STUDIO D'ARTE CORVO

STUDIO D'ARTE CORVO は小田隆の公式ウェブサイトです。
update 2020.05.10

神保町ヴンダーカンマー、8日・9日

先週末は神保町ヴンダーカンマーのオープンと会場に滞在するため、東京を往復してきた。今回は往きも帰りもドライバーが3人いて、かなり楽ではあったのだけど厳しいスケジュールの中での、搬入、展示設営、オープンだった。

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会場である奥野かるた店には什器がそろっているので、対して荷物はないだろうと思っていたらこの有様。ハイエースがほぼいっぱいになってしまった。大きな作品も何点も持っていたのと、後席を確保するために荷室がせまくなったのが原因でもある。

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会場設営はオープン前日の7日に。久君(久 正人)の描き下ろし古生物イラストレーション、とりちゃん(浜口美幸)作のひよこ剥製。

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チベタンヤギスカルの原画などと一緒に、トートバッグ、Tシャツの新作が並ぶ。

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レース編みで現代美術作品を制作する作家・黒沼真由美さんんのコーナー。手刷りで作られたシルクスクリーンのTシャツ、トートバッグが美しい。

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缶バッジも豊富に揃えました。棚の上にみえるのは荻野君(荻野慎諧)が3DCGを作り、3Dプリンター出力した骨格たち。
ティラノサウルス、トリケラトプス、ピxxxx。

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オープンに合わせて製作された、系統樹マンダラの新作。科学バーコーナー。

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全てをポストカードにすることはできなかったが、全24種を準備。一番任期はダントツでハシビロコウだった。

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大阪市立自然史博物館ミュージアムショップコーナー。初期からグッズまで様々な商品を扱う。厳選されたそのラインナップは、見ているだけでもとても楽しい。

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成安造形大学、日大芸術学部の小田ゼミ生合同によるひこばえ団コーナー。学生たちがつくったグッズたち。

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縦長の油彩や床におかれた作品は2日間限定の展示だったが、壁にかけられた『アジアゾウの死産胎子』は会期まで展示されます。

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おかげさまで2日間ともに大変にぎわった館内。昨年の博物ふぇすでは商品とお金の交換にだけ忙殺されるような状況だったが、今回はゆっくりと来場者とも話ができたことがとてもよかった。イベントをやる以上、きちんとプレゼンテーションができるかどうかは、重要なポイントである。ただ商品を売るだけなら、わざわざこんなことをする必要はない。

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たまたまなんだけど「小さな力『神保町ヴンダーカンマー』」。ポスターを貼ったときの思いつき。

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神保町駅に掲示されている奥野かるた店の看板。駅から近いです。

本当に多くの方にご来場いただき、商品もたくさん買っていただけました。いまも継続して展示と委託販売を行っており、連日たくさんの来場者があるということを聞いています。暑い中、足をお運びいただき感謝しております。
来年どういった形でできるかどうかわかりませんが、さらに充実したものにしたいと考えています。

神保町ヴンダーカンマー

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博物館ができる前、貴族や文人、学者などが、自分の興味のままに珍しい自然物や人工物、模造、捏造された架空の動物の一部などの珍品を集めた部屋が数多く作られました
博物学が発展する前の、極めて個人的に作られた、系統だっていないコレクションではありましたが、人間の持つ純粋な興味、収集欲を満たし、かつ美しく陳列された空間は今でも十分に魅力的です。そんなヴンダーカンマーに現代の私たちがどれだけ近づけるか?
そして、蒐集という形ではなく、グッズ制作、様々な表現などをとおしてどれだけ楽しい空間を作ることが出来るか
歴史ある「奥野かるた店」という会場を使って「驚異の部屋」と呼べるような空間を実現できるか?博物学として整理される以前の、ただ美しいから、ただ珍しいから、ただ面白いから、そんな人間の興味だけを反映したコレクション、グッズ、表現物、そして、今だから出来る学術的なアプローチが混在する雑多なイベントにすることを目指します。

                                     2015年8月 小田 隆

会期:8月8日(土)〜8月31日(月)*15、16日休業
時間:8日/11:00~20:00 9日/12:00~17:00
10日〜31日/月~土 11:00~18:00 日・祝・祭 12:00~17:00
会場:奥野かるた店2階ギャラリー
〒101-0051 東京都千代田区神田神保町2-26  
TEL:03-3264-8031 FAX:03-3230-1512
     ●東京メトロ・都営地下鉄「神保町」A4出口より左折して白山通り沿いを徒歩3分
     ●JR中央・総武線「水道橋」東口より、右折して白山通り沿いを徒歩7分

【出展者】
小田 隆(画家・イラストレーター、STUDIO D'ARTE CORVO)
科学バー(株式会社キウイラボ)
大阪市立自然史博物館ミュージアムショップ
ひこばえ団(小田ゼミ成安造形大学、日大芸術学部)
横山 隼(シルバーアクセサリー、RC GEAR
黒沼 真由美(美術家)
浜口 美幸(なにわホネホネ団
久 正人(漫画家)
島野 智之(ダニマニア、法政大学教授)
野中 健一(地理学者、立教大学教授)

