みの必要な部品の取り付けは空井戸サイクルさんにお願いしている。いい店です。徒歩圏内にあるのも嬉しい。部品のほとんどはフレームも含めて、ネットオークションとネット通販で集めている。いい時代になったものである。





マイクロアクアリウムプロジェクト

今日は朝から琵琶湖博物館へ、微生物の観察とスケッチに学生たちと行ってきた。琵琶湖博物館リニューアルに伴うプロジェクトの一環で、主に琵琶湖の微生物を展示する「マイクロアクアリウム」の常設展示を、成安造形大学の学生とともに作っていくというものである。その手始めとして、学生、担当教員ともに、採集から観察、スケッチまでを経験するという初回授業だった。

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よく晴れた空の下、烏丸半島を湖岸へ向かう。正面に見えているのは比叡山だ。ここからの景色はとても美しい。

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採集にはこのプランクトンネット使う。この採集器の形を見るだけで萌える。メカニカルな機構を持った道具というのは、なぜこれほどに惹かれるものがあるのだろう。

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投網の要領で使うのだが、担当学芸員による見事な模範演技。ロープがしっかり伸びきり着水することで、より多くの微生物を採集するチャンスが増えることになる。この後、学生たちの投げ方や所作を観察していると、いかに多くの学生が話を全く聞いていなかったかがよく分かった。真似しないと何事も上手くならないのだけどなあ。

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博物館に帰った後は、実体顕微鏡と生物顕微鏡を使った観察会。ミクロの世界の豊穣さ、様々な生物の形の多様性には、学生たちも関心を示し、歓声を上げて楽しんでいた。

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琵琶湖のプランクトンでは最大種であるノロ(Leptodora kindtii)をスケッチ。

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これがノロの眼球。顕微鏡では平面的に見えているが、実際には球体である。花びらのように見えている部分は透明の管状のもので、中心の黒い部分を放射状に覆っている。

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ノロの全貌。この時期はまだ5mmほどだが、最大で10mmほどに成長する。
今回のプロジェクトは3人の担当教員がついており、僕が壁画、他の2名はそれぞれオブジェとレリーフ、シアター用の椅子を担当する。できる限り、学生にフィニッシュワークまでやってほしいので、僕はできる限り手を動かさないつもりである。知識的には僕もまったく白紙に近いので、学生たちと一緒に勉強しながら進めていきたい。

系統樹マンダラポスター『鳥編』制作スタート

ようやく重い腰を上げて、というかもうあまり日にちがないので、昨年の系統樹マンダラポスター『真獣類編』に続き、『鳥編』のスタートを切った。鳥ということで恐竜も含む壮大なないようだが、描く種は50種ほどである。美しさと実用性を兼ね備えたポスターを目指す。版元はキウイラボ。今回もB5サイズのイラストレーションボードに丸ペンでの制作となる。大体、2枚描くと丸ペンがだめになるので、それなりにコストがかかる。修正ペンはほとんど使わない。

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手始めに描きやすいものから、ハシブトガラス。資料とする写真は、監修者である長谷川政美先生が全て撮影したものだ。
8月8、9日の神保町のイベントはこの『鳥編』の完成記念発表の場でもあるのだ。締め切りを破るわけにはいかない重要なプロジェクトである。

Surly Pacer 組み立て日記1

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最近、オークションでSurlyのフレームを安く入手することができて、部品を集めながらロードを組んでいる。モデルはPacer。でも、実はいままでロードは所有したことも、日常的にも乗ったことがない。Surlyは質実剛健な作りで、クロモリフレームの中でもとりたてて軽いというわけでもないが、ロード初体験の身としては何もかもが軽く感じるといっても過言ではない。ホイールはSHIMANOの完組でWH-RS21。それほど高いグレードの部品ではないが性能的には充分。ただし、ダサダサのステッカーは早速はがしてしまった。シフトはあえてSTIを使わずにクラシカルにダブルレバー。ハンドルとステムはとりあえずありものをセットしてみた。ステムが短いので、交換の予定。
今年はプラモデルを作ることを目標にしていたのだが、今は自転車が旬である。まあ、プラモデルよりもずっと楽で手間がかからないとも言えるけど。


