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絵本「ティラノサウルス」が出来るまで

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椎名麻美
◆絵本「ティラノサウルス」をデザインする時に難しかった点、逆に容易だった点についてお聞かせください。
やはりカバーデザインに一番気を使いました。読者対象が小学校低学年から大人までと幅広い層にまたがり、焦点が絞りにくかったことに加え、科学絵本という位置付けを消化するのに苦労しました。
科学的な裏付けのあるしっかりした内容の本であることと、純粋なアート本(絵本)であることがうまく融合している点が、この本の最大の特徴なのだと思いますが、子どもから大人までどの層にも受け入れられる装幀で、クウォリティの高さも表現しなければならなくて、しかも博物館での販売も大きなマーケットをしめる……。いろいろな条件が交錯する中、それらをどう具現化するかを決めるまでに結構時間がかかりました。
前半の絵本部分は、私が参加する前におおよその構成と絵が完成していたので、レイアウトに集中するだけでよかったのは、楽でしたね。企画から参加できなかったのは、物足りなくもありますが。

◆絵本「ティラノサウルス」に魅力を感じた点、逆にそうでもなかった点はなんでしょうか?
絵そのものに魅力を感じます。科学的な正確さはもとより、彼の絵は単純にかっこいい。前半の絵本部分では、ティラノサウルスのオス同士の闘いのシーンが好きです。
後半の解説ページ「生命の歴史」に描かれた生物画にもとても魅力を感じます。あの世界観でなにか本を作れないものかと思案中。
しいなまみ[デザイナー]
福島県立会津短期大学デザイン科(現、会津大学)卒。デザイン事務所勤務を経て、現在はフリーランスグラフィックデザイナーとして独立。主な仕事は、写真集、絵本、図鑑などのビジュアルブックの構成から印刷までトータルでのブックデザイン。
m-shina@mue.biglobe.ne.jp