【主催】
小田 隆(STUDIO D'ARTE CORVO
株式会社キウイラボ
【会場協力】
奥野かるた店


神保町ヴンダーカンマー、会期などについて

神保町ヴンダーカンマーの企画、粛々と秘密裏に(ってわけではないけど)進行中です。
会期がはっきりと決まりました。
8月8日(土)11:00 ~ 20:00(第二回博物ふぇすてぃばる!出展の皆様、ご来場の皆様にも寄っていただける時間帯に設定しました)
8月9日(日)12:00 ~ 17:00
8月10日(月)〜8月31日(月)平日は11:00 ~ 18:00 休日は12:00 ~ 17:00まで(8月15日、16日は休業です)
イベント本番は8日、9日ですが、奥野かるた店さんのご好意により、8月末まで展示即売できることになりました。出展者が会場に詰めていられる日は、8日、9日のみとなりますが、ゆったりとした会期を設定することができました。
さらに出展者や出展内容などの詳細が決まり次第、お知らせしていきます。

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まだ仮のビジュアルイメージです。
ポスター、チラシ、ポストカードと展開していきます。乞うご期待ください。

ケンタウロスのアンギアーリの戦い

しばらく前からケンタウロスの身体の構造を考えるのが面白くなっている。手足合わせて3対あるので、脊椎動物のボディプランからは外れるのだが、ウマとヒトという人間にとって重要なモチーフが組み合わされた、一粒で二度美味しい存在である。さらにそのケンタウロスを鎧武者にして、レオナルドの壁画をルーベンスが模写した『アンギアーリの戦い』をもとに構図を検討している。最終的にどういった作品として仕上げるかは決めていないが、かなりオーバークションの兵士の姿勢をどう解決するかが、目下のところの課題である。

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A3のコピー用紙に水性ボールペンで描いたもの。全体の構図を考えずに描き始めたので、上方がはみ出してしまった。

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手前の最も目立つ一体を、筋肉図を意識して描いてみたもの。激しく折れ曲がる胴体をどう解剖学的に解釈するかが難しい。まだまだ検討途上である。

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骨格から検討してみたが、これもまだしっくりこない。まだ少し時間がかかりそうだ。このポーズがうまく解決できれば、それ以外のケンタウロスのポーズはそれほど難しくないだろう。原寸で巨大な画面に描いてみたいものだ。

下描きなし、資料を見ないことは、そんなに凄い事か?

現在、東京で開催されているJunGi Kim Drawing Exhibition、展示を見にいけるかどうか微妙なのだが、リンク先にもあるドローイングの動画を以前見たときには、、その凄まじさには驚いたものである。全く構図をとらずに、下描きもせずに、躊躇なく修正することもなく描き進めていく。これをライブで見た人たちの感想も絶賛の嵐である。同じ空間にいることで、その凄みが何倍にも増幅することは想像に難くない。
しかし、本当にそれは絵を描くという行為として、そんなに素晴らしい事なのだろうか?
復元画を描く仕事は、資料が全てといっても過言ではない。間違えがあれば何度でも修正が必要になる。そもそもイラストレーションの場合、デザイナー、クライアントの要望に合わせて、何度も描き直すことが前提としてある。素早く描ける事は、作業において大きなアドバンテージとなるが、修正なく一発で描ける事にはそれほどの価値はない。資料を見なくとも頭の中に画像としてストック出来る事は、凄い能力だと思うが、人間というのは間違いを犯すものである。勘違いして記憶してしまうこともあるだろう。それもないほどの天才なのかもしれないが、調べて確認できることは、その場で確認したほうが二度手間にならず、仕事として正確な成果物に近づく事が出来る。僕は彼の才能を疑うわけでもなく、素晴らしいドローイング作品だと思っている。でも、同じことが出来ないからといって、失望することも、落胆することもない。特に学生にはそんな風に思ってほしくない。憧れるのは良いと思うが、多くの人にとって目指すゴールではないだろう。彼と同じことが出来なくても、絵の仕事はできる。画家やイラストレーターとして食べていくことはできる。

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いつも板書で描いている内容を、下描きなく、資料も見ないで描いてみた。資料を確認していないので、例えば、仕事として出版物などには掲載できないスケッチだ。
上手くいかなければ、何度も線を引けばいい。最終的に正しい線が見つかれば、それを清書すればいい。それを可能にする画材もツールもたくさんある。自分にあった方法を見つける事が重要だ。
あまりに絶賛する評価が多いので、天の邪鬼にちょっと思った事を書いてみた。

The unknown skull 新作の制作2

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歯をアクリルで描写しておおよそ完成。これを明日、額装して完成である。なんとか伊勢丹の出品(4月15日からの『骨の
あるアート』展に間に合いそうだ。

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歯のディテール。歯はエナメル質のため、チャコールペンシルでの表現では難しく、アクリルで仕上げる事にしている。

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ティッシュなどを少しぼかしている。見ていると切りなく手を入れてしまうので、いいところで止めないと。
次は大作を描きたい。


The unknown skull 新作の制作

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ほぼ原寸に近い大きさでヒトの頭骨を描いている。画材は使い慣れたチャコールペンシルだ。原寸だとそれほど大きいものでないとはいえ、ディテールまで描き込むことができる。しかし、今日太陽光の入るスタジオで描いていたところ、これまでのディテールの描写はかなり甘かったのではなかったかということに気がついた。元来、フォトリアリスティックに描くほうではないが、本来ヒトの頭骨に備わっている複雑な立体感に対して、あまりに無頓着であったかもしれない。

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そこで以前ラフだけで止まっていた、大作による頭骨の作品を作ってみようと思う。おそらく100号か120号ぐらいになるだろう。その大きさであれば、かなり太い筆ででも細部まで描く事ができる。使う画材はもちろん油彩だ。背景は白に近いグレー、男女の頭骨を1点ずつ。展示するあてはないが、今年の新作として制作してみよう。


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