STUDIO D'ARTE CORVO

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update 2020.05.10

Tambatitanis amicitiae の復元プロセス2(頭骨編)

前回の頭骨と頭部の復元が完成した段階で、歯の修正が必要なことは、監修者から示唆されていた。実際には全身骨格の復元と同時に修正を行ったのだが、時系列を無視してそのプロセスを紹介する。

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歯列を修正するために届いた指示書がこれである。左の図は発見されている脱落歯(生前に抜け落ちた歯、恐竜の歯は何度でも生え変わる)、右の図は下顎に残された歯槽から推測される歯冠のプロポーションである。上下の歯がきちんとかみ合うように、それぞれの歯の咬耗(すり減り方)が再現されている。

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既存の骨格図にトレーシングペーパーをかぶせて、新たな歯のスケッチを鉛筆で描いていく。上下を合わせて咬耗の具合も慎重に検討していく。

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Photoshop上でスケッチの部分を合成し、これを監修者に送って判断を仰ぐ。無事、OKが出たところで、ペンによる修正に移行していく。

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ペンにより歯が修正された。以前のものより、太く大きくなっている。

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上下の歯がきちんとかみ合うかどうかを確認した画像。Photoshopで下顎の位置を動かすことで、正確な位置を確認することができる。
歯のプロポーションが大きく変化したため、生体復元の顔つきにも修正が必要になった。

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部分的な修正とはいえ、皮膚は全て繋がっているので、その箇所だけを直せばいいというわけにはいかない。口の周り全体に手を加える必要があったため、それなりに時間も手間もかかっている。サインにも「2013」の数字が追加されている。
頭骨から頭部にかけての復元にもこれだけの時間とプロセスが必要になる。もっと保存状態が良い標本であればスムーズになる部分もあるが、かかる労力にはそれほど大きな差はないだろう。
次はさらに大きな部分である、全身骨格図へと復元作業を進めていく。