夏のイベントの打ち合わせ

昨年と同じく『博物ふぇすてぃばる!』への申し込みをしたのだが、残念ながら落選ということで出展できなくなってしまった。数少ない東京での貴重な活動の機会だったので、何もしないわけにはいかないだろうということで、今、独自に小さなイベントを開催することを目指している。特に出展者を募集するということではなく、気心のしれたメンバーで密度の濃い、質の高いイベントにしたいと思っている。
会期は第2回博物ふぇすてぃばる!と同じ、8月8日、9日。もう少し長くやってはどうか?という話も出ている。場所は神保町にある奥野かるた店2階ギャラリー。金曜日は実際に奥野かるた店まで出向き、詳細な打ち合わせをしてきた。

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元々、展示のために作られた空間で什器も豊富に揃っており、壁にはピクチャーレールが装備されている。天井高も3mと充分である。以前にはここで個展を開催したこともあり、よく知っている会場でもある。なんといっても神保町は僕が東京の中で一番好きな町なので、ここでイベントを開催できることは、とても嬉しいことだ。
内容、コンセプト等については、おいおいお知らせしていく予定です。乞うご期待ください。

時事放談カフェVol.2『「大阪都」構想ってなに?どう変わる?』

先日、時事放談カフェvol.2『「大阪都」構想ってなに?どう変わる?』という勉強会に参加してきた。なんとなく「大阪都」構想に胡散臭さを感じてはいたものの、具体的に何が問題で、橋下市長が主張しているメリットが何なのかがよくわかっていなかった。しかし、話を聞けば聞くほど、これほど不味い方向の舵取りはないという事が分かってきた。ただし、僕にはこの住民投票に参加する権利はない。
演者は立命館大学教授の森裕之先生。この場で話されたことは『徹底バクロ!大阪都構想のウソ』(リンク先はPDF)に詳しく書かれている。最も単純で分かりやすい事実として、都構想が実現したとしても、「大阪府」は決して「大阪都」にはならないということ。そして、こちらのほうが重大で大きな問題である「大阪市」が消滅するということだ。
経済があまり良くない現状に対して変化を求めるのは自然な事であると思うが、わざわざ上手く行っていることまで大転換する必要はない。何が悪くて、何が良いのか精査して進めるべきだ。大阪市を解体して5つの特別区にするというが、それだけでも莫大なコストがかかるだろう。特別区の区庁舎を新築で建てる事になるだろうし、住所が変わるので町中の住所表示の変更作業も膨大だし、住所地が変わるとクレジットカードやキャッシュカード、ネット通販で登録した住所もこれまでのものは無効になる。それだけの手間を考えたって、わざわざ「大阪都」にもならない「大阪市」が消滅する都構想に賛成することは出来ないと思うのだが。
二重行政の問題も、「大阪都」構想でなければ解決できない問題なのか?それ以外に全く手段はないのか?

今度の住民投票の内容は「特別区の区割りや名称など、特別区設置協議会でとりまとめた特別区設置協定書が、大阪市会と大阪府議会で承認されたことを受け、「大都市地域における特別区の設置に関する法律」に基づき、特別区設置の賛否について住民投票が行われることとなりました。」とあり、どこにも「大阪都構想」や「大阪市の廃止」という文言はない。きちんと事実が伝わっているとは言いがたく、大阪都構想を推進したい人間たちがわざと分かりにくくし、煙に巻こうとしているとしか思えない。多くの大阪市民にとっても「よくわからない」ということが事実なのだと思う。
橋下市長は「自動車を買う時に、エンジンまで調べて買いますか?都構想も市民は中身まで知らなくてもいい」などと公言しているらしい。これが民主主義と言えるのか?衆愚政治そのものではないか。市民を、有権者を馬鹿にするのも大概にしてほしい。

「よくわからない」場合は反対票を。棄権は賛成票のパーセンテージを上げるだけの危険な行為となる。将来的に大阪都構想に舵を切るという判断もあるかもしれないが、現時点においてこれだけ性急に決める事ではないのではないか。僕にとっては対岸の火事しかないかもしれないが、大阪市の有権者の皆さんには、ぜひとも賢明な判断をしてほしいと思う。どう考えても、ほとんどの市民は利益を被る事なく、多くが不幸になってしまう、そんな構想でしかないのではないだろうか。

