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絵本「ティラノサウルス」が出来るまで

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坂野徹
◆絵本ティラノサウルスに関わることになったきっかけはなんですか?
もともとの出会いは僕が小田さんの個展に「一ファン」として会いにいったことがきっかけです。その時、個人的に制作した生物の系統樹を見ていただきました。
ギャラリーの終了時間後、食事に誘われて何時間も話したことをよく憶えています。制作に対するスタンスが似ていて、すぐに意気投合しました。最近は古生物研究というより「ものを創る」という行為を通して美術や社会、教育について話すことが多いですね。今でもお会いすると何時間でも話してしまいます。

◆系統樹を作るときにもっとも苦労した点、アピールしたい点をおしえてください。
僕からアピールしたいということは特にありません。読者がミスリードしないよう、出来るだけ分りやすく表現するにはどうしたらいいかに重点をおいて制作しました。例えば「恐竜の系統樹」に出てくる恐竜を全て1/100スケールの縮尺にしたことなどです。
これが、1/144や1/50だと非常にかけ算わり算が面倒臭い。もうそれだけで知ろうとする欲求をそがれてしまいます。1/100なら計算しなくても定規で測って0を2つくっつければ実物のサイズですから、だれでも簡単に計算できます。
あとこれは真鍋さん他研究室スタッフの協力が大きいのですが、「系統樹」の枝の太さや色も「網・目・科・属・種」の階層に同期するようになっています(最近は全て類とする表現が主流ですが、ヒエラルキーは存在します)。
時間軸も真鍋さんから提供していただいた最新の地質年代表にもとづいてかなり細かくスケールを合わせています。

◆素材としての「小田隆のイラスト」についてなにかありますか?
こういうコラボレーションの場合、イラストは食材、デザイナーは料理人のようなものだと考えています。質や鮮度が悪い食材だったら料理は美味しくなりませんし、いい食材でも料理人の調理の仕方が悪いとこれも駄目です。
基本的にデザイナーからイラストに指示を出すということはあまりしないのですが、今回、図版制作にあたってデザイナーとして小田さんにいろいろアイデアをぶつけることが出来ました。
その後、やってきた食材は僕が思ってたよりはるかにいい素材だったので、急いでレシピを考え直したくらいです(笑)。
どういう意図の紙面を作りたいかということのコンセンサスをデザイナーとイラストレータが持つことが重要だと思います。このようなダイアグラムの場合、ただ単に上手い絵を描いてこられても使いにくいだけなので、その辺を素早く理解して適材適所の素材を用意していただけたことは本当にありがたかったです。
さかのとおる[デザイナー]
1974年、岡山生。京都市立芸術大学卒。IAMAS卒。東京でエディトリアル、ダイアグラムデザイナーとして活動。ライフワークとして生物の系統樹を制作。