骨のあるアート展(会場写真)

木曜日の夕方、日芸の授業の後に少し展示を観てきた。以前のギャラリーと場所がかわっていて、スペースも少し狭くなっていた。
内容は森沢山で、驚くほどのビッッグネームから僕のようなものまでバリエーション豊か。展示は21日(火)まで。お時間ある方、ご覧いただけると幸いです。

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『骨のあるアート』展
4月15日(水)〜21日(火)(10時30分〜8時 最終日6時終了)
伊勢丹新宿本館5階=アートギャラリー
出品予定作家(50音順)
平面 アンディ・ウォーホル、歌川国芳(復刻版画)、小田 隆、ダミアン・ハースト、徳重秀樹、BlockingWood、村上 隆、山科理絵 他
立体 井上裕紀、カミン・ラーチャイプラサート、SAVAKO、先崎了輔、丸岡和吾、横山 隼(RCギア)、渡辺おさむ 他

手のデッサンの課題

今日は日大芸術学部デザイン科テクニカルイラストレーションの授業。課題は「手のデッサン」である。解剖書からコピーした手の骨格図をトレースして転写し、その線をもとに自分の手をみながら肉付けをしていく。
もっとも重要な点は、人間の見かけの指の長さは、手の甲側からと手のひら側からでは違うということだ。手の甲から見た場合は、ほぼ骨格の関節の位置に特徴的な皺が現れる。しかし、手のひら側の指の皺の位置は骨格の関節とは対応していない。特に学生が間違いやすいのが、中手骨と基節骨の関節で、手のひらのなかにその位置がくることがなかな理解できない。試しに手のひら側から見たときの指の付け根を押さえて、曲げようとしてもらえれば分かるのだが、そこからは絶対に曲がることはない。そこは関節ではなく基節骨の軸の部分だからだ。骨折させない限り、そこから曲がることはない。

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幸い先週描いた板書がまだ残っていた。

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指を横から見たところを図解すると、よりはっきりと分かる。手の甲側と手のひら側では指にできる皺の位置がこれだけずれる。ほぼ一致するのは基節骨と中節骨の関節だけである。

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手のひら側から見ると、指は手のひらの上の方から曲がることになる。これが手の甲側から見たときの水かきと呼ばれる部分にあたる。

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学生にまじって、いっしょにデッサン。今回はミリペンを使って描いてみた。ステッドラーのピグメントライナー0.1mm。ここまでで60分ぐらい。

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授業の最後でようやく手の甲側が完成。課題は手のひら側までなので、宿題になってしまった。毎年やっている課題のひとつである。



なにわホネホネ団4月活動日

昨日は久しぶりになにわホネホネ団の活動日に参加してきた。年度始めということで、ゼミ生を連れての参加である。団員でない人間は見学ということになっているのだけど、実際はばりばり作業を手伝ってもらうことになる。
午前中は大阪市立自然史博物館で開催中の特別展『スペイン奇跡の恐竜たち』を、学芸員である林さんの案内で拝見することができた。展示標本を見ているだけでは分からない情報を教えてもらいながらの観覧はとても贅沢なものだった。研究途中のものや、オープンにできない情報も多いので、ここでは書くことはできないが常に標本と接している人間と、ただ展覧会で眺めているだけの人間とでは大きな差がある。僕も仕事で観察するときにはそれなりにじっくり見るが、普段からそのトレーニングを受けて常にそのことばかりを考えている研究者とは天と地ほどの差がある。
午後はお昼を食べてからホネホネ団の作業に参加。スナメリの臭いがそれなりに強烈ではあったけど、それ以外のウサギ、ワラビーなどはほとんど不快な臭いはなく、快適な作業環境であった。午後からということで作業工程が途中まで進んでいたたものが多く、比較的大物のワラビーの皮むきを引き継ぎつつ、ウサギなどの肉取りを手伝いながら最後の片付けまでやり終えた。

この日、団員のひとりから素敵なプレゼントをいただいた。

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ガチャピン骨格産状図の陶板である。僕の描いた骨格図をもとに作られていて、非常にできがよい。これは僕も正確な(?)産状図を描いて論文化しなくては!
こうやって趣味のサークルを通じて、いろいろな可能性が広がっていくことは、とても嬉しいことである。

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